何故、筋違い角を打つのか?

何故、筋違い角を打つのか?

「筋悪い角」とも称される筋違い角、何故人は筋違い角を打つのか? その狙いを考えてみよう。(考えるまでもないが)


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前項の基本図で▲4五角と打った場面、この角は▲3四角の歩取りと▲6三角成と2つの狙いを秘めている。後手はこの両方を一度に防ぐ術は将棋の神様といえども見つけることはできないだろう。間接的な防御法としては後手も△6五角打と相筋違い角を打つ手が考えられる。右の頬を打たれたら左の頬も差し出すの理論だ。当然、先手も後手の歩取りと角成りを防ぐ術はなく、以下、力戦将棋模様となることも考えられる。実際、実戦でも相筋違い角はしばしばあらわれる。しかし、筋悪い角に筋悪い角で対抗する手段は後手としてもあまり望ましい手段ではないだろう。


基本図以下の指し手
△5二金右 ▲3四角(A図)

先手の2つの狙いを同時に防げないとなると、後手としてはとりあえずどちらかを防がねばならない。選択肢は2つあるわけだが、まともな精神の持ち主なら▲6三角成を防ぐ所であろう。△3三銀などとして歩取りを防ぐ手をこれまで見たことはない。角成を防ぐ手は様々あるが、最も一般的な手は△5二金右だと思われる。以下、先手はもうひとつの狙いである▲3四角と歩取りを実現する。


筋違い角の最大の目的はこの「序盤一歩得」であると言っても過言ではない。そして、筋違い角を選択したからにはこの構想はほぼ100%実現する。狙った戦法を確実に実行できるのがその魅力の一つかもしれない。しかし、当然ながら世に完璧な戦法というものがあるはずもなく、筋違い角には様々な代償を払わなければ成らない。
【長所】
  • 先手番で▲7六歩△3四歩ならほぼ確実に狙える。
  • 最序盤で1歩得することができる。
  • 後手の戦法、特に振り飛車党に対してある程度の牽制力を持つ。
【短所】
  • 持ち駒の角をすぐに手放し、後手は歩損ながら角を温存して狙い打ちできる。
  • 後手からの角打ち込みを警戒した駒組みを心がけなければ成らない。
  • 筋違いに打った角は、そのままでは後手飛車や玉に直射できない。
  • 打った角を目標に攻められる恐れがある。
  • 先手なのに手損となる。

以上のような理由から、現在では長所よりも短所の方がマズイとの結論よりプロ棋士やアマ実力者には筋違い角がほとんど採用されることはない。低~中級者では相手への撹乱の意もあり、しばしば採用されることもある。棋力、経験の乏しい者にとっては序盤でいきなり角交換をされるというのはあまり歓迎することではないだろう。序盤で3四に歩がいないというのも気持ち悪く慣れない形だろう。こうした理由からも低~中級者ではまれに見られる戦法であると思われる。(実際、kure自身も3手目角交換されるのは、ちょっぴり脈拍が上がる。)


【振り飛車党に筋違い角!】
筋違い角は相手がコテコテの振り飛車党の場合、その戦法を限定するのにも有効かもしれない。
こちらが先手の場合、通常通りの序盤が進めばA図を実現できる可能性は高い。A図を見ていただければわかるとおり、筋違い角を受けるために5二金右と上がった形は飛車を振るには非常に窮屈な形であり、振り飛車を放棄せざるを得ない。どうしても振りたければ、この金をどうにかしなければならず、手損は元より駒組みの進め方も苦労するだろう。
それならば、どうあってもオレは振り飛車にする!という振り飛車党ならば基本図以下△6二飛と受ける手が考えられる。以下▲3四角に△4二飛。かなりぎこちなく、手損な動きだが、一応は四間飛車に持っていくことができる。しかし、このように先手に振り回される形で手損しながらまで飛車を振っていく選択はそうそう簡単には選択しづららいだろう。

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最終更新:2007年10月01日 22:25