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785 :ハッピーバースデー・トゥ・ユウ ◆mQKcT9WQPM :2007/06/28(木) 21:40:00 ID:zkMaH16O よう。俺っちだよ俺っち。俺俺。 シャイでおしゃまなキューピッド、デルフリンガー、六千とんでじゅうよんさい、おとめざ、ちゅーに。 …いや、モノローグで自己紹介する時はこう言ったほうがウケがいいってブリミルが言ってたもんでな。 まあとにかく。 今日も今日とて俺っちは相棒にほっぽられて、部屋の隅で鞘に収まっていた。 …いやいいんだけどね?何百年もこの状態だったこともあるし、俺っちにとって時間なんてのは概念にしか過ぎないわけで…。 いいかげん使ってくんないと泣いちゃうぞ。女の子だもん。 いや冗談だがな。 …しっかしヒマだねえ。最近まともな戦闘もなくて、相棒も素振りくらいにしか使ってくんないし。 その相棒は、毎晩夜の戦闘で大忙しっぽいが。 …だから言ったのに、娘っこに手を出したらフラグの大連鎖が始まるって。 必死に運命がフラグから逃げようとしていたのに、うかつに転ぶもんだから運命ごと巻き込んでえらいことに…。 あ、このへんはデルリンガー教授著『必然と偶然の連鎖』で詳しく述べられてるから、読んどいてくれ。 いや冗談だがな。 …あーもー、マジでヒマだ。このまま力蓄えてラスボスになっちゃおうかしら、俺。 そうやって俺が暇を持て余していると。

ぎぃ。

扉を開く音が聞こえた。 でもまあ俺っちには縁のない話で…。 どうせ今日もまた、痴話喧嘩か濡れ場かの二択なんだからな。 ホントダレかどうにかしてくんないかね、あのバカップルども。 なんて思ってると。 あれ?足音が俺っちによってくるぞ? この音は…虚無の娘っこだな。 …なんか嫌な予感。

すらっ。

久しぶりに引き抜かれた俺っちは、虚無の娘っこと対面する。

786 :ハッピーバースデー・トゥ・ユウ ◆mQKcT9WQPM :2007/06/28(木) 21:41:25 ID:zkMaH16O 「なんの用だね、嬢ちゃん」

まー、だいたい相棒絡みだってのは想像つくけどねえ。一応、ってやつだな。

「ちょっと、相談に乗らせてあげるわ。ありがたく思いなさい錆び包丁」

…言うに事欠いて『錆び包丁』かい。 よっぽど気に食わねえ事でもあったんかいな?

「どーした?またあのメイドが胸で相棒の頭でもサンドイッチにしてたのかい?」 「そーよ!なぁにが『今日は私の誕生日だからサイトさんを好きにしてもいいですよね』よ!  サイトもサイトよ!思い切り鼻の下伸ばして!」

図星かいな。

「で、今度は何を企んでる?」

そう俺っちが促すと、虚無の娘っこは我に返った。

「企んでるなんて人聞きが悪いわね。  私はちょっと、サイトに贈り物をしようと思っただけよ」

娘っこの言う事には。 相棒はこっちの日付を知らないんで、こっちの世界に召喚されて丁度一年目になる明日を、娘っこは便宜上の誕生日とするつもりらしい。 んでもって、そのついでに贈り物をするんだと。 べ、べつにサイトが喜ぶ必要なんかないんだけど、貴族として平民のあのメイドなんかに負けるわけにはいかないじゃない? なんて言ってた。 まーようするに、相棒の誕生日を祝いたいんだけど、どうすればいいかわからんから相談に乗ってくれ、ってことらしい。

で、俺っちと娘っこはあーでもない、こーでもないと議論を繰り広げ…。 正直、武器屋の倉庫で眠ってた数十年よりこの議論の方が長かったように思えたが…。 俺っちがまあいけてんじゃね?と思ったのが、次の三つ。

『今日はアナタがご主人様にゃん!メイドでネコミミ大作戦』 『プレゼントはわ・た・し♪お色気突撃正面吶喊作戦』 『べ、べつにアンタのために選んだわけじゃないんだからね!史上最強の贈り物作戦』

