23:ホワイトベアー:2022/10/25(火) 22:09:02 HOST:157-14-234-250.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
日米枢軸ルート 第17話 改訂版

サンクトペテルブルクにて発生した『血の日曜日事件』は、ロシア皇帝であったニコライ二世の暗殺未遂も発生するなどその内容が内容なだけに瞬く間に世界を駆け抜け、多くの国々に衝撃をもたらした。

それはロシアと現在進行系で戦争中であった日本やアメリカでも変わらず…いや、むしろ戦争中であるがゆえにあらぬ疑いをかけられる可能性が大きいこともあって、報告を受けた夢幻会の会合では政治家や外交関係者達の多くが頭を抱えなたり、
噓だと言ってよバー〇二ーしたり、某幻想殺しのように叫んだりするような光景が発するなど日本政府やアメリカ政府の人間がうけた衝撃は他国のそれを上回っていた。

状況が状況故に事件の黒幕と見されかねない日本政府とアメリカ政府は、ニコライ二世暗殺未遂の情報が届くや否や、
暗殺未遂に関わっているのではないかという疑念を払拭するために異例の速さで見舞い文とニコライ二世の回復を願う声明を発表。
また戦争中ではあったがフランスの仲介の下に見舞いのための特別特使を派遣するなど外交的に自分たちは無関係であること示していく。
また、こうした外交活動の実施と合わせて、日米両国は未だに黒溝台会戦後の総司令部に行われた大粛清の混乱から立ち直れておらず、大規模な軍事作戦を実施するのが困難な日米連合軍の状況を利用して、
『テロの影響で混乱している相手を攻撃するのはファインプレーの精神に反している』という名分の下に来年4月14日までのおよそ4カ間は満州及び極東ロシアにおいて自衛のための行為を除いた如何なる戦闘行為も行わないと発表。
動きたくても動けないという事実を『日本の武士道』『アメリカのファインプレー精神』に基づいた行動という美談に塗り替えた上でプロパガンダとして広めていくなど、
欧州諸国におけるイメージ向上を主目的とした世論誘導や宣伝工作の強化に動いていく

こうした日米の動き、特に満州における事実上の侵攻停止は国内の混乱に対処するにしても満州に増援を送るにしても今は何より時間が欲しいロシア帝国側からしても望ましいものであり、
自身らも日米連合軍と同様に自衛を除いた戦闘行為の不実施を発表。日米連合軍とロシア帝国軍の間で事実上の停戦が成立し、満州は戦前のような静けさを取り戻すことになる。

しかし、両軍ともにこの平和が長く続かないことは十分理解しており、双方ともに春に来るであろう決戦に備えて戦力の再編に力を注いでいった。

日米連合軍は日本軍自慢の工兵隊(機械化)をフル活用する事して各港湾施設の機能拡大や接収した東清鉄道の主要な軌道の複々線化。
遼陽と太連、営口、朝鮮半島などの各兵站拠点を結ぶ軌道の設営を突貫工事で完成させ、さらに鉄道網を補完するように自動車輸送部隊向けの道路網を整備するなどインフラの再整備を急速に進めていった。

また、インフラ整備と並行して兵站部隊向けに大量のトラックとそのドライバーを、兵站管理部門向けには一等軍事機密に指定されいたのトラジスタコンピューターを本国から分捕ってくるなど兵站能力の根本的な拡充にもかなりの力を注いでく。

戦力の増強も同時に行われており、日本本土で新たに編成された第5軍とアメリカ本土で新規編成された第6軍が日米連合軍の麾下の編入される形で満州に派遣される。
これにより日米連合軍地上軍は師団規模以上の戦力だけでも機甲師団6個、歩兵師団30個、空挺師団5個が満州に展開しており、旅団以下の独立部隊や後方支援部隊も合わせると連合軍の兵力は満州全体で140万ほどにまで膨れ上がっていた。

