2023年08月17日 (木) 21時54分42秒



ゲーム実況で使うPCについて理解しよう!

  • ゲーム実況を始めようとしている人から、よくされる質問があります。それは、「いま使っているPCスペックでゲーム実況できますか?」「おすすめのPCはありますか?」というものです。はっきりいうと、答えに窮するというのが本音です。ある意味、究極の難問かもしれません。


  • ただ、最低限必要なPCスペックについては、筆者の経験や各種情報から推測することはできます。高スペックなPCのほうがよいのは確かですが、低スペックだからといってゲーム実況ができないというわけではありません。場合にもよるのです。もし新しいPCを購入するなら、とくにCPU・GPUというパーツに着目して選びます(後述)。

目次


PCスペックの調べ方


  • ゲーム実況で必要なPCスペックを見ていくまえに、まずは自分のPCのスペックを正確に把握しましょうCPU、メモリ、GPUの3点を確認します。これ以外は事実上無視してもかまいません。

CPU


  • ゲーム実況では、CPUがもっとも重要です。ゲームを録画する場合も、リアルタイムでライブ配信(生放送)する場合も、CPUの性能が高いほうが高画質にでき、かつ軽快に動作します。また、動画編集では最後に動画を保存するのですが、これも短時間で終わります。以下のようにしてCPUの型番を調べましょう。

  1. スタートボタン(画面左下の窓のアイコン)を右クリックし、「システム」を選択する。
  2. 「プロセッサ」を見る。


メモリ


  • メモリは、一般的なPCでは4~16GBであることが多いでしょう。CPUに比べると、そこまで性能を気にする必要はありません。

  1. スタートボタンを右クリックし、「システム」を選択する。
  2. 「実装メモリ(RAM)」を見る。


GPU


  • GPUは、グラフィック処理を司るチップのことです。おもにPCゲームをプレイする場合に重要になります。

  1. デバイスマネージャーを開く*1
  2. 「ディスプレイ アダプター」をダブルクリックして展開する。


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ゲーム実況で必要なPCスペック


CPUはCore i5以上


  • CPUは、ノートPC・デスクトップPCともにCore i5以上がよいでしょう。できればCore i7がベストです。Core i3でもゲーム実況は可能ですが、性能的な余裕はないかもしれません。CeleronやPentiumではさらに厳しいはずです。


  • 注意したいのですが、「Core i5」、または「Core i7」の名称がついているCPUでも性能差が存在します。たとえば、同じCore i5でも第1世代と最新の第9世代では性能が大きく異なります*2

  • また、ノートPCの場合、同一世代のCPUであっても型番に「M」「U」「Y」がついているものは、同じブランドのCPUよりも性能が大きく劣るという点は覚えておいてください。

メモリは8GB以上


  • メモリは8GB以上必要です。より確実なのは16GBです。近年のPCは16GBのメモリを積んでいることが多いでしょう。

TVゲームをプレイする場合


  • ゲーム実況でTVゲームをプレイする場合は、一般的にキャプチャーボードというPC周辺機器を使用します。SwitchであればHDMIでキャプチャーボードと接続し、ゲーム画面をPCに映すことになります。そこで、キャプチャーボードの商品ページで推奨動作環境を調べておきましょう。


▲キャプチャーボードの製品例。左から順に、GC550Elgato Game Capture HD60 SMonsterX U3.0R

  • 具体的には、CPUとメモリの推奨スペックを確認します。CPUの性能が推奨スペックより低い場合は、基本的にPC自体を買い替えましょう。注意したいのは、録画・ライブ配信自体の負荷も考慮する必要があるという点です。ギリギリの動作環境ではゲーム実況が快適にできません。

  • よくある質問ですが、グラフィックボード(ビデオカード、GPU)の性能については、PCゲームの場合と比較すれば重要ではありません。特別高性能なGPUを搭載していないPCでも、TVゲームの場合は支障なく録画・ライブ配信できます。

