ゼロの保管庫 別館

12-153

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153 名前:女王アンリエッタの優雅な一日[sage] 投稿日:2007/02/23(金) 22:57:21 ID:VeYkfIjK 「はぁ……」

アンリエッタは何回目かもわからない溜め息をついた。 サイトやルイズ達が衛兵を倒し脱獄してから既に二週間が経とうとしている。アニエスにもサイト達を捕縛するように命じたが、巧く逃げられたようだった。 「はふぅ……」 「陛下、そのように溜め息ばかりついていては御身に障ります。」 アニエスはアンリエッタに呼び出されてから初めて口を開いた。呼ばれたのはいいが、アンリエッタが窓の外を見ながら溜め息ばかりしているので見るに見かねてのことだった。 実はアンリエッタの命令を守れなかったことでお咎めがあるのかと内心ヒヤヒヤしていたのだが、アンリエッタの様子を見るにそうではないようだ。 ではなんで呼び出されたのだろうか?そんなことを考えていたら 「ねぇアニエス…何か気分が紛れるようなものはないかしら?信頼していた親友も勇者も私の前からいなくなってしまって、最近夜も眠れなくて。」

アニエスは気付いた。なるほどアンリエッタはルイズ達がいなくなっても普段通り女王としての職務を果たしている。が、やはり親友がいることはアンリエッタにとって心の支えでもあったのだろう。 しかもどうやら、その親友の使い魔にも何やらありそうなのをアニエスは長いこと側にいるのでわかっていた。 「そうね、本がいいわ。アニエス、面白そうな本を探してきて頂戴」 「御意」

154 名前:女王アンリエッタの優雅な一日[sage] 投稿日:2007/02/23(金) 22:58:39 ID:VeYkfIjK というわけで本をさがす事になったアニエスだが、すでに後悔していた。 (これは難題を引き受けてしまった。陛下のことだから教養として『イーヴァルディの勇者』などの本は既に読んでいるに違いない。さてどうしたものか……) など考えを巡らしていると 「あら、アニエスさんじゃないですか。どうしたんですか?」 「お前は確か……サイトのメイドの」 シエスタだった 「いや、本を探しているんだがな……」 シエスタは元は学院でメイドをやっていたので、流行の本を知っているのではないかと思い、相談してみることにした。もちろん”陛下のため”とは言わなかったが

「そうですか、じゃあこの本はどうですか?今、人気なんですよ」 と、ある本を渡された 「すまん、助かった」 「いえいえ〜♪あとこれ、二章がすごいんですよ。是非読んでみて下さい。」 と渡された本のタイトルは

『バタフライ伯爵夫人の優雅な一日』だった

155 名前:女王アンリエッタの優雅な一日[sage] 投稿日:2007/02/23(金) 23:01:44 ID:VeYkfIjK 本を買ったアニエスは”内容を確認せずに”急いでアンリエッタのもとに向かった

「へぇ、これが今の流行りですか…」 「そのようで」 ふ〜ん、といった感じで本の表紙をまじまじと見ていたアンリエッタだったが、ふっとアニエスに本を渡すと言った 「では、読んで下さいまし。」 アンリエッタ程の身分にもなれば、本とは自分で読むものではなく、人に読んでもらうものなのだ 「え?……あ、わかりました」

と、読み始めたのはいいのだが、如何せん、内容が途中からぼかーんなわけで。アニエスも一通りの知識はあったが女王の前で読むとなると話はべつだ。 「陛下、本を変えてきます」 するとアンリエッタは今までの話で顔を真っ赤にしながら 「いえ、続けて下さい。国の様子を知るのは女王の勤めですから。わたくし女王ですから!胸も女王ですから!胸も女王ですから!」 とかもう無茶苦茶である。 「いや、しかし」 「アニエスも私のもとから去っていってしまうのですか?」 アンリエッタが顔を赤くして涙目で、しかも上目づかいに見ているのである (泣き落としなんて何処でならったんですか!!) と泣きそうなアニエスだったが、その後も読み続け、 「そ、そんなとこを殿方が…いやんいやん」 「そんな……むにゅっちゃうなんて…」と、とにかくぼかーんな内容にテンションが雲の上なアンリエッタと、アニエスの 「もう、今日は終わりに……」 「二章は勘弁して下さ〜い!!」という悲鳴とが止むことはなかった。

次の日アニエスが銃士隊を休んだ理由は誰も知らない。

12-267女王アンリエッタの可憐な一日

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