16: 名無しさん2 :2019/05/02(木) 22:05:56 HOST:pw126245016105.16.panda-world.ne.jp
短編 エクシフの誤算

メトフィエス ーその名を持つ異星種族エクシフの王族はその端正な顔を怒りのあまりに歪めていた。もはや伝統的な価値観として破滅や滅びを是とする彼らエクシフであっても今の状態を喜んで受け入れようとするものはいなかった。何故ならー極秘のうちに築き上げられたエクシフ専用の刑務所に一族全てが拘禁されているためだ。しかも究極の目的であるギドラの召喚という目的を果たす途上で。

「おのれ、地球人。下等種族の分際でわれらエクシフの救済を拒むというのか!」

メトフィエスは、常の哲学者的な冷静さを投げ捨てて吠えるが、それはもはや負け犬の遠吠えでしかなかった。

エクシフ、かつて彼らの知る限りにおいて宇宙の最先端をゆく科学文明を誇ったこの種族は今や宇宙を蝕むガンと形容する存在に変わり果てていた。
ゲマトリア演算、彼らエクシフの科学の結晶である未来予知システムは宇宙の未来が熱力学的な死であると告げた。

ここで白い悪魔の獣のように宇宙の熱的死を回避するための努力をするという方向に行けば違っていたのかもしれない。あるいはビルサルドなる種族ならば、その選択をしていたかもしれない。しかしエクシフの選択は、破滅。

より正確に言えばエクシフが観測に成功した異次元に潜む上位の生物たるギドラ。宇宙が滅びるならば、ギドラの血肉の一部になろう、あるいはそうすることで自らも高次元生命体になれるやもしれぬとギドラにその身をささげることをエクシフは是とした。

それも自分たちのみならず、他の種族もそうあるべきと信じ巻き添えにする形で。宇宙に分派したエクシフ。その目論見であるギドラの召喚でどれだけ多くの生態系が崩壊していったかは計り知れない。ある意味では、惑星の免疫機構が生み出す怪獣の脅威よりもタチが悪い。

そしてエクシフは、地球にも飛来しギドラ召喚のための布石を打っていた。後は地球人の環境破壊に対抗するために怪獣さえ出現すればすべてうまくいくはずだった。だがそうはならなかった。

世界に散らばり潜伏していたエクシフは、今や虜囚のみだ。どうやって察知したかはわからなかったが、国連の常任理事国を構成する国々が全世界のエクシフの拘禁に突如として動き、抵抗するまもなく全員が拘束されていた。これでギドラの召喚を行うのは、ひとまず不可能になったといえる。

何故エクシフの存在を国連常任理事国が察知しえたかといえば、やはりその裏には夢幻会の姿があった。
19: 名無しさん2 :2019/05/02(木) 22:45:18 HOST:pw126245016105.16.panda-world.ne.jp
「これで獅子身中の虫の排除はひとまずうまくいったわけだ。」

「しかし、油断することはできない。何しろこの作品は、ゴジラのみならずさまざまな怪獣の手で人類文明が崩壊した作品だ。最終的にゴジラにのみ都合のいい生態系ができるという悪夢は、ごめんだ」

側近にさえも告げずに極秘のうちに国連常任理事国を構成する首脳は、ホットラインで会話を交わしていた。その中身は、かつて日本を太平洋戦争の勝者へと導いた夢幻会のメンバーである。その口調は、深刻そのものだ。

夢幻会のメンバーもこの世界に転生した当初は、史実の世界に近い並行世界に転生したのだろうと見当を付けていたが、残念ながらこの世界がアニメゴジラ三部作の世界であることに不幸にも彼らは時間こそかかっても気づいてしまったのだ。国連職員のマティアス・ジャクスン。それは、アニメゴジラの地球連合初代国家元首の名である。高名な生物学者には名前だけが明示されたゴジラ研究の一任者の姿があった。なにより日本の海上自衛隊には一流のサブマリナーとして海底軍艦の神宮寺大佐が、陸上自衛隊には権藤吾郎1佐の姿があった。余談だが、階級こそ違えど黒木特佐の姿も確認されている。

これらが導く出す結論は、この世界がアニメゴジラの世界であるということだ。そうと決めた彼らの行動は早かった。首脳会談の言動から同じ夢幻会仲間であると気づいていた彼らは、互いに連絡を取り合い事態打開に向け動き始めた。なにしろ地球の現代文明は、わずかな生き残りを残し壊滅、恒星間移民を試みた一派が帰還するも文明再建は叶わずじまい。ギドラによって惑星ごと捕食される恐れもあった。その未来を知るだけにかれらは真剣な対処を試みた。