PCゲームをプレイする場合


  • PCゲームをプレイする場合は、そのゲームをリリースしているメーカーの公式サイトで推奨動作環境を調べてましょう。CPU、メモリ、グラフィックボードの3点を確認します。やはりギリギリの動作環境は避けてください。場合によっては、録画・ライブ配信時にゲームのグラフィック品質や解像度を落とすことも視野に入れておくべきです。

  • コアなPCゲーマーの場合、「グラフィック品質を最高画質にしたい」「144fpsでプレイしたい」「1080p/60fpsで録画・ライブ配信したい」という人が多いのですが、ゲーム実況ではPCスペックに応じて設定を妥協しなくてはいけません。そうしないと、重すぎてプレイ時に60fpsを維持できないこともあります。

  • 負荷がどのくらいか気になる場合は、実際にやってみたほうが早いでしょう。録画であればBandicamShadowPlayのいずれかを使います。また、ライブ配信であれば、OBS Studioを使用し、負荷を検証してください。

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低スペックPCを使用する場合のポイント


  • では、PCスペックが低い状態でゲーム実況を行うと、どうなるのでしょうか。端的にいうと、ゲームの録画・ライブ配信時にPCの動作が重くなり、画面が滑らかに動きません。まるで紙芝居のように、不自然にカクカクと動きます。また、音ズレが起きたり、音が途切れることもあるでしょう。


  • このようなときは、状況に応じて解像度、画質、フレームレートを下げてください。たとえば、ゲームを1080p/60fpsで録画・ライブ配信しているのであれば、設定を変更して720p/30fpsにします。画質は妥協することになりますが、やむをえません。また、グラフィックボードの力を借りる方法もあります(GPUエンコード)。


▲これはOBS Studioという有名なソフトです。「NVENC」を選ぶことで、PCにかかる負荷を減らして録画・ライブ配信できます。

  • ただ極論をいえば、低スペックなPCで画質を下げるか、高スペックなPCで画質を上げるか、という選択肢を迫られる場合があります。もちろん、PCスペックと画質のバランスをとることも可能ですが、その場合は自分で設定を煮詰める必要があるでしょう。具体的な設定方法については、当サイトで解説しています。

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新しくPCを買う場合のポイント


  • PCを新調する場合、以下の点を覚えておいてください。

Windows PCを買おう


  • Windows PCを買いましょう。Macに憧れる人もいると思いますが、ゲーム実況には不向きです。


  • また、ゲーム実況で使われるアプリの大半は、やはりWindows用です。Macに対応しているアプリもありますが、Windowsの場合とは少し仕様が異なっていて、使い方に苦慮するということが珍しくありません。

デスクトップPCを買おう


  • 買うならデスクトップPCにしましょう。なぜなら、デスクトップPCのほうがノートPCよりも価格が安く、高性能だからです。熱対策もしっかりしています。かりに、同じ価格のデスクトップPCとノートPCがある場合、前者のほうが性能が上と考えてください。また、両方とも同じ性能なら、価格は前者のほうが安いのです。3~6万円の安いノートPCの購入は避けましょう。ゲーム実況用としては性能不足です。


  • 拡張性についてもデスクトップPCのほうが有利です。たとえば、もっと高画質で快適にPCゲームをプレイしたいという場合、グラフィックボードという周辺機器を増設する必要があります。しかし、ノートPCではそれができません。グラフィックボードは、原則として外付けできないからです。HDDをUSBで外付けするのとは訳が違います。

  • 外にPCを持ち出す必要性からノートPCにしたいという人もいると思いますが、ゲーム実況用とは別に考えたほうがよいでしょう。ゲーム実況ならデスクトップPC、外用ならノートPCというように、2台を違う目的で所有することを推奨します。ノートPCでもゲーム実況は可能ですが、用途をゲーム実況に限定して考えた場合、あえて積極的にノートPCにする意味はありません

