ゼロの保管庫 別館

26-546

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どきどき異端審問!(はじめから)

「たいへんなのねサイトたいへんなのねーっ!」

うららかな日差しが眠気を誘う昼下がり。 昼食後の優雅な昼寝タイムを邪魔されて、才人は不機嫌だった。 邪魔をした当人はそんな事一切気にも留めずに、才人の目の前できゅいきゅい叫んでいる。

「あんだよ、俺忙しいんだけど」

どう見ても芝生に寝転んで昼寝に入る直前の才人に、シルフィードはきゅいきゅい文句を言う。

「どう見ても昼寝する所なのね!いいから聞くのね!」 「…ツマラン事だったら寝るからな」

最近、タバサのシルフィードの扱いに、才人も影響されつつあるようだ。 アホの子の話は半分以下で聞くに限る。 もう既に半分不貞寝モードの才人に、シルフィードはむっとしながらも続ける。

「『呪印』なのね!また『呪印』が出たのね!」

『呪印』とは。 先住魔法によって作り出された魔法生物で、その姿は紙の様に薄く、何かの文様のような形をしている。その姿ゆえに、『呪印』と呼ばれる。 そして、その最大の特徴は、人間に取り付きその魔力を食らうこと。 取り付かれた人間は、心まで食い尽くされ、廃人になる場合もあるという。 才人はその『呪印』の関わった事件を思い出す。 思い出すだにおぞましい…。

『やだっ……見られるのっ……ヤぁっ………』 『やぁっ、だめぇっ、みられるっ、みられちゃぅぅっ!』

あまりのいやらしい記憶に思わずおっきしてしまいました。 その時は、『呪印』に取り憑かれて、心の力の弱ったタバサを、羞恥プレイで徹底的に興奮させ、体内活動を活発にさせて、体内に潜伏していた『呪印』を無理やり引き剥がしたのだ。

「…ま、まさかまたシャルロットが?」

脳裏でブラウザクラッシャーのようにPOPしまくる、羞恥に泣きそうになりながら感じまくっているシャルロットの動画再生ウインドウを必死に閉じようとしながら、才人は尋ねる。 シルフィードは首を振り、否定する。

「違うのね。それに今回出たのは前のとちょっと違う『呪印』なのね!」

そしてシルフィードは事の発端を話しはじめた。

シルフィ、今日は機嫌がよかったから進んでおねえさまのお手伝いをしてたのね。 何か手伝うことない?って聞いたらおねえさま、

「これ返してきて」

ってたっくさん本を渡してきたのね。 それは全部図書室で借りてきた本で、最近おねえさまががんばってるお料理の本とか、お裁縫の本とかだったのね。 そうそう。おねえさま最近学問よりそっち頑張ってるのね。 『お母さんになったら必要だから』 って言ってたのね。 まあそんなことより。 シルフィは寄り道もせず、図書室に向かいました。 で、返却箱に全部本を放り込んだんだけど。 またあの丸いのが、図書室で何かしてたのね。 あんまり挙動不審だったから、踏んで縛ってローソクたらしたら、白状したのね。

「…ぼ、ぼくは禁書をまた発見したんです…ああ、もっと踏んでおくれ、ぼくの女神ぃぃぃ」

…あんまりキモいから窓の外に放り投げたけど。 で、見つけたっていう禁書の残骸に、またあのニオイがついてたのね。 当然、シルフィはその中身を調べました。 そしたら、それもまた、『呪印』を封じてた本だったのね! そして、そこにはとんでもない事実が! 衝撃の事実は、しーえむのあと!

ぼこ!

「いったーい!何するのねサイト!」 「何が『CMの後!』だ!一体どこで覚えてくるんだそんな言葉」 「韻竜独特の言い回しなのね!気にしたら負けだって大いなる意思も言ってるのね!」

どこの『大いなる意思』だ。その『大いなる意思』は番組スポンサーか何かか。 まあそんな突っ込みはともかく。 俺は続きが気になるので、シルフィードを促した。

「で、何がとんでもないんだよ」 「よく聞いてくれたのね!きゅい!  そこに封印されてた『呪印』は全部で3体!  でも、前のほど力は強くなくて、取り憑かれても死んだりとかはしないのね!」

…ならそんな大変じゃないんじゃ?

「でも、やっぱり体は弱くなるし、魔力もなくなっちゃうのね!  でもでも、本当に大変なのはそこじゃないのね!  この『呪印』は、人から人に移るのね。  だから、前みたいに直接触ったりすると、今度はサイトに取り憑いちゃうのね。  それに、宿主に中から命令して、自分を見つけられないように他人との接触を断つようにしちゃうの!きゅい!」

まあ、確かにそれは厄介だな。

「じゃあ、どうすればいいんだ?」

俺の言葉に、シルフィードは自信満々、胸を張って言った。

「ふんじばって、触らないように道具でコーフンさせるのね!  出てきた『呪印』は、シルフィが魔法でフットバスのね!きゅい!」

いやまあ確かに正論だが。

「てことは、3人女の子捕まえていたずらしろってか…」

…これなんてエロゲ? …ん?まてよ?

「あのさ、『呪印』って女の子にしか憑かないわけ?」 「そのとおりなのね!『呪印』は女の子の魔力が大好物なのね!  そして、その3人のターゲットはすでにリストアップ済みなのね!」

…仕事速いなおい。 そして、シルフィードは胸元から一枚の紙を取り出す。 そこには、3人の女の子の名前が、へったくそな字で書かれていた…。 ⇒to be continued

どきどき異端審問!投票所 27-13女王様調査中につき(アンリエッタ)

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