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308 名前:黒め鬼畜 1/4[sage] 投稿日:2007/02/07(水) 01:17:26 ID:t26d1gtk  背中が痛かった。足も腕も。  手足には鎖が付けられて、自由に動くことも出来ない。  無理な姿勢を続けている所為で、全身が軋むようだった。 「動くな、椅子が」  四つん這いになったシエスタの上で、机に向かったアニエスが仕事をしていた。    サイトが出奔して手がかりを探しに来たアニエスに、その場で捕まった。  しばらく牢に閉じ来られていたが、帰ってきたアニエスは、非常に期限が悪かった。

「お前は今日から、椅子」  最初言われた時、シエスタは自分の耳を疑ったが……

 ――次の日からシエスタは椅子だった。  家も家族も知られているシエスタに、抵抗する術は無かった。

 アニエスの同僚が、部下が、じろじろとシエスタを見つめる。 『み、見ないでっ……』  男は皆立ち止まって、シエスタを見る。

「椅子は服を着ないだろう?」  そう言ったアニエスが、楽しそうにシエスタの服を切り裂いた。 『ごめんなさい……ごめんなさい、サイトさん』  どうやって調べたのか、サイトにプレゼントしてもらった服を着せた上でズタズタにした。

 ……大切だった服は、誰かがどこかに捨ててしまった。

 泣いて頼んでも、声が枯れるまで叫んでも、誰も何もしてくれない。

「良い椅子ですな」 「枢機卿」  男に見られるのに、いつまで経っても慣れないシエスタは、側にマザリーニが来ただけで竦み上がる。

「お貸ししましょうか?」  アニエスの一言に、身が凍る。  もし、そんな事になったら?  どんな目にあうか想像して、目の前が真っ暗になる。  ……サイトさんに、会わす顔が……そう思って、自嘲する。 『そんなの、とっくに……』  もう何人に見られたのだろうか? 『数えるのも……』  悲しい認識に、枯れ果てたと思っていた涙がこぼれる。  小さな嗚咽が、喉から漏れる。

「おや、可愛らしい小鳥なのに、声が掠れておりますな」 「えぇ、一度粗相をしましてね、水をあまり与えておりません」  機会があるごとに繰り返される説明に、シエスタは頬を染める。

 それにしても、声が掠れるほどに? 首をかしげるマザリーニに、アニエスが嬉しそうに説明した。 「生きるぎりぎりは与えて有りますので、死にはしません。  倒れても、メイジにお願いして回復させます。ですが……水は最小限」 「ほぅ? 何故ですかな?」

 楽しそうに、心の底から幸せそうにアニエスが哂う。 「もうすぐ何でも喜んで飲むようになりますよ、プライドを残したままね」

 その意味は分からないまま、シエスタはアニエスの腰の下でひたすら震え続けた。

309 名前:黒め鬼畜 2/4[sage] 投稿日:2007/02/07(水) 01:17:58 ID:t26d1gtk  何度もアニエスと約束を繰り返したマザリーニが、やっと立ち去る。 『よ……かっ……た』  安心して力が抜けると、身体に掛かる重さが何倍にも感じられる。  椅子になった直後に、『重い』思わずそう言ってしまった直後の責めを思い出す。

 涙をこらえながら、必死に耐える。  声も出せない。椅子は喋らないから。

 もし喋ると、アニエスが何をするのか……シエスタには見当も付かなかった。

「つまらんな」  アニエスの呟きに身が竦む。    この呟きの後は、大体……

 アニエスの指が、シエスタの膣に突き込まれる。 「っ……っ……!」    痛い。  それでも声を上げずに耐えるシエスタを、蛇の様な目で見つめながらアニエスは最近このために伸ばしている爪を突き立てる。

「……んっ……くっ……」

 カリカリと、しつこくしつこく痛みを与えると、シエスタの身体が防衛反応を……潤滑液を分泌する。

 自然な防衛本能。しかし……シエスタはそれを知らない。

「流石だなぁ、ほら、また濡れてるぞ?」  部屋中の隊員が……同性の笑いさざめく声が、シエスタの心をまた少し殺す。  性教育等を受けていないシエスタの知識は、いかがわしい本によって得た物だった。    ぼんやりと、アニエスの指に光る自分が感じた証を見つめる。  初めて見せられた時は、泣き叫んだ。  二回目は羞恥のあまり何も考えられなくなった。  三度目も、四度目も……決して慣れることなくシエスタをいたぶる。

「さて、『アレ』なら喋っていいぞ」  アニエスの宣告に、親衛隊員の笑い声も気に成らなくなる。 「ほら、どうした? 喋って良いんだぞ?」    黙っていることは出来ない。  アニエスは何が何でも喋らせる。

