【4.5.19 Plus】降る雪表現
作業難度レベル:★☆☆☆☆
- 利点
- 手で描くと時間がかかる、大量のランダム形状・配置の降る雪を短時間で描けます。
- 欠点
- ややリアルに仕上がることがあり、手描きイラストに合わせる時に工夫が必要です。絵柄によっては、この方法は使えないかもしれません。
降る雪のポイントは、ランダムな降り方と、微小かつランダムな粒です。
アナログ画材で絵の具等を使うと比較的楽ですが、デジタルで、ペンタブレットを使って手で描くのは、苦労よりも時間と忍耐を必要とします。
oCのフィルタを使って、「降る雪」を短時間で表現します。
1.降る雪を描く
描画色:黒、背景色:白
キャンバスサイズ:自由。今描いてる絵に追記可能です。
操作1-1:描画色:50%ぐらいのグレーでレイヤを塗りつぶす。
*HSVならS:0/V:50、RGBならR:128/G:128/B:128が50%グレーです。
操作1-2:フィルタ>ノイズ
ダイヤログ: 量:128
*注意:ここでは「グレースケール」はチェックしない(理由はまた後ほど・・・)
操作1-3:フィルタ>色調補正>グレースケール
操作1-4:フィルタ>色調補正>レベル補正
ダイヤログ: 入力レベルの左の数値のみをとりあえず230に設定
一旦完成です。
ここから、次に続く調整・加工を行っていきます。
2.雪の粒を増やす
操作2-1:操作1-4終了状態から、編集>元に戻す または ctrl+z
操作2-2:フィルタ>色調補正>レベル補正
ダイヤログ: 入力レベルの左の数値を、230から少なくしていく
左スライダを左方向に動かしても同じ操作となります。
例えば’200’'にすると、図の様になります。
3.雪の粒を減らす
操作3-1:操作1-4終了状態から、編集>元に戻す または ctrl+z
操作3-2:フィルタ>色調補正>レベル補正
ダイヤログ: 入力レベルの左の数値を、230から多くしていく
左スライダを右方向に動かしても同じ操作となります。
例えば’240’'にすると、図の様になります。
4.雪の粒を明るくする
操作4-1a:操作1-4終了状態から、編集>元に戻す または ctrl+z
操作4-2a:フィルタ>色調補正>レベル補正
ダイヤログ: 入力レベルの中央の数値を、1.0から少なくしていく
中央スライダを左方向に動かしても同じ操作となります。
例えば’0.4’'にすると、図の様になります。
ここまでの操作すると、以下の事に気付きます。
- 雪の粒が増える=明るくなる
- 雪の粒が減る=暗くなる
- 雪の粒が明るくなる=雪の粒が増える
レベル補正を使って雪の粒を調整すると、どうしても明暗に影響を与えてしまいます。
レベル補正を使わず明るさを強くする方法として以下の2つを上げます。(他にも色々な方法が有りますが、とりあえず2種類;)
操作4-1a:操作1-4終了状態から、フィルタ>色調補正>明るさ・コントラスト
ダイヤログ:明るさとコントラストを上げて調整
例えば、明るさ・コントラスト共に’100’'にすると、図の様に雪が明るくなり、かつコントラスト差で暗い雪は暗いままになります。
操作4-1b:レイヤをコピー>表示モードを加算に変更>レイヤ結合
加算に変更した際に明るすぎるようでしたら、加算にしたレイヤの不透明度を下げて調整します。
見た目が近くなるように、加算にしたレイヤの不透明度を50%にしました。気に入った調整ができた時点でレイヤを結合します。
明るくした雪の方が感じが良いので、この後の説明は4-1bの画像を利用して進めます。
5.雪の粒を大きくする
作業難度レベル:★★☆☆☆
操作5-1:フィルタ>変形>拡大・縮小
ダイヤログ:プレビューを見ながら好みのサイズに拡大(ここでは200%に設定)
この段階で、特に問題なければ一旦終了となり、レイヤーを結合します。
拡大した時の雪の形が4角形に近いのがやや目立ちますが、これが気になる時は、更に以下の操作を行います。
操作5-2:レイヤ複製>複製レイヤを「比較(明)」に>元のレイヤを選択
*この操作をしても、見た目に変化は有りません。
更に以下の操作を行います。
操作5-3:フィルタ>拡散
ダイヤログ: 範囲:1~3(好みに応じて選択)、モード・比較明
この段階で、特に問題なければ一旦終了となり、レイヤーを結合します。
拡散によるpixelが気になる時は、更に以下の操作を行います。
操作5-4:フィルタ>明るさの中間地
ダイヤログ: 範囲:1
これにより、拡散の細かいpixelがある程度丸められます。
大きさが不足だと思うときは、操作5-2~5-4を繰り返します。
この方法では、雪同士の間隔も拡大され、密度が低くなります。拡大と言うよりも接近という表現が近いかもしれません。
6.密度を変えず雪の粒を大きくする
5.で紹介した方法をそのまま利用できます。
操作6-1:レイヤ複製>複製レイヤを「比較(明)」に>元のレイヤを選択
操作6-2:フィルタ>拡散
ダイヤログ: 範囲:1、モード・比較明
今回は、明るさの中間値を使った’丸め’を行っていません。
これは、最初の雪があまりに小さく、明るさの中間値を使うと雪が潰れてしまうからです。
