1曲目に選曲したモーニング娘。の『歩いてる』のイントロが鳴り、絵里は歌い始めた。
あの言葉でこの勝ち抜きバトルへの参加に対しての自分の中での迷いが吹っ切れたんだよな。
この勝ち抜きバトルの組み合わせ抽選の日、つんく♂に言われた言葉を思い出す。
あの言葉でこの勝ち抜きバトルへの参加に対しての自分の中での迷いが吹っ切れたんだよな。
この勝ち抜きバトルの組み合わせ抽選の日、つんく♂に言われた言葉を思い出す。
~~~~
「亀井、お前まだ参加していいのかってどこかで迷ってるやろ」
組み合わせ抽選の後で絵里を別室に呼び出したつんく♂はずばりと絵里の心中を言い当てた。
「亀井絵里として積み上げてきたキャリアのアドバンテージがあるとか思ってるのかもしれんけど…」
「そんなこと!」と反論しようとする絵里を制してつんく♂は続けた。
「伸びていく可能性やこんな歌い方もできるんやっていう新しい面なんかが見えんかったら、たとえ亀井でも容赦なく落とすぞ」
厳しい言葉に絵里は唇を噛んだ。が、つんく♂はそこで表情を緩め、絵里の肩をぽんぽんとたたいた。
「今までの亀井を否定するのとはちゃう。ここでひと皮?けて成長できるチャンスってことや。今の後輩たちを引っ張って行ってやりたいと思ってるんなら亀井が手本になったれ」
そこでつんく♂は立ち上がり、「楽しみにしてるからな」と言い残して部屋を出て行った。
一人になった絵里はつんく♂の言葉を噛み締めた。そして勝ち抜きバトルに本気で臨む決意を新たにした。
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「亀井、お前まだ参加していいのかってどこかで迷ってるやろ」
組み合わせ抽選の後で絵里を別室に呼び出したつんく♂はずばりと絵里の心中を言い当てた。
「亀井絵里として積み上げてきたキャリアのアドバンテージがあるとか思ってるのかもしれんけど…」
「そんなこと!」と反論しようとする絵里を制してつんく♂は続けた。
「伸びていく可能性やこんな歌い方もできるんやっていう新しい面なんかが見えんかったら、たとえ亀井でも容赦なく落とすぞ」
厳しい言葉に絵里は唇を噛んだ。が、つんく♂はそこで表情を緩め、絵里の肩をぽんぽんとたたいた。
「今までの亀井を否定するのとはちゃう。ここでひと皮?けて成長できるチャンスってことや。今の後輩たちを引っ張って行ってやりたいと思ってるんなら亀井が手本になったれ」
そこでつんく♂は立ち上がり、「楽しみにしてるからな」と言い残して部屋を出て行った。
一人になった絵里はつんく♂の言葉を噛み締めた。そして勝ち抜きバトルに本気で臨む決意を新たにした。
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『歩いてる』は絵里本来の歌い方で歌った。それは亀井絵里らしさをもう一度見てもらうためでもあり、次の曲以降への布石でもあった。
続いて流れたのはBuono!の『DEEP MIND』のイントロ。この選曲に驚いた観客と審査員たちは、絵里の歌唱にさらに驚くことになった。
普段の生田衣梨奈とは大きく異なる歌声、そして歌い方。本家である愛理や雅のロックテイストの歌唱法よりももっとロックを感じさせるボーカルに会場のボルテージも上がった。
そしてダンス課題曲は『涙の色』。絵里は磨きがかかった持ち前のしなやかさとキレに加え、アクセントの付け方も変えた一味違うパフォーマンスを披露した。
今までとは違う生田衣梨奈のパフォーマンスに観客は驚き、喝采を送った。
満足いくパフォーマンスを見せられた達成感に浸りつつステージから捌けながら、絵里はふと思った。
