ゼロの保管庫 別館

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219 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/09/10(日) 12:01:42 ID:tHwVxSFX 夜中にそっと目を覚ます、キュルケに気付かれないように、ベットを降りる。 出発は明日……今回のチャンスは今夜だけ。 足音を立てないように廊下に出る。 目指すのは………母さまの部屋。 幼い頃から通りなれた道を、そっと辿る。 部屋の前に着く、聞き耳……良かった……寝ている。 音を立てないように部屋に入る。 ペルスランが扉に油を差しておいてくれたよう……ありがとう。 母さまの顔を見る……よく寝ている。 穏やかな母さまの顔を見れるのは……もうこんな時しかない。 『お疲れ様、タバサ。』 くたびれた人形をそっと、どける。 母さまの横に身体を滑り込ませて、私はやっとシャルロットに戻る。 (母さま、友達が出来ました。) (母さま、クラスの人たちはとても騒がしいけど……) (母さま、トリスティンの書庫はとても広いです。) (……… 色々な報告、でも……心の中で。

報告が終わって……

(ごめんなさい……母さま) トリスティンの書庫をどれだけ探しても、かけられた魔法の手がかりが見つからない。 (ごめんなさい……母さま) 本当は、私が掛かっていたはずの魔法。 (ごめんなさい……母さま) 父さまが亡くなった後、私が居なければ、母さまは静かに暮らせていた。 (ごめんなさい……母さま) 父さまが殺されたのだって、兄と違い子供が居たのも後援の大きな理由だった。 (ごめんなさい……母さま) 私は………産まれて来なければ良かったね。

涙が止まらない、タバサと違って、シャルロットは泣き虫だ。 『ごめんなさい、母さま今だけ……今だけですから……』 声を殺して泣き続ける。

髪を撫でる手に気が付く。 身体が恐怖に凍りつく、もし……今、母さまに拒絶されたら…… きっと、シャルロットの心は壊れてしまうから。 恐る恐る、母さまを伺う……眠っていた。

「良い子ね……シャルロット。」 寝言だ………髪を撫でる手も、寝惚けているのだ……。

でも…… 『これで……シャルロットは、まだ頑張れるよ、母さま。』 そっと起き出して、タバサを手に取る。 『お願いね……シャルロット。』

廊下に出ると、キュルケが立っていた。 何も言わずに、抱きしめてくれた。

頑張ろう……暖かいキュルケの胸の中で、私は堅く心に誓った。

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