ちなみに作戦名は俺っちの独断と偏見によるものだから抗議は受け付けない。 …まあはっきり言って、相棒は普通に嬢ちゃんが祝ってくれるだけで喜ぶと思うんだけどねえ。 どうしたもんかね。 857 :ハッピーバスデー・トゥ・ユウ ◆mQKcT9WQPM :2007/07/01(日) 10:28:00 ID:xQmcFtBE あーだこーだ言いながら、結局ルイズが選んだ作戦は。

『べ、べつにアンタのために選んだわけじゃないんだからね!史上最強の贈り物作戦』

「…なんか作戦名がものすごくアレなんだけど」

眉をしかめながら、ルイズはデルフリンガーにそう言う。 デルフリンガーは気にも留めずに、言い返す。

「いやだって。お前さんの作戦内容聞いてるとこうとしか」

その作戦内容とは。 常日頃から私の使い魔として働いているサイトの誕生日(仮)に、お礼の贈り物をしようと思うの。 サイトの誕生日(仮)だからそういうことするわけじゃないの。 ただほらそのアレよ。たまには労ってあげないと、使い魔もやる気が出ないだろうって言うか。 そうよ、あくまでこれは、私に仕えているサイトのメリットであって。 本来感謝されるべきは私なわけ。 そういうことらしい。

「妥当な作戦名だと思うがなあ」

デルフリンガーは呆れたように言って、そして。

がっしゃん!

勢いよく鞘に収められた。

「全く、だからデリカシーのない剣って嫌いなのよ」

そう文句を垂れるルイズだったが、世の中にデリカシーというものを理解できる剣はそうはいない。

「さてと」

言ってルイズは踵を返し、部屋の外へと向かう。 才人に与える、贈り物を買うためだ。

「さあ、覚悟なさいサイト。いっぱいお礼言ってもらうんだから…!」

既に当初の目的とはかなりずれた場所に向かっているルイズであった。

859 :ハッピーバスデー・トゥ・ユウ ◆mQKcT9WQPM :2007/07/01(日) 10:34:46 ID:xQmcFtBE まずは、モノがなくちゃ話になんないので。 私は馬で町へやってきた。 さて、何を買おうかしら。 私は通りを歩きながら、サイトの喜びそうなものを考える。 やっぱサイト剣士だし。ソレ関係がいいかしら。 武器はデルフリンガーがあるからいらないわよね。だとしたら、防具かしら。 防具ってなにがいいのかしら…。 鎧?だめだめ、重すぎるわ。持って帰れないじゃない。 盾はどうかしら?小型のならなんとかなるかも。 …よく考えたら、私防具の良し悪しなんてわかんないじゃない…。 それに、アイツってば一応騎士サマなんだし、官給品で防具ぐらい手に入るわよね。 変更変更。 私に見立てが出来るもので、アイツが喜びそうなものにしなきゃ。 服?装飾品? 服…服はねえ…。正直、男物の服なんてあんんまり気にしてないから、よくわかんない。 女物ならわかるけど…。でもサイトにドレス…。いいかも。やっぱり大きなリボンがついてるのが…。 じゃなくて! やっぱり装飾品かしらね。 小さくても高級感があって。サイトもそうそう買えないだろうし。そうね、そうしましょ。 私はそう決めると、馬を繋ぐ場所を探し始めた。 すると。

「あれ?ルイズちゃんじゃないの」

どこかで聞いた声が、私にかけられた。 そこにいたのは、黒髪で長髪の町娘。 …誰だっけ。

「…私よ私。『魅惑の妖精亭』の」

あー、ジェニファーだっけ?

