トップ > キャプボカテゴリ概要 > キャプチャーボードの基礎知識 > パススルー出力機能の使い方 / 2020年03月14日 (土) 20時44分17秒



あると便利!パススルー出力でラグ回避&TV出力する方法

  • 近年、パススルー出力機能(パススルー機能)を搭載しているキャプチャーボードが増えてきました。パススルー出力は、キャプチャーボードに接続したゲーム機の映像・音声をTVに出力する機能のことです。


  • 同機能には、(1)遅延がない状態でゲームをプレイできるようになり、また(2)大画面TVでゲームをプレイできるというメリットがあります。

目次


キャプチャーボードの遅延とは


  • まず、パススルー出力機能について見ていくまえに、キャプチャーボードの遅延(表示遅延、ラグ、タイムラグ)について理解しておきましょう。 前提として、遅延のないキャプチャーボードは存在しません

  • ゲーム機をキャプチャーボードに接続し、ゲーム画面をPCに映した状態でプレイすると、いつもと違ってタイミングが合わない、反応が遅い(鈍い)という印象を受けることがあるかもしれません。たとえば、コントローラーのボタンを押してから画面のキャラが動くまで間がある、敵の攻撃を避けているはずなのに当たってしまう、というような状況です。これはキャプチャーボードの遅延が原因です。


  • ふだん、ゲーム機とTVを接続してプレイしているときは、遅延を感じる人はあまりいないでしょう。操作してその操作に対応した映像が表示されるまで一瞬です。つまり、操作と画面表示のタイミングが一致します。ところが、ゲーム機とキャプチャーボードを接続してプレイしているときは違います。ゲーム機の映像が表示されるまでのあいだに、わずかな時間差が生じるからです。


  • なぜ時間差が生じるのでしょうか。複数の理由があります。いちばん重要な理由は、ゲーム機から受け取った(入力した)映像をキャプチャーボード内やPC内でいったん処理し、そのあと表示しているという点です。いきなりPC側で映像をパッと表示しているわけではありません。したがって、ゲーム操作をしたあと実際に映像が表示されるまで、最低でも映像処理の時間ぶんは遅れてしまうというわけです。

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パススルー出力とは


  • そこで、遅延がない状態で快適にゲームをプレイするための方法が、キャプチャーボードのパススルー出力機能を使うやり方です。

キャプチャーボードの遅延を回避できる


  • パススルー出力機能を使うと、キャプチャーボードがゲーム機から受け取った映像・音声をそのままTVに出すことができます。イメージとしては、よけいな処理をせずにゲーム画面をTVに出力しているところを想像してください。映像処理したものをTVに出力しているわけではないので、遅延はありません


  • ということは、つまりTVのほうに映っているゲーム画面を見ながらプレイすれば、遅延がない状態でゲームをできるということです。PC側のゲーム画面は遅延していても、TVのほうのゲーム画面は遅延していません。TVのゲーム画面を見ながらであれば、いつもどおりの操作感覚でプレイできるわけです。

大画面TVでゲームをプレイできる


  • パススルー出力のメリットはそれだけではありません。TVにゲーム画面を出力するわけですから、大画面TVでゲームをプレイできます。ノートPCの小さな画面でゲームをプレイするよりも、40~50インチの大きな画面でゲームをプレイしたいという人は多いでしょう。あるいは、TVの画質(絵作り)が好みという人もいるかもしれません。


使い方が簡単


  • さらにパススルー出力機能のよいところは、キャプチャーボードとTVをHDMIケーブルで接続するだけという点です。難しい設定は必要ありません。キャプチャーボードの遅延を回避する方法はほかにもあるのに(詳細はキャプチャーボードのラグを回避する方法を参照)、なぜパススルー出力なのかというと、簡単だからです。

  • かりに、パススルー出力機能が搭載されていないキャプチャーボードの場合、遅延対策をしようとすればさらに分配器(スプリッター)という周辺機器が必要になります。わざわざ分配器を用意するのは手間でしょう。お金もかかります。しかし、パススルー出力機能を使えば分配器がなくとも遅延対策ができます。初心者でも安心です。

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注意点


PCは起動しておく必要がある


  • パススルー出力機能を使用してTVでゲームをプレイするさいは、PCを起動しておく必要があります。もしPCをシャットダウンすると、TV側にゲーム画面が映らないからです(ゲーム音も出ない)。PCを起動していないときにゲームをプレイしたい場合は、少し不便かもしれません*1


