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日墨ルート 第一次世界大戦1
第一次世界大戦勃発の原因は諸説ある。
例えば、代表的なものとしては当時英独の間で繰り広げられていた建艦競争が挙げられる。これはドイツ側が日本を目標としたことに対し(注1)、イギリスがそれに反発したことから始まった競争だが、イギリス国内の福祉を重視する派閥からの反対により、中途半端に終わったことによりイギリス国内、特に海軍内部では不安と不満が渦巻いていた。
また、もう一つの火種としてはモロッコ問題が挙げられる。辛うじて独立状態にあったモロッコに対し、フランス第2帝政とドイツがそれぞれ自国の勢力化に置こうとして生じた外交上の対立であり、似たような問題としてはロシアイギリス間のイラン問題もそうだったし、より規模は大きかったが中国大陸を二分していた内戦も概ね列強間の勢力争いと見てよかった。

しかし、戦火は予想もしないところから燃え始めた。きっかけは、オーストリア=ハンガリー帝国の再編構想と伊土戦争だった。
当時、オーストリアでは既存のオーストリア=ハンガリー帝国にクロアチアを加えた形での再編構想とクロアチアの代わりにボヘミア(チェコ)を加えた形での再編構想があり、
前者を時の皇帝フランツ・ヨーゼフ1世が、後者をフランツ・フェルディナンド大公が支持していた。前者は宗教による統一という面を重視した構想であり、後者は工業力を始めとした国力を重視していた。
結局、この帝国再編はフランツ・ヨーゼフ1世に押し切られる形で前者を基本に進められていくことなった。その第一歩として、過去クロアチア王国の領土でありベルリン会議以来オーストリアが行政権を握るボスニア・ヘルツェゴビナの併合が提案された。

一方、名目上とは言えボスニアを領土とするオスマン帝国からしても、伊土戦争の実質的な勝利によって高まったナショナリズムに伴い、放棄という選択肢は難しいものになりつつあった。特にかの地にボシャニク人と呼ばれるムスリムが居住していることはその問題をややこしくしつつあった。

結局、両国の間での話し合いは流れてしまい、オーストリア側の代表であるカール・フランツ(注2)とオスマン帝国大宰相サイード・ハリムの二人は両国の友好をアピールするとの名目で形だけのパレードを行っていた。銃声が響いたのはその時だった。サラエボ事件の勃発だった。

犯人のセルビア人テロリストはその場で射殺されたが、カール・フランツは死亡、サイード・ハリムも重症という自体に、オーストリア、オスマン両国はセルビアに対して厳重な抗議を行った。
これに対しセルビアは両国に対しすぐに屈服するかと思われたが、ここで横槍が入った。
イタリア王国とロシア帝国だった(注3)。両国は銃撃事件に対し、哀悼の意を表しながらも解決のための国際会議開催を提案し、更にはセルビアを除くバルカン各国からなるバルカン同盟を結成する事により、オーストリアとオスマンに対し圧力をかけさえした。
これに対し、オーストリアとオスマンは一歩も引かず総動員を開始、対抗する形でイタリアとロシアも動員を開始した。
イタリアの動員に不安をおぼえたオーストリアは、フランスにも動員を要請。これに答える形でフランスも動員を開始した。
さらにこれを見たベルギーがドイツに対し進駐要請を出すと、すでに世界大戦と言う名の銃の引き金には半ば手をかけられた様なものだった。

しかし、それでも尚、非戦への望みを捨てなかった人々がいた。ベートマン首相率いるドイツ政府とアスキス首相率いる英国政府だった。彼らはオランダ王国ハーグでの国際会議によってこの緊張を解決しようとしたのだ。
だが、その動きはドイツ帝国を支えるもう一つの柱ドイツ軍部によって阻止される事になる。
陸軍は従来の作戦計画上の懸案事項だったイタリア、ロシアの動員という問題が解決された今こそ対仏澳戦に踏み切るべきと主張した。
また、海軍も英国海軍が徐々に規模を拡大させつつある点を指摘して、彼我の戦力差が広がる前の開戦を主張した。

こうして、第一次世界大戦の幕は切って落とされた。

注1ちなみにこの時日本は筑波型4隻、金剛型4隻、薩摩型4隻、扶桑型4隻の第一次八八艦隊計画を進めていた。
注2フランツフェルディナンド大公がサラエボ行きを嫌がったため代理として訪れていた。
注3イタリアは伊土戦争で失墜した国威回復の為、ロシアは汎スラヴ主義的感情のため。

274: 透過の人 :2019/07/03(水) 23:50:57 HOST:softbank126077075064.bbtec.net
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最終更新:2019年07月09日 10:32