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1942年1月 東京 夢幻会会合場所


「やっと参戦できましたね。」

「そうだな、我が軍だけでなくロシア向けの兵器生産も順調だな。」

「まあ少数とはいえ連山も供与するとは、それにライセンス生産も・・・。」

「彼らはすでにPe8を保有してるから運用は問題ない。それに富嶽も試験機が完成した。上手くいけば今年中に量産に入れる。」

「そうですね。それにしても良いんですか、この狂気の艦隊計画は。幾らなんでも56㎝は・・・。」



      「日米露三国同盟~落日の欧州」11


 1942年1月、遂に同盟を組んだ日米露は攻勢を開始した。
まず太平洋方面での安全を確保すべく、頑迷にも抵抗を続ける豪州を制圧することを決定。
フィリピンやトラック諸島から出撃した日米艦隊(※1)が魚雷艇や特設戦闘艦(※2)を中心とした豪州海軍を
1週間かけて念入りに排除。そして2度目となる豪州主要都市への艦砲射撃を行った。
その間にほぼ無欠占領したポートモレスビー付近に日米工兵隊が大量の重機を使用して大規模な飛行場を建設した。
同時に自分たちの側に引き入れたニュージーランド(※3)にも日米が進出して飛行場を含む軍事基地を建設。
そられを拠点に豪州本土に対して爆撃を開始した。

 2月に入るとオーストラリアは既に息絶える直前の様な状態になっていた。
海からは戦艦の艦砲射撃、空からは艦載機と重爆による空襲で軍基地はおろか、軍需工場まで虱潰しに破壊されて小火器だけでなく
弾薬すらも生産が困難な状態に陥った。船という船も発見次第全て沈められ、航空戦力も壊滅。
 残る陸上部隊だが正規師団が10個と民兵・義勇兵部隊とそれなりに存在してはいたが装備・練度が劣悪で重装備も旧式が殆どで
それすらも充足率が足りていなかった。戦車も開戦前に届けられたマチルダⅡが10両とカヴェナンターが30輌程。
民兵・義勇兵にいたっては主要装備が猟銃や拳銃で中にはホームガード・パイクや鉈、鍬といった農耕器具を持つ者すら居た程で
他にも少数だが”白豪防衛少年少女団”というヒトラーユーゲントもどきの少年兵部隊が編成される有り様だった。

 そして2月14日、遂に日米軍はオーストラリア本土に上陸した。
パース(2個師団)、ダーウィン(2個師団)、ケアンズ(2個師団)、アデレード(3個師団)、ブリスベン(3個師団)、
シドニー(2個師団)、メルボルン(3個師団)+予備3個師団と20個師団を7箇所に一度に上陸させるという物量に任せた
強引な上陸を開始。対するオーストラリア軍は前述どおり海空戦力が壊滅状態であり、有力な部隊は全て首都キャンベラ周辺に
結集している為、各地の守備は弱体であった。
 上陸した日米軍は制圧地域を増やして行ったが途中で狂信的な白豪主義者による熾烈な抵抗もあった。制圧した都市の住民や
捕虜にしたオーストラリア兵が米軍に

「白人の裏切り者」  「劣等種に媚びて同胞の白人を殺すのか」

といった罵声を浴びせる一幕もあった。

680 :ライスイン:2014/04/17(木) 17:01:35
また白豪防衛少年少女団による無謀な突撃(※4)では味方に戦死者は出なかったが精神的に衝撃を受けた
者は多かった。
 その様な攻撃で被害を出しつつも進撃を続けた日米軍は3月1日には東部地域を首都周辺を除いて征圧。
西部は広大な砂漠があり、制圧が遅れていたがそれでも残す主要都市はアリススプリングスのみであった。
 ここで日米はキャンベラに立て篭もるオーストリア政府に対して使者を送って降伏を勧告した。
オーストラリア政府内では”徹底抗戦し、白人の自由と尊厳、名誉を守る”といった強硬な意見も出たが正規軍はほぼ壊滅して
残すは僅かな民兵と少年兵という状態。同盟軍は増援を寄越す余裕も無く、完全に包囲されているので脱出して亡命をすることも出来ない。
そしてこれ以上抵抗しては国家の再建も不可能になる。ならば劣等人種と裏切り者に降伏する屈辱に耐えてでも国家再建の道を探る。
最終的にこの様な意見が大勢を占め、オーストラリア政府は日米に降伏した。

