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369 :名無しさん@ピンキー:2007/07/17(火) 17:57:51 ID:noOUnkhE 私の心の傷は癒えていない。むしろ自分でその傷を深くし、その痛みで体を奮い立たせている。 炎が私の始まりだ。今の私の始まりは炎だった。私から全てを奪い去った炎、そしてそこから這い上がる為に、自ら灯した炎。 灯火なら人を温めるかも知れない。しかし業火は周りを焼き尽くすしか能が無いのだ。だから私は姫様の、今は陛下の忠実な下僕となり、弾丸となり、あの方に近づく者を焼き払う。 それはいつの間にか私の復讐と混同され、偽りの非情によって仇に、敵に必要以上の攻撃を加えていた。 私は、人らしい心を捨てていた。あどけなかった少女の私は、何もかもに胸を時めかせていた私は、もう居ない。

「それはあなたが悪いんじゃないと思いますよ?」 「…例えそうだとしても…もう前の私は…」

今日は何故か、目の前の者にそんな事を話してしまった。サイト。この男は確実に優しさを持って言葉を返すだろう。そう確信して、私は話した。 少しだけ私の中に甘えがあったのだ。ほんの少しだけ触れて、引く。それだけの筈だったのに、触れた瞬間、心が痛んだ。

もしかしたら本当に…前の自分が残っているかも知れない。

そんな甘い想いが膨らんでしまった。 「アニエスさん…」 「貴様からは…」 「はい?」 「貴様からは私がどんな風に見えるんだ?サイト」 「それは…ええっと。凄いなとか。いや、剣も銃も使えるなんて、やっぱり凄いですよ」 「そらみろ。やっぱりそういう風にしか見えて無いじゃないか…」 「…」 私の為に本気で憂えてくれる男がいる。それだけで十分だ。そろそろ話しを切り、平時の私に戻らなければならない。それこそが、他人に弱点を見せない事が強い証と思っていた。

変わったのは、この瞬間に。

「…サイト?」 「…!」

他人の腕に抱かれた。自分では無い者がこの体を抱く。内では業火を灯していながら、温もりが貰えずに冷え切っていた体を。 370 :名無しさん@ピンキー:2007/07/17(火) 17:59:04 ID:noOUnkhE 「な…?」 拒め無かった。信頼する者の腕がこれほどに温かいものとは知らなかった。困惑の中に一瞬の拒否も生じさせず、徐々に満ちる温もりと、彼の声に耳を傾けた。

「本当は…辛そうにしか見えなかった」 「お前に…何がわかる」 「わからないですよ。あなたの事なんか」 「無礼な奴だ…上官に向かってこんな事をする…」

思わず笑みが零れてしまう。いや、零れたのは笑みだけでは無い。目から流れ出る雫もだ。

「すごく可愛いです。涙なんて絶対見せてくれなかったし」 「当たり前だ。上官だぞ?…お前は優しいのだな…」 「まだそんな口振りなんですね…」 本当に、囁くような一声が私の強さを完全に打ち砕いた。

「人は甘える事だって必要だと思います。俺を信用するんなら…そんな言葉も要らないんですよ」

それから私は…少女になった。甘い腕の温もりに身を任せた。

「なあ…本当に…本当甘えていいのか?」 「はい」 「一晩中でも私を抱きしめてくれるのか?」 「望むところです」 「キ、キスだって望むかも知れないんだ。それに私は大人だから…そういう事をしたいとか…」 「言わなくても良いですよ。気づくように努力します」 「き、気付くんだぞ?気付かなかったら…」 「その分、沢山返します…」 「…うん…じゃあ」

379 :名無しさん@ピンキー:2007/07/17(火) 21:43:40 ID:noOUnkhE 「今は…こうさせてくれ…」 温もりが満ちて行く。私が打ちのめした筈の者の胸は、私より弱いと思っていた者の胸は温かく、緩やかに私の炎を治めていく。 誰にも話さなかった悲しみが滲み出て、私は幼稚な思いをいつの間にか告げていた。 聞いてもらいたかった。

「死ぬのは本当に怖かった…私を知る者が居なくなるのも怖かった…一人ぼっちになりそうで…」 「俺だってそんなの…嫌です」 「だろう…私だって本当は誰かに守って貰いたいんだ。今みたいに抱かれて、優しくされたかったんだ…」 「…」