省スペース型PCは買わない


  • では、デスクトップPCならどれでもよいのかというと、そうではありません。可能なかぎりスリム型PC(省スペース型PC)の購入は避けましょう。一般的に性能が低く抑えられており、排熱性や拡張性も低いからです。おすすめはミドルタワーです。もう少し小さいサイズのほうがよいという場合は、ミニタワーでもかまいません。


旧PCはサブPCとして使おう


  • PCを新しくしても、いままで使用していたPCは捨てないようにしましょう。周辺機器・アプリが正常に動作しないときに、問題の切り分けがしやすくなります。また、もし新しいPCの調子が悪くなった場合でも、もう1台PCがあればゲーム実況を続けられます。古いPCは予備として活用してください。

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BTOショップ製PCと、メーカー製PC


  • PCはBTOショップで購入したほうがお得です。BTOショップというのは、簡単にいうとインターネット上でPCを購入できる通販サイトです。大きな特長は、(1)ある程度パーツを自分好みにカスタマイズして注文できるという点と、(2)家電量販店でメーカー製のPCを買うより安いという点です。具体的なメリットを見ていきましょう。


  • たとえば、ショップが用意しているPCのHDDの容量を増やす、グラフィックボードを交換するというようなことがWebサイト上で簡単にできます。めんどうなパーツの変更は、ショップがすべてやってくれます。

説明
ショップ製PC ・高性能で安い
・カスタマイズして注文できる
・初心者にはサイト内の用語が難しいことがある
メーカー製PC ・安心感がある
・保証やサポートが手厚いことが多い
・性能のわりに高い

  • しかも、ショップ製PCには最新のCPUやグラフィックボードが搭載されていることが珍しくありません。にもかかわらず、富士通などのメーカー製PCよりも安く購入できるのです。まちがいなくお得です。筆者も最初こそメーカー製PCを購入しましたが、2台めから現在までずっとBTOです。

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ゲーミングPC


一般的なPCとの違い


  • BTOショップでは、ゲーミングPCという用語を頻繁に見かけるかもしれません。ゲーミングPCとは、ゲームをPCでプレイするのに適したハイエンドマシンのことです。ゲーミングPCの売上は好調に推移しており、人気の高さが伺えます。ゲーム実況とは切っても切り離せない関係になったといっても過言ではありません。


  • では、ゲーミングPCは一般的なPCとどこが違うのでしょうか。まず、ゲーミングPCは高性能なCPU・GPUを搭載しています。高画質で重いゲームをプレイするには、CPU・GPUの性能がよくなくてはいけないからです。また、冷却能力自体も一般的なPCより高く、長時間安定して動作するように設計されています。一般的なPCと比較すると、拡張性の高さも比較になりません。最新のPCゲームをプレイするなら、ゲーミングPCです。

ゲーム実況での活用


  • このように、ゲーミングPCは性能・安定性に優れています。したがって、重い処理が必要な場面に最適なのです。ゲーム実況であれば、ゲームの録画、録画後の動画編集、およびリアルタイムで行うゲーム配信(生放送)などです。いずれもPCに負荷がかかる作業です。「TV」ゲームなのか、「PC」ゲームなのかは関係ありません。あまりに低スペックなPCでは支障が出ることもあるでしょう。そこで、ゲーミングPCの出番です。

  • 一般的なゲーミングPCのCPUは、Core i7またはCore i5です。また、高性能なGPUも最初から搭載されており、2021年現在だとGeforce GTX 10シリーズ、およびRTX 20/30シリーズです。このCPUとGPUの組み合わせであれば、適切な設定をしているかぎりゲーム実況で性能的に困ることはないでしょう。かりにPCの動作が重くなるようなことがあっても、設定を変更すれば簡単に対処できます。


  • ただ、ゲーミングPCの性能というのは上を見るとキリがありません。高いものであれば20万円以上します。多くの人は、ゲーム実況にそこまでお金をかけたくないでしょう。ある程度予算を抑えたい場合は、10~15万円で購入できるゲーミングPCを購入候補にしてください。このくらいの価格を基準にBTOショップで選べば、コスパ的に失敗することはまずありません。人気の価格帯なのです。