あれ?そう言えば今回は入れ替わりが起こらなかったな、と。
続いて流れたのはBuono!の『DEEP MIND』のイントロ。この選曲に驚いた観客と審査員たちは、絵里の歌唱にさらに驚くことになった。
普段の生田衣梨奈とは大きく異なる歌声、そして歌い方。本家である愛理や雅のロックテイストの歌唱法よりももっとロックを感じさせるボーカルに会場のボルテージも上がった。
そしてダンス課題曲は『涙の色』。絵里は磨きがかかった持ち前のしなやかさとキレに加え、アクセントの付け方も変えた一味違うパフォーマンスを披露した。
今までとは違う生田衣梨奈のパフォーマンスに観客は驚き、喝采を送った。
満足いくパフォーマンスを見せられた達成感に浸りつつステージから捌けながら、絵里はふと思った。
あれ?そう言えば今回は入れ替わりが起こらなかったな、と。
「続いては佐藤優樹の登場です。佐藤さん、よろしくお願いします!…あれ?佐藤さーん?」
ステージでまとこが戸惑いの声をあげている頃、ステージ袖ではひと悶着起きていた。
優樹の手を引っ張り力ずくでステージへ送り出そうとするれいなと、必死で踏ん張る優樹。
ステージでまとこが戸惑いの声をあげている頃、ステージ袖ではひと悶着起きていた。
優樹の手を引っ張り力ずくでステージへ送り出そうとするれいなと、必死で踏ん張る優樹。
「まーちゃん早よ行き!」
「やだ!」
「いいから!」
「やーーだーー!!」
「やだ!」
「いいから!」
「やーーだーー!!」
数分前から繰り返されるこのやり取りを周囲のメンバーはハラハラしながら見守っている。
リーダーのさゆみはれいなを信頼してか、落ち着いた表情で静観している。
業を煮やしたれいなはばっと優樹の手を振り離して優樹を睨みつけた。
「もう?何で行かんと?まーちゃんもモーニング娘。やろ?」
すると優樹はうつむいて目に涙を浮かべた。
「だって…。あんなすごい生田さんを見せられた後で、まーちゃん歌ったりダンスしたりする自信ないんだもん」
れいなはそれを聞いて大きくため息をついた後で優樹にやさしい目を向けた。
「生田がどうとか関係ないやん。まーちゃんらしくやったらいい。それに…」
そこでれいなは言葉を切り、照れ臭そうに笑った。
「それに、ちゃんと出んかったら後でまーちゃんとかくれんぼせんからね!」
優樹はぱっと明るい笑顔になり、れいなの手をつかんだ。
「分かりましたぁ!たなさたん、まーちゃん行ってきます!」
れいなはうなずき、ステージのまことにOKのサインを送った。
まことのアナウンスが流れると、優樹はれいなに手を振ってステージへと飛び出して行った。
リーダーのさゆみはれいなを信頼してか、落ち着いた表情で静観している。
業を煮やしたれいなはばっと優樹の手を振り離して優樹を睨みつけた。
「もう?何で行かんと?まーちゃんもモーニング娘。やろ?」
すると優樹はうつむいて目に涙を浮かべた。
「だって…。あんなすごい生田さんを見せられた後で、まーちゃん歌ったりダンスしたりする自信ないんだもん」
れいなはそれを聞いて大きくため息をついた後で優樹にやさしい目を向けた。
「生田がどうとか関係ないやん。まーちゃんらしくやったらいい。それに…」
そこでれいなは言葉を切り、照れ臭そうに笑った。
「それに、ちゃんと出んかったら後でまーちゃんとかくれんぼせんからね!」
優樹はぱっと明るい笑顔になり、れいなの手をつかんだ。
「分かりましたぁ!たなさたん、まーちゃん行ってきます!」
れいなはうなずき、ステージのまことにOKのサインを送った。
まことのアナウンスが流れると、優樹はれいなに手を振ってステージへと飛び出して行った。