 ここ数日で、身にしみていた。それでも……それでも口に出す辛さに変わりは無かった。 「わ……わたしは……」  掠れた声、それでも出来るだけ大きな声で。  声が小さいと、やり直せと、こんなに辛いことなのに、もう一度口に出せ……そう言われるから。 「サイトさんに……」  こんな時でも、サイトの名前を口にしただけで、幸せに成れた。だからこそ続きを言うのが辛かった。 「ふ……相応しくありま……せん」

 毎日、コレだけが口にすることを許された言葉で……

 嘲る声が響く部屋の床の上で……死にたいほどの絶望に身を浸す。  死ねば弟を代わりに連れてくると、アニエスが口にしていなければ……とっくに……

「何をしているのですっ!!」  どこかで聞いた声が響いた瞬間も、シエスタはまだ泣き続けていた。

310 名前:黒め鬼畜 3/4[sage] 投稿日:2007/02/07(水) 01:18:30 ID:t26d1gtk 『暖かい……』  誰かがシエスタを抱きしめていた。 『誰?』  目が霞んだ。  十分な水分を与えられていなかったシエスタの目に、十分な涙は無かった。 「さ、もう大丈夫ですわ、ほら……これを……」  口の中に差し込まれた何かから、水が零れる。  むせながらも、数日ぶりの十分な水を、何度にも分けて与えられた。

 水が……こんなに美味しいなんて知らなかった。

「もう一度お休みなさい」  綺麗な声。  どこかで聞いたことが有った。

「ごめんなさい」  髪を撫でる優しい手に全てをゆだねて、シエスタはもう一度眠りに付いた。

 ――何度か目を覚ました気がする。  その度に誰かが、水を飲ませてくれた。  頭が痛いと言ったら、魔法を掛けてくれた。  怖いと泣いたら……抱きしめてくれた。

 まさか……そう思っていた。

 シエスタの隣で、女王陛下が眠っていた。 「へ……へ、へい……か?」  城に来てからの辛い思いも何もかも吹っ飛ぶ衝撃だった。 「ん〜」  あどけなく寝返りを打ったアンリエッタが、シエスタに甘えるように抱きついた瞬間、フリーズしたシエスタの意識が暗転した。

「おはよう、……シエスタ?」  ――夢じゃなかった。  夢のように美しい女王が、シエスタの手を引いて立ち上がらせる。 「アニエスが貴方にひどい事をしてしまって……ごめんなさい」 「ひぅ? ひぇ? ひぇいか?」  見た事は有った、声を聞いたことも、想い人が同じことも知っていた。  それでも、こんなことが起きるとは考えたことも無かった。 「一緒にお風呂に入りましょう? あ、わたくしの事はアンとお呼びに成ってね? シエスタ」

「おやすみなさい」  夢だと断定したシエスタは、断固としてもう一度眠りに付いた。

 ――陛下は怒ると可愛い人だった。 「もう、シエスタはわたくしと居るのがお嫌ですか?」 「め、滅相もございません」 「ルイズのお友達ですもの、わたくしとも仲良くしてくださいましね」    ……サイトさんがよろめく気持ちがよく分かる……  シエスタは、話せば話すほどアンリエッタに惹かれていった。

「この部屋なら、アニエスも滅多に入れませんから、ゆっくり養生してくださいね?」

 ……お城にもいい人居るんだ……シエスタは久しぶりに笑いながら眠りに付いた。

311 名前:黒め鬼畜 4/4[sage] 投稿日:2007/02/07(水) 01:19:02 ID:t26d1gtk  シエスタと共に起きたアンリエッタが、シエスタを置いて執務室に向かう。   「陛下」  いくつか廊下を曲がった所に、アニエスが控えていた。 「上々です、アニエス」 「はっ」

 シエスタには見せなかった冷たい顔の女王は、アニエスを見下ろしながら続けた。 「もう数日は回復させるように」 「……よろしいのですか?」

 目を閉じたアンリエッタの脳裏に、無防備に笑うシエスタが浮かぶ。  ……それでも…… 「どこに行くのか分からぬ猫に、鈴は付けねばなりません」

 アニエスが何を言おうとしているのかは分かっている。  それでも…… 「あの娘には……サイトさんより、わたくしを重視してもらわねば成りません……」

 楽しかった……幼い頃のように……  何も、相手の裏を考えずに笑いあった……    それでも、彼女は王だった。

「あと数度、追い込みなさい……わたくしに……依存させるのです」

 命を懸けてサイトを追うであろう彼女が、自分に連絡を取り続けさせるために……  そのために、アニエスに命じたのだから……

 演技だったはずなのに……大切に成りつつある彼女の存在を押し殺して、  アンリエッタは計画を進めた。