対するロシア側であるが、こちらは停戦協定が発効したことで補給状態の改善こそなされていたが、
その一方で戦前の対日戦略では派遣されることとなっていた増援は『血の日曜日事件』とそれによっておきた『第一次ロシア革命』
によって国内が混乱状態に陥っていたことや、一カ月ほど前に欧州で発生した『第一次モロッコ事件』を巡り同盟国であるフランスとドイツとの間で緊張が高まっていたことからそのほとんどが満州に送ることができず、
新たに満州総軍が手に入れた戦力はドン・コサック軍団の一部のみだった。

それでも、上記のように停戦協定の発効に伴い日米連合軍が航空戦力によるインフラ爆撃を中止したため、停戦期間中の兵站状況はある程度は回復し、
小規模ながら援軍も受けられたことでロシア満州総軍の兵力が65万程度まで回復するなど完全とはいえないながら戦力の回復には成功した。

しかし、いくらある程度戦力を回復させられたと言っても、その回復数よりも多くの増援を日米連合軍は満州に送り込んでいる。
このときの日米の戦力差は単純な兵力だけでも倍以上の差があり、装備の質でも大きく引き離されている以上、
まともに戦っても勝利できる可能性は極めて低いことは自明の理である。

24:ホワイトベアー:2022/10/25(火) 22:09:42 HOST:157-14-234-250.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
満州総軍の理想としては停戦期間中に奉天を放棄して満州奥地に部隊を撤退させ、日米連合軍を満州奥地に誘い込むことで兵站を圧迫し、
日米連合軍の疲労がピークに達したところで決戦を挑むことが望まれていた。

しかし、サンクトペテルブルクから始まった混乱がロシア全土に拡大し、ロシア帝国の威信が揺らいでいる状態で黄色人種主体の軍隊から戦う前に退却するこ場合の政治的リスクや、
仮に満州奥地に撤退したとしても、『血の日曜日事件』を契機とする混乱の拡大でロシア帝国の工業力が著しく低下している上に、
停戦期間終了後に再度開始されるであろう航空戦力によるインフラ攻撃のことを考えると日米連合軍よりも先に自分たちの兵站が耐えられなくなる可能性が大きいことなどの理由でこの方針は棄却され、日米連合軍を奉天で迎えつことした。

方針が決まった(決められた)ロシア軍は、彼我の戦力比を少しでも埋めるべく停戦期間中に戦力の再編と並行して奉天の防備強化を実施し始める。

幸いと言うべきか、奉天は満州でも最大の大都市ということもあって労働力、資材ともに多く存在しており、
労働力として徴用した多くの清国人の犠牲こそあったものの春までには奉天周辺に塹壕や既存の建物を利用した簡易トーチカなどを備えた強固な防衛陣地を奉天一帯に構築し終え、
万全とはいかないまでも日米連合軍を迎え撃つ準備を整えた。

1905年4月、停戦期間が終了するや否や、連合軍総司令部は時間を置かずに奉天で援軍を待ちつつ防備を固めていくロシア満州総軍に対しての大規模な攻勢作戦である《ベアーズ・ハント作戦》を開始する。

この《ベアーズ・ハント作戦》の大まかな内容は、第一段階にロシア軍砲兵部隊および奉天一帯の各種防御施設や鉄道などの防御設備及びインフラを目標とした航空戦力による対地攻撃を実施。
この攻撃でロシア軍を混乱させている間に機動力の高い連合軍第2軍および連合軍第5軍の主力をロシア軍の両翼に展開させ、ロシア軍を圧迫する。

同時に第2軍の一部をロシア軍の後方に展開させ、哈爾浜=奉天間の鉄道を遮断し、ロシア満州総軍を奉天に封じ込め、第2軍および第5軍に対抗するべく両翼に援軍を出し、
手薄になったロシア軍正面に戦車を中核に鉄槌軍として編成された連合軍第4軍による攻勢をかけ、ロシア満州総軍を包囲殲滅するという内容であった。