  • PCをスリープにした場合も、基本的にはシャットダウンした場合と同様に考えておきましょう。PCをスリープにするとTVにゲーム画面は映りません。ただし、製品によっては例外もあります。

遅延がないのはTV側のゲーム画面


  • パススルー出力機能は、あくまでも遅延のない映像をTVに出力する機能です。PCのゲーム画面の遅延が0になるわけではありません。遅延がないのは、「TV」に出力している映像のほうです。「PC」に表示しているゲーム画面は、いままでと変わらず遅延します。もしPCの画面を見ながらゲームをプレイしたいなら、最初から遅延の少ないキャプチャーボードを購入しましょう。

ゲーム音もTVから出ているものを聞く


  • キャプチャーボードが原因で遅延するのは、ゲーム画面だけではありません。ゲーム音も映像に合わせて遅れます。したがって、パススルー出力機能使用時は、「TV」に映っているゲーム画面を見て、かつ「TV」から出ているゲーム音を聞きながらゲームをプレイすることになります*2

TV自体にも遅延はある


  • 少し細かい話になりますが、TV自体にも遅延は存在します(詳細は4Gamer.net)。ここでいうTVというのは、液晶TVやプラズマTVのことです。TV内部で映像処理による遅延が発生しているので、パススルー出力によってキャプチャーボードから遅延のない映像をTVに出力していても、結果的に遅延があるなかでゲームをプレイすることになります。

  • とはいえ、近年の液晶TVには、公称値で1フレーム(約0.016秒)以下に遅延を抑えているモデルもあります。このようなTVなら、通常は遅延を気にする必要はないでしょう。ゲームプレイに影響はないからです*3。たとえ遅延が2フレーム以上あるTVでも、ふだんゲーム機とTVを接続して遊んでいるときに遅延を感じないのであれば、そのTVで問題ありません

  • かりに、パススルー出力してTVでゲームをプレイしているのに遅延を感じるという場合は、TV自体の遅延を感じている可能性が考えられます。このようなときは、TVの画質設定に「ゲームモード」「ゲームダイレクトモード」「スルーモード」などの項目がないか確認してください。これらのモードは、TVの遅延を軽減してくれます。


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用意するもの


パススルー出力に対応したキャプチャーボード


  • パススルー出力機能に対応したキャプチャーボードが必要です。同機能に対応していない製品ではパススルー出力できません。

GC550 PLUS AVT-C878 PLUS C988
価格
商品画像のリンク先
パススルー出力
エンコードタイプ ソフトウェアエンコード ハードウェアエンコード ソフトウェアエンコード
PCとの接続方式 USB 3.0 USB 2.0 PCI Express x1
こちら こちら こちら

Game Capture HD60 Pro Game Capture HD60 S GV-USB3/HD
価格
商品画像のリンク先
パススルー出力
エンコードタイプ ハードウェアエンコード ソフトウェアエンコード ソフトウェアエンコード
PCとの接続方式 PCI Express x1 USB 3.0 USB 3.0
こちら こちら こちら

HDMI入力があるTV


  • HDMI端子を搭載したTVも必要です。HDMI端子があればよいので、PCモニターでもかまいません。どちらかを別途用意します。


  • 近年のキャプチャーボードのパススルー出力は、HDMI端子を使います。そのため、たとえゲーム機とキャプチャーボードをHDMI端子以外の端子で接続している場合であっても(例 : コンポーネント端子)、キャプチャーボードとTVはHDMI端子で接続します。

HDMIケーブル


  • キャプチャーボードとTVは、HDMIケーブルで接続します。同ケーブルは、キャプチャーボードに付属されている場合があるでしょう。


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パススルー出力の方法


  • パススルー出力の方法は以下のとおりです。

  1. キャプチャーボードのドライバーやキャプチャーソフトをインストールし、キャプチャーボードを使用できる状態にしておく。
  2. キャプチャーソフトにゲーム画面を表示する*4
  3. キャプチャーボードのHDMI出力TVのHDMI入力を、HDMIケーブルで接続する。


▲キャプチャーボードの「OUT」と表記されているHDMI端子を使ってTVと接続します。

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こんなときは


TVにゲーム画面が映らない、TVからゲーム音が出ない


  • PCではゲーム機の映像・音声を視聴できているのに、パススルー出力先のTVでは映像・音声を視聴できない映像・音声が途切れるという場合は、以下のいずれかの対処法を試してください。

