485: 第三帝国 :2019/06/25(火) 23:12:49 HOST:70.244.32.202.bf.2iij.net

銀河連合日本×神崎島ネタSS――——――「始動、戦略機動演習」

―――――――軽巡洋艦「能代」艦長室。


「Hello!
 ようこそ!歓迎するわコウサカ君」

「『いずも』で合った時以来だね君とは」

「ん」

「こ、こんにちわかもです!」

「やあ、歓迎するよ同志!」

「にひひー。
 一緒に頑張ろうねー」

「よろしくお願いしますね、ね」

少女。
否、艦そのものである駆逐艦と軽巡洋艦の艦娘達。
「Jervis」「時雨」「若葉」「高波」「Ташкент」「Samuel B.Roberts」「由良」から歓待された。
空母の艦娘である「大鷹」は小さく頭を下げ、「隼鷹」は片手を上げるなどそれぞれの流儀で挨拶をしている。

「はい、こちらこそよろしくお願いします」

分かっていたとはいえ見た目が「幼い金髪美少女」や「発育がよろしいJKないしJC」
も関わらず軍艦の艦長。
おまけに全員の指から見える結婚指輪――――――ケッコンカッコカリでなく結婚ガチで人妻という状態。
などと見た目のギャップに対する動揺を観戦武官として乗り込んだ香坂裕三等海佐は何とか内心で抑える。

「それにしても物好きね。
 戦艦や空母でなくて態々駆逐艦に乗りたいと自分から希望するなんて」

声色こそ幼い少女が出す高いイントネーシン。
表情も無邪気そのものであるがJervisがやや探るような目つきをしていたのを香坂は見逃さなかった。

「北の大西洋で露天艦橋にこだわり続けた英国人にはおよびませんよ」

香坂はそう答えた。
日本語でなく英語、それも英国英語で。

「あはははは!いい切り返しね!
 英国海軍の弟子がユーモア精神を忘れていないのはうれしいわ!」

思わぬ反応にJervisは腹を抱えて笑う。

486: 第三帝国 :2019/06/25(火) 23:13:27 HOST:70.244.32.202.bf.2iij.net
「加えて自分は次の人事で護衛艦の艦長になる予定ですが、
 その前に潮気を浴びようと思い、乗る船は好んで塩水を被ると聞く貴女の艦を選んだ次第です」

香坂はさらに言葉を続ける。

「ますます、気に入ったわ!
 ダーリンもなかなかセンスがいいけど貴方もいける口ね!
 嬉しいわね、英日同盟がいまだ健在であると確信できるみたい」

罵倒と冗談の境目を逝く言葉であったが、
聞き手は根性が捻くれた英国人であるがゆえに大うけであった。

「オホン、相互理解を深めているところで悪いけど本題に入りましょう。参謀長!」

「イエス・サー」

戦隊司令兼軽巡洋艦「能代」の艦長を務める艦娘「能代」が発言する。
それに英国系の参謀妖精さんが応じ、資料を全員に配布して司会を開始する。

「今回の演習内容は船団護衛。
 我々は船団護衛部隊として竜宮島へ向かう。
 船団規模は50隻、運ぶ兵力は2個師団、さらに装備、弾薬、など各種機材。
 特に目玉なのが防衛装備移転三原則に基づき二ホンより購入したタイプ10戦車。
 現代において最新の戦車の1つであるこの存在は領土的野心を隠そうとしないどこぞの大陸に対してどのような意味を持つか言うまでもない」

「よく買えたね100両単位で。
 アレ、本土でも貴重だったんじゃないか?」

資料をめくりながら日本のことを本土と呼ぶ隼鷹。

「詳しいことは不明だけど聞いた所、
 生産にヤルバーンが関わっているみたね、ね」

由良の言葉に宇宙人たちのチート具合に慣れているせいか「まあ、そうだな」と納得の空気が流れる。
もっとも香坂は「物理法則を無視する艦娘のほうがチート」と内心で呟いた。

