166: ホワイトベアー :2022/02/25(金) 14:59:52 HOST:sp49-98-146-239.msd.spmode.ne.jp
日米枢軸ルート第7話 改訂版

平壌の陥落という報は北京にて清国の実権を握っていた西太后派に激震をもたらした。

この報を知った光緒帝は好機とばかりに朝鮮の実質的な喪失の責任と言う名目で李鴻章の更迭と官職剥奪を決定する。

李鴻章の後ろ盾であった西太后は光緒帝の決定に強く反発したものの、開戦責任(李鴻章の実質的な私兵であった北洋陸軍による在日公使館襲撃が宣戦布告の理由とされている)すら普及され、彼女でも庇うことは不可能であった。

当然ながら更迭された李鴻章の後任の直隷州総督兼北洋通商大臣には光緒帝派に属する塞防派の人間が就任し、光緒帝派が北洋陸軍と北洋艦隊の指揮権を握る事になる。

これにより、清国内の洋式軍は全て光緒帝派の統制下に入り、光緒帝派が軍事力を完全に掌握したことで宮廷内のパワーバランスも崩壊した。
西太后と繋がっていた海防派はそのほとんどが失脚するか光緒帝に寝返ってしまい、保守派にいたっては改革を遅らせ、大清を敗北に導いたとして大多数が文字通り首を着られる。
そして空いたポストには光緒帝派の人間やまともであった改革派が次々と就任していき、光緒帝と西太后の力関係は一気に縮まっていった。

こうして、光緒帝派が清国の実権を取り戻そうと勢力を伸ばしてゆくが、実権を握って西太后も激しく抵抗し、北京では日米連合との戦争をそっちのけで政争がより一層激しさを増してゆく事になる。

一方の日米連合軍であるが、平壌での清国軍降伏後、日本軍第3陸戦師団とアメリカ軍第1海兵旅団を平壌に入城させ、捕虜の管理および平壌での戦後処理を行せていた。また、第6陸戦師団は衛本先と聶士成の指揮を指揮官とした清国軍2000程が守備していた安州に対して侵攻、29日には同地を占領し、朝鮮の清国軍を全て無力化、朝鮮半島を完全に占領する。

朝鮮を確保した日米連合軍は清国国境まで迫ると事前の戦争計画通りに前進を一時的に停止させ、防御体制の構築に入る。
清国軍も軍部を掌握した光緒帝派の命令により本土の防衛を固め始めた為、以後は朝鮮と清国の国境でのにらみ合いのみで大規模な戦闘は一切生じないと言う奇妙な状況になってい。

無論、日米連合軍と清国はただにらみ合いっていたのではない。この時にはイギリスの仲介によって上海のイギリス祖界にて極秘裏に日米の外交官と光緒帝派の有力者とが会談を開き、講和条件の交渉が行われ始めていたのだ。

元々、朝鮮半島確保後に交渉を開始する予定であった日米連合が開戦前に英国に依頼していたため開かれたこの非公式会議であるが、
光緒帝側が乗ってきた理由は清国の朝鮮半島での大敗北を知るやいなやロシア側が清露の国境付近に大軍を展開させており、露骨に火事場泥棒を狙っていたため、清国の塞防派は可及的速やかな日米との講和を締結し、清露国境の防備を固めることを望んでいたのが大きく関係していた。
塞防派の考えは光緒帝派の有力者達も賛成であり、光緒帝は清国のメンツが保たれるなら日米連合に有利な条件で講和を結ぶ事を許可する。もちろん、保守派から批判が噴出するだろうので、清国が譲歩した責任を西太后派に被せるように工作させる事を命令することも忘れてはいなかった。

一方の日米連合はこれ以上戦争を継続して清国に決定的な損害を与えた場合におきるであろうアジアでのパワーバランス崩壊を恐れており、清国朝鮮駐留軍の壊滅と朝鮮占領で漢城公使館襲撃事件の懲罰は済んだとし、講和条約の締結を考えていた。

こう言った双方の思考もあり、この秘密会談は実現したのである。

この秘密会談ではまず光緒帝側が相応の賠償金と定期的に清国に不利益をもたらす朝鮮の宗主権の連合国側に押し付け...譲渡すること、難民問題解決の為の出資を提案する。
これに対して連合国側はさらに北京・沙市・湘潭・重慶・梧州・蘇州・杭州の7市の市場開放、航路拡張、各種税の引き下げ、製造業従事の許与、全朝鮮難民の引き取り、大連および旅順、威海衛の租借、海南島の割譲を要求した。

167: ホワイトベアー :2022/02/25(金) 15:00:26 HOST:sp49-98-146-239.msd.spmode.ne.jp
清国側はさすがにこれは横暴だとして反発、これでは清国内に反日、反米感情が燻る事になると要求の緩和を要請する。また、仲介のイギリスも要求の緩和を求めたため、日米は大連および旅順の租借要求を撤回、賠償金の減額、賠償金支払期間を30年に延長するなどの譲歩を行った。
もちろん一歩的な譲歩ではなく、その代償として朝鮮難民と清国に移住を求める朝鮮半島の原住民を全て受け入れ、その移送にかかる費用は清国が負担すると言う条項を追加させる事を要求、これが受け入れられ以下の条件で講和条約の内容を合意した。