  1. ゲーム機の出力解像度を変更する(重要)。TVが1080p、または2160pに対応していない可能性がある。
  2. TVまたはPCモニターの別のHDMI端子に、キャプチャーボードを接続する(重要)。すべてのHDMI端子を試す。
  3. 別のTVまたはPCモニターを使う(重要)。相性が悪い可能性がある。
  4. デスクトップPCを使用している場合は、PCモニターをきちんと2台用意する。1台のPCモニターだけでやらない。
  5. TVの入力切替が正しくできているか確認する。
  6. HDMIケーブルが正しく接続されているか確認する。
  7. HDMIケーブルをいったん外し、再び接続する(重要)。
  8. HDMIケーブルを交換する(重要)。
  9. HDMI-DVI変換ケーブル(またはアダプター)を使っている場合は、HDMIケーブルに交換する。そのままでは音声が出ないので。
  10. TV側のHDMI入力の音声設定を変更する。
  11. ゲーム機をHDMI接続している場合は、ゲーム機側の設定を変更してDeepColorをOFFにする*5
  12. PC、ゲーム機、TV、キャプチャーソフトの起動順を変更する。
  13. PCを起動していることを確認する。
  14. PCを再起動する。

  • そもそもPCにゲーム画面が映っていない場合は、以下のページをご覧ください。PCにゲーム画面を映し、そのうえでパススルー出力を試しましょう。

        キャプチャーボードの映像・音声が出ないときはを参照


自分の声を入れて実況プレイ動画を作りたい


  • パススルー出力機能を使う場合でも、実況プレイ動画の作り方は通常どおりです。録画を開始し、TVに映っているゲーム画面を見ながらマイクに声を入れましょう。

  • よくある質問としては、「キャプチャーボードの遅延が原因でゲーム画面とマイクの音がズレるのではないか」、つまり「ゲーム画面がマイクの音より遅れるのではないか」というのがあります。しかし、その点は心配いりません。たとえば、Game Capture HDGame Capture HD60では、ゲーム画面に合わせてマイクの音を意図的に遅延させ、タイミングを合わせています*6

  • もし、ゲーム画面とマイク音が大きくズレた動画になったとしたら、それはパススルー出力機能とは関係がない要因によって発生しています。いわゆる音ズレという現象です。

HDMI分配器と併用したい


  • PS3やPS Vita TVをHDMI接続する場合、キャプチャーボードのパススルー出力機能を使わずに、「 AstroAI 4K HDMI 分配器 スプリッター 1入力2出力」(リンク先 : Amazon)などのHDMI分配器を使って映像・音声を分配し、HDCP対策と遅延対策を同時に行うことも可能です。PCを起動していない状態でもゲームをプレイできるメリットもあります。




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関連ページ








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最終更新:2020年03月14日 20:44

*1 たとえば、ゲームを録画するわけでもない、ライブ配信するわけでもない、でもPS4のゲームを遊びたいという場合は、PCを起動する必要があるということです。かりにPCを起動したくないなら、PS4をキャプチャーボードから外して、TVに接続しなおす必要があります。キャプチャーボードによっては例外もあるのですが、基本的にパススルー出力したいならPCは起動しておく必要があると考えてください。

*2 TVのほうのゲーム画面を見つつ、PCから出ているゲーム音を聞いてゲームをプレイするというようなことはしません。ゲーム画面とゲーム音がズレているので(ゲーム音が遅れる)、操作しづらいからです。

*3 比較対象がないかぎり、1フレームの遅延は遅延があることすら人間には知覚できません。たとえば、常時1フレームだけ遅延しているゲーム画面を複数の被験者に見せて、ゲームをプレイさせたとします。だれも遅延に気づきません。1フレーム、約0.016秒(約16ms)というのは、それだけ短い時間なのです。ただ、2フレームの遅延があると、遅延の存在に気づく人が出てきます。古い液晶TVやプラズマTVでは、6フレーム以上の遅延があることも珍しくありません。TV側で大きな遅延が発生している場合は、もはやパススルー出力する意味がなくなる場合が出てきます。

*4 いったんゲーム画面を表示させたあとは、キャプチャーソフトは閉じてもかまいません。キャプチャーソフトを起動していなくともパススルー出力は可能です。

*5 PS4の場合は、「設定」→「サウンドとスクリーン」→「映像出力設定」で「Deep Color出力」を「オフ」にします。またPS3の場合は、「設定」→「ディスプレイ設定」で「Deep Color 出力(HDMI)」を「切」にします。

*6 そのような機能がない製品の場合であっても、気になるほどゲーム画面とマイク音がズレるわけではありません。