 3月3日、日米軍はキャンベラに入城した。先鋒は日本軍所属の義勇アボリジニ中隊と米軍の黒人兵(※5)だった。
屈辱に顔を歪めながら降伏文書にオーストラリア首相がサイン後、生き残った政府・軍高官は全員拘束され、グアムに作られた
収容所に送られた。生き残った兵士や民兵は武装解除された後に本土内の収容所に収監されたが戦争犯罪の疑いがある者に対しては
高官達と同様にグアムの収容所に送られた。
 当面の統治だが親日米的な政治家は国家レベルでは殆どいなかった為、占領軍総司令部が直接統治することになった。
占領軍の最高司令官には日本軍の今村大将が選ばれ、新たに送られてきた文官や治安維持用の部隊と共に職務に当たる事になった。
そして攻撃部隊は一部を除き、治安維持部隊と入れ替わるように帰還、次の作戦に備えるのだった。


 他の方面ではアジア・太平洋の英仏植民地は日米加軍により制圧(※6)。またフォークランド諸島もアメリカ海軍の援護の元、
アルゼンチン軍(※7)によって奪取されていた。
その影響でインドでも暴動や反乱が多発。またボース率いる自由インド軍による浸透攻撃や離反工作も行われていた。
そして北アフリカでは・・・とんでもない事態が起きていた。

 1942年2月19日、米軍及びカナダ軍がトーチ作戦を発動。ジブラルタル要塞を圧倒的な艦砲射撃で粉砕・沈黙させると共に
イタリア本土とリビアに増援部隊を送り込み、更にはフランス領チュニジア・アルジェリアやスペイン領モロッコに大規模な
部隊を上陸させた。この時に同盟軍が戦艦リシュリュー(仏)、ナポレオン(仏)、アルフォンソ3世(西)、ハイメ1世(西)、
ネルソン(英)、ロドネー(英)、巡洋戦艦オセアニア(豪→英)及び空母(以下英)カレイジャス、グローリアス、
イーグル、ハーミーズ、を中核とした艦隊を差し向けてきた。しかしハルゼー率いる米機動部隊(エセックス級4、ヨークタウン級3、
インディペンデンス級4)が圧倒的な航空戦力(※8)で同盟艦隊を蹂躙した。
 一撃目で同盟艦隊の空母が全て沈められ、スペインの戦艦2隻も撃沈された。そして2撃目で残る戦艦全てが沈められ、艦隊決戦が
発生する事は無かった。そして余力を残していた米機動部隊は翌日未明にフランスのツーロン軍港を攻撃。軍港周辺の制空権を
確保した上で、ジブラルタルへの艦砲射撃しか出番の無かった戦艦部隊による艦砲射撃を実施。これによりツーロンの軍港機能は
完全に破壊され、修復中だったノルマンディー級3隻とリヨン級1隻が完全に破壊された。

 この時点で同盟は地中海の制海権を完全に損失。欧州においても日米露側の反撃が始まったのであった。

681 :ライスイン:2014/04/17(木) 17:02:06
※1:米(ニューメキシコ級戦艦2、ネヴァダ級戦艦2、ペンシルヴェニア級戦艦2、レキシントン級巡戦6、空母ワスプ、他軽・護衛空母)
   日(長門型戦艦4、加賀型戦艦4、天城型巡戦4、筑波型超甲巡2、大鳳型空母4、蒼龍型空母2、他軽・護衛空母)

※2:殆どが大型漁船や小型輸送船に機銃や小口径砲を積んだもの。

※3:誠意の表れとして国内での軍事基地建設及び日米軍の駐留、そしてドイツから得た旧植民地を日米に譲渡していた。

※4:拳銃やホームガードパイクか爆薬を持って日米軍に正面から突撃してきた。生き残りを尋問した結果、酷い白人至上主義的な洗脳教育
   を受けている事が確認され、一部には麻薬すら投与された者すらいた。