「ジェシカよジェシカっ!」

…あーそーいやそーだったっけ。 登場回数少ないから忘れてた。てへっ♪

「あのねえ。失礼にもほどがあるわよ…。  まあいいわ。今日は何の用事?よかったら付き合うけど?」

…そうだ。 彼女なら、イロイロ男が喜ぶ贈り物とか知ってそう。 流行のものにも詳しそうだし。

「ちょうどよかったわジェシカ。買い物付き合ってくれない?」

私はジェシカに買い物の付き添いを頼んだのだった。

17 :ハッピーバースデー・トゥ・ユウ ◆mQKcT9WQPM :2007/07/04(水) 00:48:49 ID:lDUSuWry 「なるほどねえ。サイトに贈り物をねえ」

言ってジェシカは『へーえ、ふーん、やっぱりそうなんだあ』というニヤニヤ笑顔をルイズに向ける。 今二人が居るのは、軽食を採れる食堂。 とりあえず買い物の前に腹ごしらえをしようということで、手近な食堂に入った二人だった。 ちなみに魅惑の妖精亭はまだ開店前なので、食事を採る事はできない。 ルイズは赤い顔で紅茶を飲みながら、

「な、なによ。主人としての義務を果たすだけよ。悪い?」

ぷい、とそっぽを向いてしまう。 ジェシカは面白い見世物でも見ているような顔で、そんな」ルイズに言った。

「そんな義務だけでわざわざ町にまで出向いて贈り物選ぶのぉ?  貴族ってずいぶんヒマなのねえ」 「ひ、ヒマってわけじゃ」 「じゃーなにー?ヒマじゃないんだったらどうしてそんな手間かけるのかなぁ?」 「えう」 「なぁぁぁにぃぃぃぃぃぃぃ?」

ニヤニヤ顔でルイズに擦り寄りながら、ジェシカは詰め寄る。 そんなジェシカをルイズは乱暴に振り払い、

「い、いいから!とにかく品物選ぶの付き合いなさい!」

言い放って一気に紅茶を飲み干し。

「!えほ!えほ!」

勢いよく熱い紅茶を飲んでしまったので、思い切り咽てしまった。

そして、二人は宝飾品の店の並ぶ通りにやってきた。

「やっぱ、王道としては指輪かしらね」

指輪の看板を掲げた店の前で、ジェシカはそう言う。 ルイズはジェシカのその言葉に、慌てて両手を振って否定する。

「だ、だだだだだだだダメよ指輪は!な、なんか本気っぽいでしょ!」

ジェシカは何言ってんのコイツ、という呆れ顔をして、言った。

「何を今更。っていうか本気じゃないの?」 「いやそれは言葉のあやっていうか!ていうか、指輪は普通男の子の方から贈るものでしょ?」

真っ赤な顔でそう言い訳するルイズ。 ジェシカはふーんそういう考え方もあるのか、と取りあえず納得しておくことにした。

18 :ハッピーバースデー・トゥ・ユウ ◆mQKcT9WQPM :2007/07/04(水) 00:49:27 ID:lDUSuWry それじゃあ、とジェシカは次の候補を考える。

「ネックレスとかは?」 「どうだろ…」

ジェシカの指差した方にあったのは、ネックレスの飾られたショウウインドゥ。 ルイズはうーん、と唸りながらそこに並べられた品物を見る。 そのどれもこれもが、宝石をメインに置いた、パーティ用と見られるものばかりだった。

「なんか、いまいち。それにサイトはこういうの喜ばないと思う」

なんだか手詰まりの雰囲気に、二人は顔を見合わせて、うーん、と唸る。 ジェシカはなんとなく辺りを見回す。 その目に、通りの端の店の、猫の顔を模した看板の店に入っていく町娘が眼に入る。

「あ、そうだ思い出した!」

ぽん、と手を叩いて、ジェシカはルイズに向き直る。

「あそこの店で売ってる耳飾り、今すっごい人気なのよ!それでどう?」

ルイズはそれを聞いて、不満そうな顔をする。

「えー?耳飾りって…」

不満そうなルイズに、ジェシカは続ける。

「あれ、カップルに人気なのよ?」

カップル、という単語にルイズの耳がぴくん、と動く。

「詳しく聞きましょうか、その話」

19 :ハッピーバースデー・トゥ・ユウ ◆mQKcT9WQPM :2007/07/04(水) 00:50:56 ID:lDUSuWry そして次の日。 才人が日課の素振りを終えて、ルイズの部屋に帰ってくると。

