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231 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2007/12/24(月) 23:57:04 ID:R1F1HgYe 「ちょ……ちょっとっ!何よ!なんなのよこれはっ!?」

 ルイズは目をむいて、ぶるぶると拳を震わせた。  授業から部屋に戻ると、見知らぬ木が鎮座していたのだ。  ルイズがわなわなと震えていると、後ろから才人の声だけが返った。

「ん、これ?クリスマスツリーって言うんだ」

 ルイズの叫び声もどこ吹く風。  久々に見たそれに、才人はどうにも浮き足立っていたのだ。

「クリスマスツリィ??この木は……たしかサパンって木?」 「あぁ、ギーシュもそう言ってたな。俺の世界では、正しくはモミの木って言うんだ」

 手にきらきらと光る飾り物を持って、才人が木の後ろ側から出てきた。  それを次々と枝に結わえていくのをルイズはほけっと見つめた。  ただの針葉樹は、才人に飾られて部屋の彩りに変わる。

 しかし、木。……ただの木だ。才人は目を輝かせてそんなもんを見つめている。  部屋に戻ったご主人様をちらとも見ずに木ばかり見つめるか。  そんなにすきか。この犬はご主人様よりそのもさもさした木がすきなのか。  ルイズは過ぎる時間と共にイライラしてきた。

「……で?ご主人様の部屋に土を無断で持ち込んだワケも説明しないつもり?」 「まあ、ちょっとまてよ。用意できたら教えてやっからさ」

 ルイズが睨んでも才人は意にも介さず謎の作業を続けた。  しばらくして、五芒星の形の飾りを手にとった才人は「あ」と小さく声をだした。

「なぁルイズ、ちょっと頼むよ」 「なにをよ!!!」

 ようやくルイズの方を才人が向いたとき、ルイズの怒りは頂点付近に達していた。  睨む眼力と声に思わず気圧され、うっと後じさったが、才人はめげない。

「ま、まあまあ。とりあえず、ほら、これ」

 手に取った五芒星の飾りをルイズの掌にのせた。  ルイズは渡された意味がわからずにただその飾りを見つめる。  そのうち視界が突然ぐらりと揺れ、宙高く浮いた。

「きゃああっ!?」 「わっ、暴れんな!落ちる!それよりほら、そこにのせてくれよ、それ」

 太ももの間に埋もれた黒髪を見てルイズは別の意味で悲鳴をあげた。  腰で抱きあげ肩車されたのだと気づくのにかかったのは数瞬。  ちょうど立ち上がろうとしたところで足をばたばたとされ、才人はたまらずによろけた。  フラフラと壁に手をつき、才人は慌ててモミの木の突端を指差した。

「なによ。一番上?」 「そう」

 そうしない限り、降ろしてもらえないのだと理解して、  ルイズは言われるままに五芒星を木の上に付ける。  天井には着かないまでもそれなりに高い木の上、五芒星の飾りが誇らしげに輝いた。  ルイズをあっさりと開放した才人は、うんうん、と嬉しそうにそれを眺める。

 先程までものすごく腹を立てていたルイズだったが、才人の笑顔に興味を引かれた。 232 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2007/12/24(月) 23:58:18 ID:R1F1HgYe

「で、なにをそんなに喜んでんのよ?」

 才人はものすごく嬉しそうに懐かしそうにとけたような笑顔をルイズに向けた。  ルイズはおもわずどきっとして、ぷいとそっぽを向く。

「今日って確かウィンの月、エオローの週、ダエグの曜日だろ?」 「そうね」 「俺の世界の日付に直すと、12月24日なんだ」 「……それで?」 「その日はクリスマスイブって言って、お祝いするんだよ」 「家族で、とか?」 「家族で祝うのはクリスマス当日だから、イブ、つまり前日は」 「前日は?」 「前日は、えっと…………や、やっぱやめた。なんでもない」 「はぁ??」

 話の途中で突然くるりと背を向けた才人にルイズは怪訝な顔をした。

「ちょ、ちょっと。なによ。気になるでしょ、そんな半端な説明じゃ!  別にあんたの世界に興味なんて無いけどその話の切り方じゃ気になるわ!」 「い、いいんだよ、興味ないならいいじゃねぇか!ほっとけ!」 「イヤよ!アンタ変だし!」 「変で結構でごぜーますよご主人様っ!」

「……サイト、君ってヤツはいざってとこで根性がないなぁ」  扉の外で聞き耳たてるギーシュがぽつんとつぶやく。  立役者の役得とばかりに扉の隙間からこっそり見ていたのだが、  才人がそれに気づいて説明を止めた事をルイズもギーシュも知らない。

 あくる日の水精霊騎士隊の訓練では、  なにやら機嫌の悪い副隊長が隊長をぼこぼこにしていたという……