小話07

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[[BACK>http://www18.atwiki.jp/5010/pages/22.html]] ---- ある村に、周囲から天才と呼ばれている少女が居た。 彼女の名は、ウレン。 実際、ウレンはとても頭が良かった。 人当たりもよく、さらに外見が美しい。 そんな彼女が唯一苦手としていたのは、火炎の魔法だった。 火炎魔法の試験だけは、一度も平均の成績すらとることができていない。 それを不審に思った彼女の親友は、理由を聞いてみることにした。 ウレンは悲しい顔をして、静かに話し始めた。  実はね。わたしの友達が昔、火事で死んでしまったの・・・ 親友は納得すると同時に、ウレンと同じ顔になった。    お気の毒に・・・ でもね、ウレン。  あたしは、あんたにこそ炎についてもっと学んで欲しいと思うんだ。  ほら、ちょっとついて来て。 ウレンの親友は、彼女を裏山へと案内した。 裏山を登り、しばらく歩いて行くと視界が開け、一本の朽ちた大樹があった。  いいかいウレン、よく見てて。 ウレンの親友が両手を掲げると、大樹はぼうっと赤い光に包まれた。 それを見て、ウレンは過去の悲劇を思い出したのだろうか? 悲鳴をあげると、さっと顔をおおってしまう。 そして恐る恐る顔を上げたウレンが、次に目にしたのは、 葉が無数に生い茂った、太い幹をもった大樹。  ほら、さっきの樹だよ、ウレン。  火炎の力で、死にかけた樹の魂を刺激してやれば、ご覧の通りさ。 親友の説明に、ウレンはすっかり驚いてしまった。  す、すごいわ。炎の再生魔方式ね、街の賢者様でもなかなか成功しないのに。  わたしより貴女のほうがずっと天才よ、サティ。 ウレンの親友は、歯を見せて笑った。  ウレン。あんたには、炎が優しいものだと知っておいて欲しい。  あんたならきっと、もっと炎を正しく使うことができるだろう。  誰かさんより、ね。 その表情はどこか哀しげで、ウレンはなおのこと戸惑った。  いったい今日はどうしてしまったのサティ?  なんだかとても大人らしいわ。  それに・・・ありがとう。わたし、もっと火炎について真剣に学んでみる。 ウレンは親友の両手を掴み、深く感謝した。 それを聞いた親友は笑い、ウレンもまた笑った。  しかし、大人らしいってのはなんだよ、サティ。これでも長生きしてるんだぜ?  あら、何を言い出すのよ。わたしたち、二人ともまだ十五歳でしょう。 ウレンがきょとんとしているので、彼女の親友は結局、それ以上は何も語らなかった。 豪炎の魔女サティ。その名をウレンが知るのは、まだ少し先のことである。  ---- [[BACK>http://www18.atwiki.jp/5010/pages/22.html]]

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