そして、4月27日、清国政府からの都市爆撃許可を得た連合軍はそれまで控えていた奉天をはじめとしたロシア軍の主要拠点がある都市への爆撃をも開始される。

この時に動員された爆撃機は四式戦略爆撃機と三式戦略爆撃機であった。両機種ともに日本海軍の戦略爆撃部隊の主力を担う大型爆撃機であり、
両機種あわせて200機近い一大航空部隊が爆弾の雨を降らすために奉天に襲いかかったのだ。
当然、せいぜい既存の機関銃を現地改修した対空機関銃モドキしか対空装備がなかったロシア軍が満足な防空体制をとれるはずもなく、
連合軍航空隊は大した妨害も受けずに悠々と奉天に爆弾を落とす事ができた。

無論、ロシア軍もウラジオストクや遼陽での経験を活かして都市部中央の地下に弾薬庫などの重要施設を作るなどの対策をたて空襲にによる損害を減らす工夫をしており、
さらにいくら許可があろうともさすがに民間人が多くいる可能性のある都市部中枢に爆撃することは国際世論的にもできないという日本側の事情から、
これまでよりかは爆撃の被害を抑えることができた。
しかし、市街地外に展開していたロシア軍部隊には人間の盾が存在しないことから市街地に爆撃できない分も含めて徹底した爆撃を受けることになる。

とくにロシア軍が世界に誇る砲兵隊に優先的に航空攻撃が行われていく。
砲兵隊が最優先で狙われた理由は極めて簡単であり、これまでの戦闘でロシア軍の野砲によって少なくない数の戦車が撃破されてしまっていたからだ。

これは戦車を中核とした第4軍による攻勢を計画していた連合軍からしたら非常に由々しき事態であり、損害を少しでも減らすべく砲兵隊への攻撃を優先させたのだ。

この時の連合軍は繰り返し行った航空偵察やインテリジェンス組織が集めた情報、清国から提供された情報などからほぼ正確なロシア軍の陣地配置を把握しており、
その事もあってこの空襲によりロシア軍砲兵隊は甚大な損害を受けてしまう。

この空襲は一度では終わらず、戦略爆撃機の他に戦術爆撃機、攻撃機などの対地攻撃機で構成された航空部隊による6派に渡る航空攻撃が行われた。

25:ホワイトベアー:2022/10/25(火) 22:10:14 HOST:157-14-234-250.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
連合軍航空隊は第一派では砲兵隊などの前線部隊を狙って爆弾を落としていたが、それ以降は鉄道などのインフラも爆撃の目標となり、
奉天一帯には展開するロシア満州総軍主力への激しい空爆がロシア軍を襲った。
また、これと同時に少数で編成された複数の日本軍コマンド部隊が通信破壊活動を開始、奉天のロシア満州総軍司令部と後方部隊の連絡を遮断し、
日米連合軍は奉天を実質的に孤立させることに成功する。

6波に渡る空襲と通信遮断によってロシア軍が混乱している隙をついて最右翼に展開していた第5軍が進軍を開始、一日でロシア軍右翼の重要な拠点であった清河城を陥落させる。
また、第5軍の進軍開始と合わせて最左翼に展開していた第2軍がロシア軍左翼への攻勢を開始、さらに第2軍所属の第16歩兵師団が鉄嶺攻略を目指して北上を開始する。

第5軍と第2軍が連動して両翼から圧力をかけたことで、ロシア軍は奉天で待機していた貴重な予備兵力を二分して両翼に送らざるを得なくなり、
援軍を受けたロシア軍によって第5軍と第2軍は苛烈な抵抗を受けることになった。
とくに第2軍は鉄道遮断を恐れたロシア軍から苛烈な抵抗を受けることになり、苦戦と言うほどではないが他の軍よりも多くの犠牲を払うことになるが、
それでもその役割を無事に果たすことに成功し、4月30日にはロシア軍から鉄道を利用した撤退と言う選択肢を奪うことに成功する。
ロシア軍はこれを奪還しようと右翼から2個師団、中央から1個師団の兵力を撤退させ、その兵力を鉄嶺に向けたため、必然的に戦線中央の戦力は低下を余儀なくされる。

