912 :ライスイン:2014/06/03(火) 20:10:47
1944年2月 東京・夢幻会会合場所
「アメリカも技術の進歩が早くなっていますね。」
「ああ、まさか短距離弾道弾に大型爆撃機・・・そしてジェット機もか。」
「友好関係にあるのが幸いですな。それにしても欧州同盟はまだ降伏しないのか?」
「沿岸部は艦砲射撃、内陸部も爆撃でボロボロ。暴動多発に金属回収・学徒出陣・特攻・・・どこかで聞いたことがある様な・・・。」
「日米露三国同盟~落日の欧州」17
1944年に入り、いよいよ欧州同盟側に敗北の兆しが見えてきた・・・・・どころか目前まで来ていた。
前年にアイスランドの連合基地に打撃を与え、一時は定期便が和らいでいた。しかし同盟がアイスランドに攻撃した時点で既に完成していた
イベリア半島の巨大航空基地からは日米の爆撃機が英仏本土へ、また拡充されたイタリアの基地からもドイツ本土へと爆撃機が飛び立っていった。
更に1944年1月になると米軍が開発が終了し量産に入ったばかりの新型爆撃機”B-36”を投入。英本土上空で富嶽とB-36が翼を並べながらジョンブルを
爆撃する光景がみられた。またフランスへの爆撃では試験生産中で20機と少数ながらB-35までもが参加。一方ロシア帝国でも制圧した旧ポーランドの
飛行場から自国製のPe-8や供与機の連山に加えてライセンス生産したTu-4ブル、通称”レンザンスキー”を投入してドイツ本土へと猛爆撃を加えていた。
そして欧州沿岸部では
大和型戦艦(210000t 55口径56㎝3連装×4、30kt):大和 武蔵 信濃 三河
上総型戦艦(110000t、50口径51㎝3連装×3、30kt):上総 下総 美濃 周防
越後型戦艦(72000t、45口径46㎝3連装×3 30kt) :越後 伊予 豊前 豊後
紀伊型巡洋戦艦(49000t 45口径46㎝連装×4 31kt):紀伊 尾張 駿河 近江
テキサス級戦艦(140000t、20インチ3連装砲×4、30kt):テキサス ユタ
フロリダ級戦艦(80000t、18インチ3連装×3、30kt):フロリダ オレゴン ルイジアナ ウィスコンシン
モンタナ級戦艦(史実モンタナ級+18インチ連装砲):モンタナ オハイオ ミシガン イリノイ
ノースダコタ級戦艦(ティルマン戦艦、80000t、18インチ3連装×1、連装×2、25.2kt):ノースダコタ サウスカロライナ
などの18インチ以上の砲を備えた日米のモンスター戦艦群が暴れ周り(従来の戦艦も同様)、補給を終えた機動部隊も艦載機を叩き付けた。
913 :ライスイン:2014/06/03(火) 20:11:20
これらに対して同盟側は有効な迎撃が出来なかった。
ドイツでは辛うじてジェット戦闘機やロケット戦闘機の試作機が完成したものの、某総統の横槍が発生。
更に備蓄資源が其処を尽き掛け、おまけにその資源を有効的に配分するなど生産の指揮を取っていたシュペーア軍需相が過労により死去。
悪い事にそんな状況で行われたクーデターが失敗し、ブチ切れたヒトラーがヒムラーに陸軍総司令官を兼任させて陸軍の指揮を取らせるという事態まで発生。
結果、ドイツはV兵器はV-1を20発ほど生産しただけで計画終了。迎撃機にいたっては既存のMe109KやFw190D9を生産で手一杯となった。
フランスにいたっては更に最悪で新型戦闘機の開発に失敗してドイツのMe109GやFw190Aのライセンス生産を行っている始末で、その工場さえも爆撃で破壊され
2月の時点で航空機の生産能力をほぼ失っていた(※1)。
そしてイギリスだが、先の開戦でエクスカリバー隊が一定の成果を上げた事から特攻戦術に頼る比率が大きくなっていった。
○加速ロケットを使って重爆の高度まで上昇し、強度を上げたプロペラで機体を切り裂く構想のランスロット制空隊。
○大型で人が操縦して敵艦に体当たりする有人操縦魚雷”アロンダイト”。
○1000ポンド爆弾を搭載した体当たりモーターボート”ゲイボルグ”