電源、ストレージについて


  • あまり難しく考える必要はないのですが、PCを安定して使うためには電源の品質・性能も重要です。ゲーミングPCだと、一般的に500W以上の容量で、かつ「80PLUS」(ブロンズ、シルバーなど)という表記が掲載されていることが多いでしょう。このあたりは省エネや静音性にも関係してきます。

  • ストレージ(HDD/SSD)については、SSDだとスピードが速く快適に使えます(例 : 起動が速い)。現在は、SSDをシステムドライブ(Windowsがインストールされている場所)とするのが一般的です。ただ、動画は容量の多いHDDに保存しましょう。動画保存用のHDDは、あとで自分で追加できます。

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ゲーミングPCの例


  • では、どのようなゲーミングPCがあるのでしょうか。最新製品を見ていきましょう。ここで登場するゲーミングPCは、キャプチャーボードや、多くのPCゲームで要求される動作環境を満たしています

ドスパラ


  • ゲーミングPCといえば、ドスパラのGALLERIA(ガレリア)が有名です。公式サイトにはさまざまな種類の製品があります。


▲表を見れば、PCの性能・価格が一目瞭然です。横軸はCPU、縦軸はグラフィック(GPU)です。

  • ガレリアは、2020年7月にPCケースのデザインが刷新されました。冷却性能がアップし、静かに動作するようになっています。また、LEDでケースが光るようになりました。

ガレリア XA7C-R46T ガレリア RM5C-G60S
CPU Core i7-13700F Core i5-13400F
メモリ 16GB 16GB
グラフィックボード RTX 4060 Ti GTX 1660 SUPER
ストレージ SSD 1TB SSD 1TB
電源 650W ブロンズ 550W ブロンズ
価格(公式ページへ) こちら こちら
備考 ・新ケース
・最新スペック
・新ケース
・低価格

2023年8月17日時点での情報です。時期によってPCの構成・価格が変わります。

  • 性能の心配をしたくないなら、「XA7C-R46T」がよいでしょう。最新世代のCPUです。録画・編集、ライブ配信、ゲーム実況のあらゆるシーンで余裕をもって対応できます。ゲーム実況に飽きた場合でも、ゲーミング性能は申し分ありません。HDDが搭載されていない点が残念ですが、容量が不足する場合はあとで追加することになります。

  • 価格を10万円代中盤に抑えたい場合は、「RM5C-G60S」を購入候補にしてください。最新世代のパーツというわけではありませんが、グラフィックボードのGTX 1660 SUPERはフルHD解像度の重くないPCゲームに対応できます。全体的なスペックとしてはゲーム実況用に購入して損はありません。

マウスコンピュータ


  • もうひとつ、ゲーミングPCのブランドとして有名なのがマウスコンピュータのG-Tuneです。G-TuneのデスクトップPCの場合、4種類のケースがありますが、そのうち「フルタワー型」はヘビーゲーマー向けです。通常は選択肢から外れます。


パソコン工房


  • 価格が安いことで知られているのがパソコン工房です。ゲーミングPCのブランド名は、LEVEL∞(レベルインフィニティ)です。G-ClassやR-Class、M-Classなど、いくつかの分類があります。


パソコン工房公式サイトiconより

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最終更新:2023年08月17日 21:54

*1 Windows 10/8.1の場合は、「スタート」上で右クリックして「デバイス マネージャー」を選択します。

*2 Core i5、Core i7ともに、最低でも第3世代以上のCPUが望ましいでしょう。なぜなら、おおよそどのキャプチャーボードも、これ以上のCPUを動作環境・推奨環境として要求しているからです。Core iシリーズのCPUで世代を見分けるには、型番の千の位を見ます。たとえばCore i7-8700であれば、第8世代ということがわかります。Core i7-980など千の位がない場合は、それは第1世代ということです。