「わかっている。まずしなければならないのは、環境の改善だ。この世界に怪獣が現れた理由は、平成ガメラやハリウッドゴジラと似たようなものだからな。」

「トップをねらえ!の宇宙怪獣や鋼の大地のアリストテレスと同じだ。環境を破壊する人類を滅ぼすために生み出される怪獣、さしずめタイプアースか」

「辻さん、経済界に納得のいくかたちて環境改善に向かわせる草案はできましたか。」

「財界も納得のいく形で環境改善に舵を切らせるプランは、作り終えました。たださすがに全世界となると・・・」

ハァっとそこで一同はため息をついた。怪獣の出現原因が環境破壊ならばと環境改善で出現を食い止めねばなれるのではと考えたが、やはり無理な考えだった。それに今からでは、1999年のカマキラスの出現に間に合わせるのは難しい。

「・・・とりあえず、カマキラスの出現に備えることにしよう。かなり経済的な混乱をもたらしたとあるから早期撃破するにかぎる。それに虫は嫌いだ。」

「怪獣の出現を完全に食い止めなくとも、その後環境改善をつづければいつか怪獣出現はやむかももしれないが、やはりゴジラの撃破を前提にしなければ・・・。」

「この世界の地球もゴジラにだけ有利な生態系を築き上げたり、人類殲滅にダガーラを使うあたりまともに環境改善してもやめるかわからないしな。」

「この作品のゴジラは、構造上の弱点をかかえている。なんとか軍事力を強化して、弱点をつく形で撃破できるようにしなければ。」

「弱点をついてもゴジラに対処されている。empハープーンみたいまものをつるべうちにするとしても、他にも対策は作っておきたい。」

「ああ、GFORCE製のメカゴジラかMOGERAを建造してみせる。最低でもNT1があれば、決戦増殖起動都市状態でも活動できる。」

「ゴジラの熱線、いや荷電粒子ビームのempにも対策をしなければ・・・」

この世界のゴジラは、なめていいわけではい。何しろ電磁バリアもあるとはいえ核の直撃に何発も耐え、火力も強力だ。しかし、明確な弱点が描かれている。ゴジラ体内の電磁波を見出せば、過電流で死に絶えるという致命的な弱点。万一ゴジラが出現したならば、その弱点で殺すつもりだったが、アニメでゴジラは電磁波の乱れによる高熱をうまく逃すことで耐え切ってみせている。

20000年進化したゆえかもしれないが、今のゴジラが可能な対処かどうかは神しか知りようがない。そのため、実写版のGFORCE超兵器の開発を急務だった。アニメではゴジラが対処のために発した数千度の熱に装甲が持たず、 致命傷を与えられる兵器の連続攻撃ができないというハメだったが、この二種類なら耐えられる。

20: 名無しさん2 :2019/05/02(木) 22:55:13 HOST:pw126245016105.16.panda-world.ne.jp
「確か南米にはモスラがいたな。バトラと協力すれば、ゴジラを倒せるもしくは接近阻止はできるといわれている。

「協力を依頼する手はずをととのえる必要があるな。バトラは牙を剥きそうで怖いが・・・。」

「ゴジラ対策も大事だが、それ以外の怪獣にも気をつけないと。下手に手出ししない限りは大丈夫だが、この世界にはヘドラと・・・」

「デストロイアがいる。最も集合合体したとしても、ゴジラに敗北したんだろうけど。オキシジェンデストロイヤーもバリア持ちには効き目がないからな。」

ゴジラ以外の怪獣に目を配る必要がある。スペースゴジラはこの世界には存在していないが、明らかにデストロイアらしき怪獣もほのめかされている。
ヘドラも公害物質を取り込み、誕生すれば中国を単独で壊滅的できる化け物とかする。

「対米戦の方がまだ楽だな。ビルサルドはどうする。エクシフにも誤算な宇宙の迷子だが・・・。

「受け入れはするさ、怪獣対策にかれろの技術は有益だからな。ただ価値観の違いであいいれないなら排除もやむなしだ。」

ゴジラも含む怪獣から地球文明を存続させる。夢幻会の難題への挑戦はつづく。

21: 名無しさん2 :2019/05/02(木) 22:56:06 HOST:pw126245016105.16.panda-world.ne.jp
以上で。うぃきへの転載は任せます。

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最終更新:2019年05月10日 14:29