などますます常軌を逸していた。
マトモな兵器の方はグリフォンエンジン搭載のスピットファイアが少数完成したが工場ごと破壊され生産不能。
ある程度生産できた期待のジェット戦闘機ミーティアも大幅な性能不足であまり役に立たなかった。
そんな状況下で遂に連合軍の大規模作戦が開始された。
1944年2月14日、日米加を中心とした連合軍が北アイルランドとプリマスに上陸作戦を開始(※2)。更にスペインを制圧した米軍がフランス本土へ侵攻。
イタリア軍も呼応してフランス・ドイツ本土へ侵攻し、バルカン半島を制圧したトルコ軍とポーランドを制圧したロシア軍もドイツ本土へなだれ込んだ。
”全方位同時侵攻作戦 オペレーションジェネシス”がついに開始されたのだった。
この常軌を逸した超大規模攻勢を同盟軍は阻止する事が出来なかった。
イギリスは作戦開始から1ヶ月で北アイルランドと本土南部を失陥。
郷土防衛隊(※3)や学徒兵(※4)まで投入したが士気が低く活躍は殆ど出来なかったが連合軍兵士に精神的打撃を与える事だけは出来た(※5)。
フランスは南部の大半を失陥。幾らドゴールが愛国心を鼓舞しようとも”フランス製兵器”では連合軍に歯が立たず、ライセンス生産したドイツ製兵器(※6)も
それよりはマシという程度だった。
ドイツにいたっては”陸軍総司令官ヒムラー”の死守命令乱発や親衛隊を督戦隊として配備する事で押されながらも抵抗してはいたが士気は最悪なまでに低下。
各戦線で脱走や投降、親衛隊と陸軍の撃ち合いまで発生し崩壊は時間の問題となっていた。
914 :ライスイン:2014/06/03(火) 20:11:55
その様な中で英国ではとある作戦が行われようとしていた。切欠はジョージ6世が閣議の際に漏らした
「もうロイヤルネイビーは居ないのか、戦える軍艦は存在しないのか?」
という言葉だった。
この言葉を受けた海軍は”栄光あるロイヤルネイビー”の誇りを示すべく、最近になってやっと完成した英国海軍史上最大の戦艦、英国海軍の栄光と誇りを象徴する
”超巡洋戦艦 ジョン・ジェリコー”(※7)
に残存の巡洋艦と駆逐艦を合わせて南部の連合軍上陸拠点を粉砕すべく出撃させるのだった。
※1:工場の地下化や擬装が殆ど進んでいない状態で24時間の配達を受け続けた為。
※2:このときにアイルランド共和国が連合に正式加盟して同盟へ宣戦布告。連合軍と共に北アイルランドへと侵攻していた。
※3:民間の防衛隊。正規軍にすら配備する武器が不足している為、装備はパイクの他、WW1以前の旧式銃器に鍬などの農耕器具が主であった。
中には先祖伝来と思われる刀剣類を装備しているものも居た。
※4:短期間の軍事訓練を受けた学生(女学生含む)。武装は郷土防衛隊よりお粗末でパイクの他にリボルバー式拳銃や博物館から供出した前装式小銃の他に
ボンバーランスと呼ばれる長い棒の先に対戦車地雷を縛り付けた対戦車兵器に突撃用の梱包爆弾などを装備していた。
※5:スーツ姿の英国紳士?が鍬や斧で戦車の装甲を殴ったり、息子ぐらいの年の学生がボンバーランスを構えて泣きながら突っ込んで来る等の悲惨な光景が
多く見られた為。
※6:この頃になると兵器の開発に失敗したフランス軍の装備はライセンス生産した型落ちのドイツ製兵器(Me109G、4号F2・Hなど)が主力となっていた。
※7:開戦以来、英国が建造し最近になってやっと完成した英国史上最大最強の戦艦。名前はユトランドの英雄から名付けられた。
当初は20インチ砲を予定していたが生産困難と判明した為、カレイジャス級用に開発していた18インチ砲を再生産して装備する事が決定した。
主なスペックは
基準排水量:46000t 40口径18インチ連装砲×3 速力32kt
熟練工員の不足による工作精度の低下や材料の品質低下及び乗員の殆どが新米という事もあって額面通りの性能を発揮できない恐れが高かった。
最終更新:2014年06月16日 21:03