ハローのみんなとここで歌うのはこれが最後。
そう思うとやっぱり少し寂しい。卒業していった先輩たちもこんな気持ちだったのかな。
開演直前、スタンバイしながらそんなことを考えていると「真野ちゃん」と後ろから肩を叩かれた。
振り向くと同じくこれが最後の冬ハローとなる田中さんが立っていた。
「あんまり色々考えてたらいいステージが作れんけん、何も考えんと楽しもう!」
まるであたしの気持ちを見透かしたかのような田中さんの笑顔。
そう。ソロデビューしたての頃、不安いっぱいだったあたしに「何かあったら相談に乗るけん」と一番にアドレスを教えてくれたのも田中さんだった。
「はい!楽しみましょう!」
あたしは田中さんと笑いあい、初めてかもしれないハイタッチをかわした。
そう思うとやっぱり少し寂しい。卒業していった先輩たちもこんな気持ちだったのかな。
開演直前、スタンバイしながらそんなことを考えていると「真野ちゃん」と後ろから肩を叩かれた。
振り向くと同じくこれが最後の冬ハローとなる田中さんが立っていた。
「あんまり色々考えてたらいいステージが作れんけん、何も考えんと楽しもう!」
まるであたしの気持ちを見透かしたかのような田中さんの笑顔。
そう。ソロデビューしたての頃、不安いっぱいだったあたしに「何かあったら相談に乗るけん」と一番にアドレスを教えてくれたのも田中さんだった。
「はい!楽しみましょう!」
あたしは田中さんと笑いあい、初めてかもしれないハイタッチをかわした。
Hello!Project誕生15周年の記念ツアーでもある今回の冬ハロー。
中野最終公演は最初のハロコンで1曲目に歌われた『Good Morning』から始まった。
ユニットごとに順番にステージに登場し、ハローのフルメンバーで歌ういつものスタイル。みんなで歌えることを素直に楽しんでいる自分がいた。
中野最終公演は最初のハロコンで1曲目に歌われた『Good Morning』から始まった。
ユニットごとに順番にステージに登場し、ハローのフルメンバーで歌ういつものスタイル。みんなで歌えることを素直に楽しんでいる自分がいた。
そして各ユニット最新ナンバー披露のコーナー。ステージに登場してハローでのラストシングルとなる『NEXT MYSELF』を歌い始めたあたしは、会場で声援を送ってくれるファンのみんなに目を向けた。
マノフレだけじゃなく、他のユニットのファンの人たちの中にも赤いサイリウムを振ってくれている人がいる。
このあったかさがハローの良さなんだよね。それに…。と、後ろで踊ってくれているハロプロ研修生の子たちにもさりげなく視線を走らせる。
こうして研修生のみんなと一緒にステージに立つことも、ハローを卒業したらもうないかもしれない。
つい感情が入り過ぎてしまった。自分を何とか抑えながら、2コーラス目を歌い始める。
そう。いつも通りに。と思ったその時、会場から歓声が湧き上がった。
何だろう?と思いつつも歌い続けていると、ふいにあたしの声に誰かの声が重なった。
久し振りに聴く歌声。そして近づいてくる気配ですぐに分かった。彼女、リンリンだと。
やがて隣に並んだリンリンと歌いながらアイコンタクトをとる。「おかえり」「ただいま」と。
もうありえないと思っていたことが実現したのにびっくりしすぎて、かえってパニックにならずにすんだ。
ただ、間奏に入る前の歌詞があたしとリンリンの状況にはまりすぎていて思わず涙が零れそうになった。
だから歌詞になぞらえるようにさり気なく2階席を見上げたけど、うまく誤魔化せたかな。
マノフレだけじゃなく、他のユニットのファンの人たちの中にも赤いサイリウムを振ってくれている人がいる。
このあったかさがハローの良さなんだよね。それに…。と、後ろで踊ってくれているハロプロ研修生の子たちにもさりげなく視線を走らせる。
こうして研修生のみんなと一緒にステージに立つことも、ハローを卒業したらもうないかもしれない。
つい感情が入り過ぎてしまった。自分を何とか抑えながら、2コーラス目を歌い始める。
そう。いつも通りに。と思ったその時、会場から歓声が湧き上がった。
何だろう?と思いつつも歌い続けていると、ふいにあたしの声に誰かの声が重なった。
久し振りに聴く歌声。そして近づいてくる気配ですぐに分かった。彼女、リンリンだと。