私の体が宙に浮かんだ。膝の下と背中にサイトの腕が回る。 「軽いですね」 「鎧は着けている。軽いわけが…」 「女の子だから軽いですよ?」 「…ふっ。バカめ…」 「知ってますか?これをお姫様抱っこって…」 「わ、私だってそれ位知っている!…だがこのザマでは…姫様に…申し訳…が…」

本当は…思いのほか心地良い。この様な態勢は幼き頃の父上が…それもおぼろげな記憶でしかない。甘い物が、今度は眠気がやってくる。虜にされる様に私の意識は彼へと向けられた。 「…早速頼んで良いか?」 「はい」 「私の唇に…お前の唇を重ねてくれ…好きなだけ味わってくれて良い…」 「…」 「まだ自分では穢れていないと思っている乙女の唇だ。貴様にくれてやる」 「またいつもみたいになってますよ?」 「それはすまないな…では…」

「キス…して…」

そうだ。この男は卑劣にも少女の私を引きだそうとする。

拒める訳が無い。

380 :名無しさん@ピンキー:2007/07/17(火) 21:47:32 ID:noOUnkhE 「ん…」 「ん…ちゅっ…」 これが恋人達の営み。その中でも始まりに過ぎないのに…私の胸はこれ以上無いほどに暴れていた。いや、ときめくと言うことがこういう事なのかも知れない。 恥ずかしくなって私は目を閉じていた。しかし唇に触れる感覚で赤面し、見えない筈なのに相手が、サイトが目の前に居る気がして、体を固くした。 柔らかな感触は忘れられず、私は何度も…

「まだ…して…」

告げていた。 今目覚めようとしている少女の私と、成熟して大人の機能を持った体。私は堪えるつもりでいた。今これ以上無いほどに高ぶっていても、一度の接触で全てを捧げても良いのかと。 それに反す様に私は求めた。 唇だけならば純粋な愛の証、それ以上求めては乙女を捨てる事になる。 それが高潔だと思っていたのに。

徐々に私とサイトの好奇心でキスは深くなる。私がサイトの中に入ろうとすると、サイトはそれを通し、私が待ち構えるとサイトは進んで来た。私は愛おしむ様に、彼から感じられる物を飲み込んだ。

流石に私の体が支えられなくなったのか、サイトは私をベッドの上に置いた。背にあるのは柔らかな布の膨らみ。 サイトは身を乗り出し、私の要求に応え続けた。 そして。

最も禁忌としていた筈の、私の口が動く。

「サイト…」 「アニエス…さん」

今ここでお互いの名前を呼ぶこと。それは何よりも深い意味だ。

「私を…愛しているか…?私に対する責任とは…私を愛する事だ」 「はい」 胸の鼓動以上に反応する乙女の体。刀傷や火傷はあっても、穢れていない身体。

「私もだ…だからお前に…全てを捧げたい」 「…俺で良いんですね?」

これ以上何も言えない。だから私は…私は…

「優しく…頼む…これ以上無いほど…優しく…」

そう言って、メイルの留め金を外した。

409 :アニエス×サイト:2007/07/18(水) 23:26:59 ID:GkqPwmom 全てを脱ぎ捨てても、私はまだ気になっていた事があった。この体の事だ。自分を守る為、何より主を守る為、この体には随分無理をさせて来た。 刀傷、火傷…死線をくぐり抜ける為に虐めぬいて来たこの体は、おおよそサイトが思っている様な女の柔肌では無いだろう。 硬く、傷ついた体。こんな体でもヤツは私を愛してくれるのだろうか。 …幻滅されるのが…怖い…

声を掛けるより早く、抱きしめて来た腕。私が知らない、男の体。はっきりと違いが解った。骨格の違いのせいか私の体はすっぽりとヤツに包まれ、肩さえ収まってしまう。私が押し付けてしまった胸と、サイトの胸では明らかに質が違った。 柔らかい私の胸と、硬い男の胸。ただ触れているだけで安心出来た筈なのに、私の意識はどこかで更にサイトを求めている。

「俺だって傷だらけですよ?稽古のせいだけじゃなくって…色々あったし」 「貴様も男なのだな…私の体は…」 「柔らかくって、いい匂いがします…やっぱり女の子なんですね」 「子供扱いされるようでは私も終わったな…」

それでも良い。 言わずともサイトは微笑で答えた。死線を潜って来た事で、こういう事が繋がる。共通項が増えた事で、私の信頼は益々深くなる。 私に触れる異物。深く体を密着させた事で、サイトが反応してしまったのかも知れない。 「ア、アニエスさん…」 「む?」 「いや、胸が当たって…」 「実は私も窮屈なんだ。こうしてくれるのは有り難い…と言うより嬉しいんだが…一回離れよう」