大きさが不足だと思うときは、操作6-1~6-2を繰り返します。
7.もっと全体的に大きくしたい
5.6.何れも「少しずつ」「ランダムに」大きくする方法ですが、こちらは雪の周囲全体を一度に大きくする方法です。(こっちの方が6.よりも簡単な方法ですが、注意が必要)
操作7-1:フィルタ>ぼかし
*雪が殆ど見えなくなるが問題無し
操作7-2:フィルタ>色調補正>レベル補正
ダイヤログ:入力レベルプの右端の数値を減らす(プレビューを見ながら好みに設定)
※ダイヤログ右端のスライダを左に移動しても同じです
全ての雪が一回り大きくなります。
7-1~7-2操作を繰り返すと、どんどん大きくなっていきます。
2回目 3回目
3回目までくるとはっきりしますが、雪は皆○か◇の形になっています。
7-1~7-2の方法は雪を均一に大きくするのでこの様な結果になります。
ランダムな形を目指そうとして、この形状が気になる時は、7-1~7-2操作を繰り返す途中に5.の拡散&明るさの中間値を差し込みます。
操作7-3:フィルタ>拡散(範囲3、比較(明))>フィルタ>明るさの中間値(半径1)
*拡散範囲の値は、小さな粒の時は’1’が良く、ある程度大きくなったら’2以上’の方が効果的
7-1~7-2操作2回目の後に7-3を行い、再度7-1~7-2操作を行った画像
かなりの大粒ですが、形状やサイズにバラつきが有ります。
拡散&明るさの中間値は雪の粒にランダムな形状を与えますが、粒がある程度大きくなると効果が期待できなくなります。ランダムな形を求めるなら、序盤に拡散させましょう。
8.注意点
ここで上げた、1.~7.までの工程を順番に行うのが常にベストではありません。
1.の操作で「ノイズからランダムな粒を作る」を実行した後で、
- レベル補正で粒の数や明るさを調整する
- 拡大によって粒を大きく、密度を変化させる
- 拡散でpixelを散らし、明るさの中間値で丸め、粒の形状をランダムにする
- レイヤ加算やコントラストなどによる粒の明暗調整
- 拡散&明るさの中間値やレベル補正を使った粒の大きさ調整
これらの操作を臨機応変に組み合わせて、好みの雪を作るようにしてください。
加工例
この方法で描いた雪を使った加工例です。
加工1.準備
人物と背景を別レイヤで描きます。(画力がアレなのはご容赦ください)
人物レイヤ BGレイヤ
雪作成:人物と背景の間に新規レイヤを用意し、「1.降る雪を描く」の操作で雪を作ります。
雪が細かすぎたので、「5.雪の粒を大きくする」の操作で若干拡大&拡散、明るさの中間値を行っています。
加工2.とりあえず配置
人物と背景の間の雪を比較(明)にすると、背景色より明るい雪だけが見え、背景色より暗い黒い部分は透過されます。
奥行きを出すため、不透明度を調整して雪を薄くします。
加工3.雪に奥行きをつける
雪のレイヤを複製し、「5.雪の粒を大きくする」の操作で適度に拡大します。
*単純に拡大しているのがばれそうな時は、左右/上下/180度反転で誤魔化せます。
加工2.で作った雪よりも不透明度を上げることで、「近い方がよりはっきり見える」表現となり、奥行きが出ます。
ある程度大きくなっているので、「5.雪の粒を大きくする」の拡散&明るさの中間値でランダム形状に調整しています。
加工4.人物の手前に雪を配置
雪のレイヤを複製し、レイヤ位置を人物よりも手前にします。
「5.雪の粒を大きくする」の操作でかなり拡大し、不透明度も大幅に上げます。
*単純に拡大しているのがばれそうな時は、左右/上下/180度反転で誤魔化せます。
*その他、複製・拡散・レベル補正・移動ぼかし・波変形など加工を加えていますが、詳細は割愛します。
加工5.人物周囲の雪を追加
人物の周囲に雪が少ないので、更にもう一枚雪のレイヤを複製し、レイヤ位置を、人物と4.で作った雪の間に設定し、適度に拡大します。
この雪は’人物と同じ位置の雪’になります。一部人物よりも手前ですが、カメラのピントが合う位置なので、はっきり見せるため不透明度を低くする方針です。
雪の粒がある程度大きくなっているので、「5.雪の粒を大きくする」の拡散&明るさの中間値でランダム形状に調整した他、雪がうるさかったのでレベル補正で薄い雪が見えないようにしています。(その他波変形など加工を加えていますが、詳細は割愛します)
加工6.最終調整
各雪レイヤの透明度等を再調整します。この時、カメラを意識します。
一番遠い雪はピントが会わないのでぼかしを加えます。
一番手前の雪を目立たせるため、表示モードを加算に変更します。また一番手前の雪もカメラのピントが合わないので、不透明度を若干下げます。
その他、色味が足りなかったので背景にプラズマのレイヤーをビビットライトで重ねたり、顔の上など邪魔な場所にあった雪を消したりしています。
以上で完成としました。
以上はあくまで加工「例」です。効果の使い方によっては、もっと様々な表現も可能となるので、色々試して頂ければと思います。
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