「お、おかえり」

珍しい事に、ルイズが居た。しかも、才人がドアの前に立った瞬間、ドアを開けたのはルイズだった。 ちなみに、授業が終わるのは才人の日課の素振りが終わるより遅い。 だから才人は、ルイズが帰ってくるまでに掃除や洗濯の片付けなどをするのだが。 さらに才人の驚いた事には。 部屋が、なんだか妙に飾り付けされているのだ。

「な、なに?なんかあったの?」

思わず才人は驚いて、そう尋ねる。 ルイズは少し頬を染めて、もじもじしながら言った。

「え、えっとね」

そして、言いよどむ。 が、がんばれ私!ちゃんと言わなきゃ伝わんないわよ!ただでさえニブいんだからこの男!

「きょ、今日はね、あのね、そのね」

指など絡ませながら、必死に声を絞り出すが、上手くいかない。 そんなルイズの視界の隅に、才人の為に買ってきた、贈り物の箱が入る。 …そうよ、何のために準備したっていうのよ…! ルイズは息を吸い込んで、意を決して、言った。

「た、誕生日おめでとう、サイト」 「へ?」

才人の目が点になる。 それも当然といえば当然だろう。才人は自分の誕生日が、ハルケギニアではいつにあたるのか、知らないのである。 目を点にして止まっている才人に、ルイズは。

「こっちの日付じゃちがうかも知れないけど、アンタが召喚されて今日でちょうど一年じゃない?  だ、だからこっちでのサイトの誕生日は今日!そういうわけ!」

言い切って、真っ赤な顔のまま俯く。 そんなルイズに才人は、素直に感動してしまう。 ルイズ、俺の為にそんな…! そして思わず感極まって、ルイズを抱き締めてしまう。

「ちょ、な、なにしてんのよ…」

それでも嫌な気はせず、ルイズは才人のされるがままになる。 才人はルイズを抱き締めたまま、彼女の耳元で囁いた。

「ありがとう、ルイズ。嬉しいよ」

その言葉に、ルイズの胸がきゅーん、と締め付けられる。

「ば、ばか、べ、べつに大したことじゃないわよ…」

思わず照れてそう返してしまう。そしてルイズは意を決する。 よ、よーし。

20 :ハッピーバースデー・トゥ・ユウ ◆mQKcT9WQPM :2007/07/04(水) 00:51:32 ID:lDUSuWry ルイズは顔を上げると、体を離して、才人に言った。

「あ、あのね、誕生日プレゼントがあるんだけど」

そしてとてて、と才人からは死角になっている場所に置いてある包みを手にとって、渡す。

「こ、これ…」

ルイズの差し出したその包みを、才人は受け取る。

「あ、ありがと」

ルイズが俺に誕生日プレゼントなんて、明日世界が滅びるんじゃないかしら、なんて思いながら、才人は包みの重さを確かめる。 そして、ルイズに尋ねる。

「開けていい?」 「い、いいに決まってるじゃないの!さっさと開けなさい!」

言ってルイズはそっぽを向く。 さ、さあ、こっからが本番だわ…! ルイズの期待を知ってか知らずか、才人は包みを開け、中からこぶし大の大きさの違う小さな箱を二つ、取り出した。 才人はそのうちの、大きなほうを開ける。 その中には、綺麗な円形を象った、銀製と思われる耳飾りが一個だけ、入っていた。 もう片方は…? 才人は気になって、もう一つも開けてみる。 その中には、同じような円形の、耳飾りがこれまた一個だけ入っていた。 よく見ると大きさと色が微妙に違っており、大きなほうはサイズも大きく、青みがかっている。 小さなほうは大きなほうに比べて二周りほどサイズが小さく、桃色がかっていた。 なんで耳飾りを二つに分けて包む必要があるんだろう? 当然の事ながら、才人は疑問に感じていた。 この耳飾りの名称は、『双月の耳飾り』という。 ジェシカによれば、最近トリスタニアの町娘の間で流行っている装飾品で、これは男女ペアで着けるもの、らしい。 そしてこの耳飾りには、特殊な加工が施されている。 ルイズは、二つの箱を持て余している才人に、振り向いて説明した。