自分の女を他人と比べた事など無かった為、私の胸がどれほどの物かは解らない。たたいつの間にか膨らんでいた。その程度の認識だ。

抱かれた時に支障があるようでは…もしかして大きすぎるのか? 「サイト?窮屈だったろう?済まない。私の胸がこんなばかりに…もう少し締めねばならないな」 「い、いえ締めなくても!むしろそのままで!」 私の欠陥を…咎めなかった。

410 :名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 23:30:01 ID:GkqPwmom 「触れてみたいのだろう?」 両手をベッドに着き、胸をはだけさせて見る。やはりはっきりと膨らんでいた。サイトの視線が痛く感じられて、少々の不安を覚えた。 「えーっと…じゃあ」

男の手が私に触れるなど、戦地以外で誰が予想できただろう。私は自らの女が持つ機能を知らない。 そんな物を覚えるより剣技を、銃技を、体術を覚えるべきだと、完全に硬い考えを持っていた。

まさかこんな時に裏目にでるとは… どんな反応をサイトは望むのだろう。そんな事を考える間もなく私から…自然に声が漏れてきた…

「ん…く」 「もしかして自分で触った事とか…」 「あるわけ…無いだろう」 「じゃ、じゃあ…」 「わ、私が触るより先に貴様に触らせているんだ…どうだ?感触は…」 「ふかふかしてて…」 「や…あっ」

一段と深い感覚。ヤツの指が触れたのは女の胸で最も敏感とされる部分だ。私にもその感覚が備わっていたのだと自覚する。 徐々にその場所が、私の意志など構わぬ様に形をはっきりさせ始めた。 「か、硬くなって…」 「ココにも…しますよ?」 「あっ…あ」 サイトの唇がそれに触れた。指先以上に柔らかい物が、私の突起を優しく吸い寄せていた。 サイトの舌に混ざる体温が、その硬さを抜くように感じられたが、そうでは無く突起は反応を強くする。

全身に熱が、行為の熱がまわって来た。

だがどこか…切ない。

「サ、サイト…」 「?」 「…もっと深い事を知っているだろう?そろそろ私は…次をしても良いと思う」 「それは…」 「腹は決めたと言った筈だ。受け入れる事になんの躊躇いも無い。だから…」

目の前に居る少年に私は望む。私の鍵を外して、私の望む事を告げる事を。

この者が私を愛していると言ったから、私は受け入れたい。だから…

「き…て…」

「なあ…サイト?」 「はい?」 「もう少し…甘えてもいいか?」

痛みは痛みでしかないと思っていた。苦しくて、辛くて、すぐにでも忘れてしまいたい物だ。 だが今の私に在る痛みは…確か苦しかったかも知れないが、どこか心地よい痛みだった。何かを終えた、痛み。 余韻に浸りたい女の気持ちが解る気がする。確かに今、この温もりを手放してしまうのは惜しい。

…もう少し側に…

やはり私のガラでは無いが、サイトは何も言わずに隣に居る。 私は脚を絡めてみたり、抱きついている力を強くしたりした。サイトには窮屈かも知れないが、どうしてもそうしてやりたかった。 母に甘える少女の様に、好きな者と結ばれて想いを果たせた女の様に、私は…

「…キスが欲しいな」

欲しい物を貰った。

「え、えーと…」 「どうしたんだ?」 「その…」 絡めた脚の、丁度太ももの辺りに、違和感。どうやら今のキスで興奮させてしまったらしい。 「別に構わないぞ?」 「…え?」 「貴様も男なんだ。思う存分やれば良いじゃないか。我慢は良くない…それに…」 私はサイトの手を…今私の体で一番熱い所に導いた。 「わ、私も…まだしたいと思うんだ…嫌なのか?」 触れたサイトの手と、私自身の羞恥心で、更に体が熱くなる。 「…嫌な訳無いじゃないですか」 「なら…んっ…」 サイトの手が、動いた。

私が戦いを終えるとすれば、こういう事から来るかも知れない。子を産み、家庭に居る姿は想像し難いが…そんな未来もあって良いと思う。 子を抱き、亭主の帰りを待っている私…皆が見たら笑うかも知れないな。

でも…

「初めてを捧げる相手には…一生を捧げたい。私の全てで尽くしてやりたい…ここまで考えてしまう女は嫌われるのか?」

サイトの抱擁の中で、私は眠りに落ちかけながらこう問い掛けた。