その隙を見逃すほど日米連合軍も甘くはなく、増援を受けたロシア軍左翼部隊による第2軍への攻撃が確認されると戦線中央への攻勢を開始した。
攻勢開始の決定を受け、日米連合軍は第1軍、第3軍、第4軍、第6軍、第7軍の砲兵隊を集め、その総力を持ってロシア軍陣地に大量の砲撃を叩き込んだ。
この時はおおよそ24時間もの間、ロシア軍に向けて雨霰と榴弾や徹甲弾を打ち込んでいき、これによりロシア軍大打撃を受けることになった。

そして、翌日の正午、第4軍がロシア軍にロシア軍第1防衛陣地への突入を開始。
この第4軍は3個機甲師団と3個機械化歩兵師団、軍直轄砲兵によって構成されている大日本帝国最大(つまり現状の世界で最大)の打撃兵力であり、
第4軍のみで1,300両を越える戦車とその3倍以上の人員輸送車両を有していた。これほどの戦力が戦車を先頭に攻撃を開始したのだ。

ロシア軍も残っている機関銃や野砲、榴弾砲を持って第4軍に攻撃を加えるが、装甲化されている第4軍はこれを意にも返さず突撃を継続、
多少の損害を出しながらも短時間で第1防衛陣地を突破、そのまま間をおかずに第2防衛陣地も突破する。

日米連合軍の快進撃に慌てたグリッペンベルグは両翼に派遣していた予備兵力を急いで戻して中央の防衛に当たらせるが、これによって両翼のロシア軍はその戦力が低下。
ロシア軍の抵抗が弱まったことから第2軍および第5軍も攻勢に転じ、両翼に展開していたロシア軍を敗走に追い込んだ。

時ここにいたりグリッペンベルグは撤退も考えたが、足の早さは連合軍側が圧倒的なまでに高いことや、第2軍および第5軍により後方が遮断されていることからこれは不可能と判断、
これ以上の損害は無意味だとして5月8日午前11時34分、指揮系統が破綻する前に連合軍への降伏を宣言する。

ロシア軍の降伏宣言を受けて連合軍はグリッペンベルグ大将らに二十四時間の猶予を与え、1夜たった5月9日にロシア帝国南満州最大の拠点であった奉天に入城、
現地で規律を保ち待機していたロシア軍の武装解除を実施した。

満州総軍総司令部からの降伏命令を受けたロシア軍はその大半が命令に従うが、それでも一部は死に物狂いで連合軍の包囲から突破を図る。
しかし、敗残兵でまともな統制も取れないこうした部隊が連合軍の包囲を突破できるはずもなく、その大半が満州の地に倒れることになった。

奉天における会戦によって連合軍は死者16,000名、負傷者86,000と言う損害を出すことになったが、ロシア満州総軍65万のうちおよそ12万を戦死または行方不明にし、
さらに48万近くの人間を捕虜とすることに成功する。

これはロシア満州総軍にもはや連合軍に対抗できる戦力がないこと同義であった。本来なら即座に本土から援軍送り込むはずであるのだが、
各地でおきる暴動の鎮圧やドイツへの抑止力として欧州方面で軍事力が必要であり、満州に送り込める戦力がなかったのだ。
さらに、この敗北が日本が作成したニュース映画などを通して大々的に欧州各国に伝わったことからロシアの国債は大暴落、もはや戦費を集めることすらも難しくなってしまう。

26:ホワイトベアー:2022/10/25(火) 22:10:49 HOST:157-14-234-250.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
こうした事情により連合軍は満州での絶対的な優位を手にすることに成功。
これを受けたフランス ルーヴィエ首相はこれ以上戦争が継続することによって同盟国であるロシアが弱体化し、相対的なドイツのプレゼンスの拡大を恐れ、
デルカッセ外相を通して両陣営に講和を打診する。
この動きは大々的に公表され、ドイツの強大化を恐れる欧州各国からも支持されていき、ロシアは5月12日に、連合国は5月14日に公式にこの打診を受諾、
フランスの港湾都市 マルセイユにて和平交渉が行われることが決定した。

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最終更新:2022年11月18日 23:38