「船団を直接護衛する我々とは別に2個の機動戦隊が参加する。
 なお機動戦隊とは米軍で言うところの任務部隊に相応する部隊であり、主に船団の両側に展開することとなっている。
 なお演習は船団が竜宮島へ到着した時点を以て終了となっており半舷上陸が許可されている、何か質問は?」

参謀長、エヴェレット・ヒースが用意された紅茶で喉の渇きを満たして質問を促す。

「演習において水中からだけでなく水上からの攻撃の想定しているのでしょうか?」

真っ先に挙手して質問したのは香坂であった。

「現段階では敵勢力。
 青軍である我々に対して赤軍役の戦力は公表されていない。
 しかしこの演習を発案した人物は曰く『混沌とした戦況でこそ演習の意味がある』とのことだ」

「つまり何でもありですか」

「正にその通り。
 発案者は言うなれば魔女の大鍋を期待しているようだ」

呆れ気味に言う質問者に苦笑気味に答える。

「あの時の戦争ではよくあったことだ」

若葉がボソッと言葉を口にする。
「あの時」に込められた時間軸が深海棲艦との戦いではなく太平洋戦争。
あるいは第二次世界大戦の時の事を指摘しているのがこの場にいた全ての人間に共有された。

「さらに質問があるのですが、この戦隊の名前は?」

香坂が艦娘たちから発せられる暗い空気を無視して話題を振る。

「・・・臨時編成だから番号もないし通称名もまだ決めてないわね、そういえば」

忘れていた、と能代が呟く。

487: 第三帝国 :2019/06/25(火) 23:14:38 HOST:70.244.32.202.bf.2iij.net
「だったら親衛鉄壁戦隊なんてどうだい!」

「却下」

Ташкентがここぞとばかりにソビエトでなおかつ革命的な命名を披露する。
が、即座にSamuel B.Robertsが真顔で拒絶する。

「え、えっとサメさん戦隊とか・・・」

なんだかガールズ&パンツァーな戦隊名を言う高波、可愛い(ここ重要)
なお本人たちはリアルで存在している。

「黒色槍騎兵戦隊」

僅かに唇を動かして発言する若葉。
最近見た旧アニメの影響らしく表情に変化はないが瞳が輝いている。

「蹂躙戦隊とかどーよ!」

弧状列島に住まう民族が先祖であり、
人工的に生み出された種族を設定に取り組んだ小説から影響を受けた隼鷹が発言する。

「青き鋼の戦隊とか、どうかな?」

一時期鎮守府に滞在していた「霧の艦隊」の面々を思い出しつつ由良が言う。
蛇足だがヤル研では鎮守府が提供したナノマテリア、超重力砲、侵食魚雷などのデータに狂喜乱舞した。

「えっと、すみません。
 今は思いつかないです・・・」

と、謝罪の言葉を発する幼妻、もとい大鷹。

「ねえ、この演習っていずれ来る戦争の夏への準備でしょ?」

ああ、でもない。
こうでもないと騒いでいる中。
Jervisが一つの意見を口にする。

「Summerから連想できるものといえばTyphoon、だからタイフーン戦隊なんてどうかしら?」

「ほう、ガールズばかりで男性陣として肩身が狭い日々でしたが、
 蛆虫が湧いた乾パンを主食としたネルソン提督時代以来、久々に本当の海軍らしい気分になりますな、司令」

エヴェレット・ヒースが今どきのリベラルから女性蔑視!
と言われるであろう意見を発する。

「だったら、そのガールズから意見を聞きましょうか」

能代が英国系妖精さんの捻くれ具合に飽きれつつ言った。

「悪くない」

若葉が一言で纏める。

「アカ臭い命名よりずっといいね!」

そう笑顔で毒を吐くSamuel B.Roberts。

「ならば問題ないわね」

他の面々も反対的な意見と態度がないのを確認した上で能代が続ける。


「皆、少しばかり遠出でもしましょう。
 いずれ来る戦争の夏に向けた予行演習として」





おわり

488: 第三帝国 :2019/06/25(火) 23:21:12 HOST:70.244.32.202.bf.2iij.net
以上です。
投稿頻度が低いにも関わらず、
支援ネタを投稿してくださったことに百万の感謝を。

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最終更新:2019年06月29日 11:36