「あのね、サイト。それは『双月の耳飾り』って言ってね。男女のペアで着けるのよ」

ちょっと、顔が赤くなっていた。 そして、続ける。

「つ、着けてみて…」 「うん」

才人は言われるがまま、自分の左側の耳にそれを着ける。 ちょうど、銀の円盤との付け根が、隠れるようになった。

21 :ハッピーバースデー・トゥ・ユウ ◆mQKcT9WQPM :2007/07/04(水) 00:52:02 ID:lDUSuWry ルイズはそれを見て、才人の傍に寄っていくと、才人を見上げて言った。

「ほら…私にも」

言ってルイズは目を閉じる。 まるでキスをせがんでいるようにも見えるが、さすがの才人もそこまで空気が読めないわけではない。 自分と同じように、耳飾りをつけようと、ルイズの左側の耳に手を伸ばす。

「あ、そっちじゃないわよ」

ルイズはそう言って、才人の手を取って自分の右耳に誘導する。 才人はルイズの言うまま、右の耳に小さな耳飾りを着ける。 ルイズは嬉しそうににっこり笑うと、言った。

「サイト、似合ってる」

うは。かわええ。 毎回素直にこういう笑顔を見せてくれれば、俺的にベストなんだけどなあ、なんて思いつつ、才人はさっきから思っている疑問を口にした。

「でもさ、なんでこれ片方ずつなんだ?」

ルイズはその質問に、少し赤くなって、才人の胸板を軽く押して、応えた。

「教えてあげるから、ちょっとベッドに掛けなさい」

え?ナニ?やっぱエロいことにつかうわけ?などと不埒な事を考えながらも、才人はルイズに従う。

「で、でね、こうするの…」

ルイズは才人の左側にちょこん、と掛けると、才人に寄り添うように、頭を才人の方へ寄せる。 すると。

かちん。

小さな音をたてて、二つの耳飾りの円が、まるで双つの月が寄り添うように、くっつく。 ルイズはそのまま、町でジェシカに聞いた説明をそのまま口にする。

「あ、あのね、この耳飾りは特殊な金属でできてて、対になった二つが近づくと、こうやってくっつくの…」 「へ、へえ」

な、なんつーバカップル御用達アイテム。 なんて考えている自分がそのバカップルの片割れだと重々承知で、才人は心の中でそう突っ込む。 その片割れのルイズは嬉しそうに才人の肩に擦り寄っている。 なんかこうしていると、すっごい幸せな気分…。 ルイズはこのままこうしていたかったが、しかしそうもいかなかった。

22 :ハッピーバースデー・トゥ・ユウ ◆mQKcT9WQPM :2007/07/04(水) 00:52:50 ID:lDUSuWry いきなり才人が、ルイズの両肩を掴んで、ベッドにルイズを押し倒したからだ。

「ちょ、サイトいきなりなにすんのよ!」 「いやあ、可愛いルイズ見てたらガマンきかなくなってきてさあ」

こんだけ盛り上がってれば、ちょっとくらいエロいことしても大丈夫っしょ。 今までの経験則から、そう判断した才人であった。 そしてそれは果たして。

「ば、ばかぁ…」

才人の下敷きになりながらも、赤くなりながら抵抗する素振りも見せないルイズを見て、正解だと悟る。 才人はそのまま、ルイズの顎をつまんで自分の方を向かせると、その唇を奪った。 すると。

かちん!

左耳の横で、互いに正対した耳飾りが、今度は重なってくっついた。 ちょうどそれは、双つの月が重なる、『蝕』に似ていた。 そういえば、この『蝕』のカタチになるのが、一番理想なんだって言ってたっけ。 なんて思ってると。 才人はルイズが抵抗しないのをいい事に、今度はお尻のあたりをいじりはじめた。 ルイズは慌てて唇を離し、抗議する。 それと同時に、くっついていた耳飾りも離れてしまう。

「ちょ、何やって…!」 「まー自然な流れで。正直このままだと収まりつきませんし」

才人はにやりと笑うと、今度は調子に乗ってルイズの上着のボタンを外し始めた。 ルイズは最初、抵抗しようと思ったが。 …まあ、いっか。誕生日だし大目に見ましょ。 とは思ったものの、好き勝手に身体の上を這い回る才人の手に、少し不満を感じ始める。 ルイズは何を思ったか、才人の首をぎゅっ!と抱き締めると、鼻先がくっつくほど顔を密着させた。

かちん!