やがて隣に並んだリンリンと歌いながらアイコンタクトをとる。「おかえり」「ただいま」と。
もうありえないと思っていたことが実現したのにびっくりしすぎて、かえってパニックにならずにすんだ。
ただ、間奏に入る前の歌詞があたしとリンリンの状況にはまりすぎていて思わず涙が零れそうになった。
だから歌詞になぞらえるようにさり気なく2階席を見上げたけど、うまく誤魔化せたかな。
歌い終えてリンリンと一緒に袖に捌けると、亀井さんとえりぽんが笑顔で出迎えてくれた。
「どう?びっくりしたっしょ?」
いたずらっぽく笑ってあたしをつつく亀井さん。にこにこしながらそれを見守るえりぽん。
ああ、あたしはこんなにいい先輩と後輩に恵まれて幸せだな。そう思ったら、堪えていた涙が一筋ぽろっと頬を伝った。
リンリンが慌ててあたしの肩を抱いて、
「恵里菜どうした?ダイジョブ?そうだ!オリジン弁当食べたら元気出るから一緒に食べよ!」
なんて言うもんだからあたしは泣き笑いになって「もぉ!今本番中でしょ!」とリンリンの頭をぽんとたたいた。
「どう?びっくりしたっしょ?」
いたずらっぽく笑ってあたしをつつく亀井さん。にこにこしながらそれを見守るえりぽん。
ああ、あたしはこんなにいい先輩と後輩に恵まれて幸せだな。そう思ったら、堪えていた涙が一筋ぽろっと頬を伝った。
リンリンが慌ててあたしの肩を抱いて、
「恵里菜どうした?ダイジョブ?そうだ!オリジン弁当食べたら元気出るから一緒に食べよ!」
なんて言うもんだからあたしは泣き笑いになって「もぉ!今本番中でしょ!」とリンリンの頭をぽんとたたいた。
ライブがすべて終わって、リンリンと二人移動の車に乗って帰ることになった。
会えなかった時間を埋めるように、車の中ではずっとしゃべり続けていた。
やがてあたしが乗る路線の駅に着くと、リンリンも一緒に車を降りてきた。
会えなかった時間を埋めるように、車の中ではずっとしゃべり続けていた。
やがてあたしが乗る路線の駅に着くと、リンリンも一緒に車を降りてきた。
「リンリン、ホテルこの辺なの?」
この辺にホテルなんてあったっけと思いながら訊くと、リンリンは不思議そうな顔をした。
「え?今日は恵里菜の家に泊まるよ?」
あまりにも当たり前のように言うから、ああそうだっけと納得しかける。
「ちょ、ちょっと待って!あたしんち?」
慌てるあたしの肩をぽんぽんとたたいてリンリンがなだめる。
「リンリンの家は恵里菜の家。恵里菜の家はリンリンの家。だから日本にいる時はリンリンは恵里菜の家に帰る。バッチリです!」
「何それぇ。意味わかんないよ」
仕方なく笑いながらツッコむと、リンリンがふっと寂しそうな顔になりぽつりとつぶやいた。
「リンリン、次はいつ恵里菜に会いに来られるか分からないから、ね」
この辺にホテルなんてあったっけと思いながら訊くと、リンリンは不思議そうな顔をした。
「え?今日は恵里菜の家に泊まるよ?」
あまりにも当たり前のように言うから、ああそうだっけと納得しかける。
「ちょ、ちょっと待って!あたしんち?」
慌てるあたしの肩をぽんぽんとたたいてリンリンがなだめる。
「リンリンの家は恵里菜の家。恵里菜の家はリンリンの家。だから日本にいる時はリンリンは恵里菜の家に帰る。バッチリです!」
「何それぇ。意味わかんないよ」
仕方なく笑いながらツッコむと、リンリンがふっと寂しそうな顔になりぽつりとつぶやいた。
「リンリン、次はいつ恵里菜に会いに来られるか分からないから、ね」
不意打ちの言葉にぐっとこみ上げてきて涙が出そうになった。
すかさずリンリンが「あ、また恵里菜泣いちゃう?」と茶化す。
あたしはリンリンの方に向き直り、笑って首を振った。
「もう泣かないよ。リンリンに会えなくても。だって、離れてても心は繋がってるでしょ?」
あたしとリンリンは顔を見合わせて笑いあい、手をつないで歩き始めた。
あたしたちの家に向かって。
すかさずリンリンが「あ、また恵里菜泣いちゃう?」と茶化す。
あたしはリンリンの方に向き直り、笑って首を振った。
「もう泣かないよ。リンリンに会えなくても。だって、離れてても心は繋がってるでしょ?」
あたしとリンリンは顔を見合わせて笑いあい、手をつないで歩き始めた。
あたしたちの家に向かって。
リンリン編AFTER STORY vol.2『あたらしいあたし』・完