※5:この時の米国では政府主導で宥和政策が進められていて、差別が徐々にではあるが撤廃されていた。

※6:ほぼ無欠占領。祖国の有様に絶望し、自ら降伏を申し出てきた地域も多数あった。

※7:同盟のスイス資産強奪を理由に一月に入ってから宣戦布告していた。またチリやブラジルなど他の中南米諸国もそれに続いた。

※8:この時点で米艦載機はヘルキャット、アベンジャー、ヘルダイバー、コルセアに完全更新されていた。

682 :ライスイン:2014/04/17(木) 17:02:50
おまけ   1942 開戦直後の日本帝国海軍主力艦

○戦艦

大和型戦艦(210000t 55口径56㎝3連装×4、30kt):大和(1942年10月)、武蔵(1943年1月)、信濃(1943年9月)、三河(1943年12月)

上総型戦艦(110000t、50口径51㎝3連装×3、30kt):上総、下総、美濃(1942年3月)、周防(1942年7月)

越後型戦艦(72000t、45口径46㎝3連装×3 30kt):越後、伊予、豊前、豊後

加賀型戦艦(52000t 50口径41㎝3連装×4 28kt):加賀、土佐、和泉、淡路

長門型戦艦(39000t 50口径1㎝3連装×3 29kt):長門、陸奥、阿波、讃岐

○巡洋戦艦

紀伊型巡洋戦艦(49000t 45口径46㎝連装×4 31kt):紀伊、尾張、駿河、近江

天城型巡洋戦艦(41000t 50口径41㎝3連装×3 31kt):天城、赤城、愛宕、高雄

金剛型巡洋戦艦:金剛

○超甲種巡洋艦

筑波型超甲巡(32000t 50口径41㎝3連装×2 34kt):筑波、生駒、鞍馬、伊吹、浅間(1942年3月)、吾妻(1942年7月)

○航空母艦(正規空母)

扶桑型空母(75000t 33kt 搭載:100~):扶桑(1942年7月)、山城(1942年10月)、伊勢(1943年2月)、日向(1943年5月)

大鳳型空母(本編準拠):大鳳、白鳳、黒鳳、神鳳、雷鳳(1942年2月)、天鳳(1942年4月)

翔鶴型空母(本編準拠):翔鶴、瑞鶴、神鶴、天鶴

蒼龍型空母(本編準拠):蒼龍、飛龍、黒龍、白龍

隼鷹型空母(客船改装、史実準拠):隼鷹、飛鷹

龍穣型航空工作艦(本編準拠):龍穣、敷島、朝日、八島

他:軽・護衛空母多数

683 :ライスイン:2014/04/17(木) 17:03:29
イタリア海軍

○戦艦

スキピオ級戦艦(53000t 50口径40.6㎝3連装×3 33kt):スキピオ・アフリカヌス(1943年1月)、ハンニバル・バルカ(1943年7月)

ヴィットリオ・ヴェネト級戦艦:ヴィットリオ・ヴェネト、リットリオ、ローマ、インペロ

カラッチョロ級戦艦:フランチェスコ・カラッチョロ、クリストフォロ・コロンボ

カイオ・デュイリオ級戦艦:カイオ・デュイリオ、アンドレア・ドリア

カブール級戦艦:コンテ・ディ・カブール、カイオ・ジュリオ・チェザーレ

○空母

アウグストゥス級空母(翔鶴型準同型):アウグストゥス(1942年11月)、グナエウス・ポンペイウス(1943年2月)

アントニウス級空母(蒼龍型準同型):マルクス・アントニウス、ウェルキンゲトリクス、ガイウス・マリウス、ルキウス・コルネリウス・スッラ

アクィラ級空母:アクィラ、スパルヴィエロ


○訂正:第5話で”古賀中将指揮の日本艦隊(天城型巡戦×4、越後型巡戦×2)”とありましたが正しくは
   (天城型巡戦×4、紀伊型巡戦×2)でした。申し訳ありません。

684 :ライスイン:2014/04/17(木) 17:07:24
如何でしたでしょうか。
文章が単調になり気味でしたがやっと日米露側の反撃に移れました。
日本の艦隊計画がかなりぶっ飛んでいますが大陸+夢幻会ならこれくらい行けるだろうと考えました。
今回はパスタ野郎共の活躍を書けませんでしたが次こそは・・・。

次話:「日米露三国同盟~落日の欧州」12

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最終更新:2014年04月19日 23:49