再び、二人の『双月の耳飾り』が、一つになる。

23 :ハッピーバースデー・トゥ・ユウ ◆mQKcT9WQPM :2007/07/04(水) 00:55:32 ID:lDUSuWry 「ど、どしたのルイズ?」

ひょっとして機嫌そこねちゃいましたか、などと才人が不安になってそう尋ねると、ルイズは応えた。

「好きにしていいけど。絶対に耳飾り離しちゃダメだかんね」 「え、だってそんな、しにくいだろ」 「反論は却下。このまましないと怒るかんね」

言って今度は、ルイズの方から才人に口付けをする。 そして、耳飾りをくっつけたまま唇を離すと、言った。

「このままだったら、何してもいいから…ね?」

吐息が混じりあうほど密着した空間で、ルイズは才人の首を捉えて離さない。 …しょーがねーなー。

「わかりましたよ、ご主人様」

言って才人は、そのまま手探りでルイズの胸を撫で回す。

「うん…そう…それでいいの…」

漏れる吐息と言の葉が、いつもと違う官能を、才人に呼び起こさせていた。 こーいうのも、たまにはアリかもですね! 才人は首をロックされたまま、今度はルイズの下半身に手を伸ばす。 このままでは、ショーツを下ろすことはできないので。 才人は器用に指でショーツを引っ張ると、ルイズを外気に晒した。そしてファスナーを下ろし、既にズボンの中で限界まで張り詰めていた自分を引き出す。 ルイズもそれを感じたのか、一瞬ぴくん!と震えたが、目の前の才人に、頷いて見せた。

「いいよ…そのままきて…」

才人はそのままルイズの唇を塞ぐと、それと同時に自分自身でルイズを貫いた。 ルイズはぎゅっと才人を抱き締め、そして舌を才人の口内に差し込んできた。 才人は侵攻してきた小さな舌を嘗め回し、そして腰を打ち付ける。 ルイズはそんな才人の腰を足で挟み込み、より深く彼を咥え込む。 密着しきった身体と身体が絡み合い、唾液と汗と性液が交じり合う。 息をすることすらままならない密着した空間で、二人は徐々に高められていく。 やがて才人の動きが早まり、限界を知らせる。 ルイズはそんな才人の身体を逃がすまいとより強く抱き締める。 二人の耳元で、耳飾りが繋がったまま揺れる。そして。

ぎゅぅっ!どくどくどくっ!

お互いに塞いだ唇のせいで声も上げず、二人は達したのだった。

24 :ハッピーバースデー・トゥ・ユウ ◆mQKcT9WQPM :2007/07/04(水) 00:56:07 ID:lDUSuWry ひととおり行為が終わると、サイトは寝てしまった。 結局あのあと、耳飾りをくっつけたまんまじゃ不便だったんで、そのままいつもどおりにして。 そして今、耳飾りは箱に入れられて、ベッド脇の円卓の上に載ってる。 あのあと、サイトが 『この耳飾りってさ、ずっとしてないとダメなわけ?』 とか聞いてきた。もちろん私はずっとしてないとダメ、って応えたんだけど。 『でもさ、ずっとしてるとその…冷やかされない?』 とか言ってきた。たしかに、おそろいの耳飾りなんかしてたら、さんざんからかわれるに決まってる。 …今でも、時々モンモランシーとかにネタにされるのに。 だから結局、この耳飾りは二人でいるときだけ、することにした。 できるだけ、この耳飾りが離れないようにするのが、その時二人で決めたルール。 …な、なんかちょっと恥ずかしいけど。でも。 やっぱり、こういうのは、形が大事よね。 私は、隣でアホみたいに口を開けて眠る才人をちらっと見て、窓の外で輝く双つの月を見上げる。 そして、私は双つの月に願う。 ずっと、この耳飾りが、一緒にいられますように…。〜fin