  • 清国の正式な謝罪
  • 2億後3千万両の賠償金の支払い
 (ただし30年間の分割払いで利息はなし)
  • 北京・沙市・湘潭・重慶・梧州・蘇州・杭州の7市の市場開放
  • 航路拡張
  • 各種税の引き下げ
  • 製造業従事の許与
  • 海南島の日本への割譲
  • 清国による朝鮮半島の原住民難民および移住を求める朝鮮半島の原住民の受け入れ
  • 朝鮮半島の宗主権を日米連合に譲渡

また、この会談では次の戦争、すなわちロシアによる清国への戦争に備えた枠組みの構築も話し合われており、光緒帝派と彼らが掌握する清国軍は近代化の為に日米英から軍事支援を施して貰える事になった。

この会談で講和条件が纏待ったと言う報告が双方の政府高官(清国は光緒帝派のみ)に知らされた1895年1月14日、双方は公的な講和会議を開くことを発表すると同時に香港にて休戦条約が締結された。そして、1895年1月18日、大日本帝国全権大使、アメリカ合衆国全権大使、清国全権大使による講和会議がイギリス政府の仲介の下にシンガポールにて開催される。

この講和会議はそれから二ヶ月ほど交渉と言う名の茶番劇を繰り広げ、最終的に日米連合軍側が清国に譲歩したと言う形で先の上海秘密会談で決まっていた内容で妥結された。そして、1895年3月13日、日米清間の講和条約であるシンガポール講和条約が調印され、戦争は終結する事になった。

この講和の内容に対する日米両国の大多数の世論は極めて肯定的なものであった。もちろん講和内容が甘いとの意見も一部の右派から出るにはでたが、この戦争が朝鮮を舞台に進行したため、清国の国内は未だに無傷であり、陸軍主力や北洋艦隊主力は無傷、清国本土の占領地は0と史実より勝利の印象が薄い為、多数派にはなりえなかったのだ。

日米連合軍が戦後すぐに戦場の情報を詳細に公開したのも民衆が福岡条約を支持した理由の1つであった。特に清国が朝鮮で行った焦土作戦やこれによる連合軍の兵站への負担などがありありと示される事によって戦争を続けるべきと言う声も次第に縮小していった。

清国であるが、こちらもこの条約の締結は上層部からは評価される事になる。特に賠償金を元々の要求額であった4億5千万両から2億3千万両に減額させた上で支払いを無利子の30年分割払いにしたこと、租借要求を一部撤回させる事などの成功には光緒帝の政敵であった西太后自身も高く評価せざるを得なかった。

しかし、庶民レベルではこの条約は譲歩しすぎだと言う声が各地で噴出し、国内の保守派や貧民層ではこの条約締結を主導した光緒帝ではなく反対派であった西太后を支持していくことになる。
そして、宮廷内でに光緒帝派と西太后派の政治的内戦は日米連合との戦争により、政府および軍部を掌握する光緒帝派、民衆から支持を受ける西太后派とその権力基盤を変えはしたものの、その終わりは見えなかった。

168: ホワイトベアー :2022/02/25(金) 15:00:59 HOST:sp49-98-146-239.msd.spmode.ne.jp
数少ないの救いは軍事面では先の戦争で海防派が率先して整備した北洋艦隊が全く活躍しなかったことから塞防派が主導権を握る事に成功し、それまで各地でバラバラであった仮想敵国をロシア1国に絞る事が出来たことだろう。
しかも、朝鮮半島で中体西用の精神で編制された李鴻章の淮軍が洋式軍(実際には違うが)たる日米軍に完膚なきまでに敗北したことで、国威と主力を保ったままで軍事組織を含めたより徹底的な近代化改革を行えるようになった状態でだ。
以後、光緒帝派は政府機構の近代化と合わせて軍の近代化改革に力を入れていくことになり、清国の評価は眠れる獅子から目覚めつつある獅子に格上げされる事になる。

最後に、火事場泥棒的に満州を狙っていたが清国の主力も日米軍の主力もほぼ無傷な状態で戦争が集結し、さらに講和条約もイギリスの仲介の下で行われてしまった事で完全に介入の機を逃してしまったロシア帝国であるが、
彼らは一応国境付近から軍を引き上げはするものの、シベリア鉄道の完成をよりいっそう急ぐとともに太平洋艦隊および極東軍の増強を発表するなど、その野望を隠そうとすらせずに次の機会を伺う事になる。

そして、清国は内情も付近の情勢も安定しないまま、19世紀を終える事になってしまう。

169: ホワイトベアー :2022/02/25(金) 15:09:07 HOST:sp49-98-146-239.msd.spmode.ne.jp
少し短いですし、一応ではありますがこれにて朝鮮戦争完!!

???「ああ。やっぱり・・・我が国は最後まで纏まれなかったよ。我が国では政争が何より大事だからな。そうだな。次はこれを見ている奴らにも手伝ってもらうか」

そして、世界は帝国主義の時代から大戦と冷戦の時代に移り変わっていく。

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最終更新:2022年02月28日 12:15