134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/04(水) 21:23:57.51 ID:+GUS8ysBO
「……よくやったよ」
「……よくやったよ」
部屋まで帰る途中の廊下、サポートロボットのラッシュにそう声を掛けられた。
「正直な話私は……申し訳ないが、君が帰ってこれるとは思っていなかったんだ」
「………」
「すごかったよ。君の諦めない力」
「……ああ……」
「………」
「すごかったよ。君の諦めない力」
「……ああ……」
そうか…自分は生きているのか…
…だが、今はもうどうでもいい…
…ただ、疲れた…
「28号」
137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/04(水) 21:40:49.73 ID:+GUS8ysBO
「……?」
「……?」
そこには、廊下の壁にもたれかかっている男…いや、「俺」がいた。
ナンバーは……32。
ナンバーは……32。
「聞いたぜ。おまえリングマンを特殊武器も使わずに倒したんだってな」
「………」
「たいしたもんだよ。生き残った連中の中には、トードマンを倒しただけとかいうラッキーなヤツもいるようだが……
おまえは違うようだな」
「……おまえはどうなんだ?」
「俺か?俺ももうすぐ出撃だ。多分ドリルマンとやることになると思う」
「……ドリル…マン……」
「……確かに強敵だがな。俺も必ず生き残ってみせるぜ。じゃあな」
「………」
「たいしたもんだよ。生き残った連中の中には、トードマンを倒しただけとかいうラッキーなヤツもいるようだが……
おまえは違うようだな」
「……おまえはどうなんだ?」
「俺か?俺ももうすぐ出撃だ。多分ドリルマンとやることになると思う」
「……ドリル…マン……」
「……確かに強敵だがな。俺も必ず生き残ってみせるぜ。じゃあな」
32号は最後にそう言うと、不敵な笑みを残して廊下の奥へと消えていった。
141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/04(水) 21:55:49.25 ID:+GUS8ysBO
……変わったやつだ……
……変わったやつだ……
俺たちはみんな同じ素体から作られた。だから性格は基本的には同じはずだ。
だが…ヤツはあきらかに俺らとはどこか違っている。戦いに行くのを、むしろ楽しんでいるような口振りだった。
…もしかしたら、製造の段階でどこかにバグが起こったのかもしれない。
まぁ……でも……
多分…もう会うことはないだろう。
ドリルマンは8体ボスの中でも、随一の力を持つ強敵だ。
よほどの実力か幸運でもない限り、生きて戻るのは難しい。
………
よほどの実力か幸運でもない限り、生きて戻るのは難しい。
………
死ぬ……のか……
……そう思っただけだった。もはや何も考えられないほどに、今の俺は疲弊しきっていた。
144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/04(水) 22:14:23.45 ID:+GUS8ysBO
生き残った者の行く部屋は、今まで住んでいた研究室より少しだけ待遇が良くなる。
一人ずつに割り当てられたベッド。それに窓…
もちろん、逃げられないように鉄格子ははまっているが。
生き残った者の行く部屋は、今まで住んでいた研究室より少しだけ待遇が良くなる。
一人ずつに割り当てられたベッド。それに窓…
もちろん、逃げられないように鉄格子ははまっているが。
だがこれも実は……Dr.ライトの用意した「エサ」でしかないのだ。
俺たちの「生きたい」と言う意思を高めさせ、戦闘力を向上させるための。
俺たちの「生きたい」と言う意思を高めさせ、戦闘力を向上させるための。
……つくづく汚いやり方だ……
だけど……
今だけは…それが本当にありがたかった。
生まれて初めてのベッドは、疲労の全てを吸い取ってくれる気がした。
生まれて初めてのベッドは、疲労の全てを吸い取ってくれる気がした。
146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/04(水) 22:27:58.24 ID:+GUS8ysBO
新しい部屋に入って3日が経った。
戦況に大きな変化はない。どうやらライトは残りのボスを倒すのに相当手こずっているらしい。
ただ驚いたことは、俺がこの部屋に入った次の日、32号もまたこの部屋にやってきたことだ。
「久しぶりだな」
そう言って32号は、例の不敵な笑みでニヤッと笑った。
そう言って32号は、例の不敵な笑みでニヤッと笑った。
…やはりこいつは、俺たちロックマンとは少し異質な存在なのかもしれない。
152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/04(水) 22:41:55.75 ID:+GUS8ysBO
……何も起こらないままさらに2日の時が過ぎた。
……何も起こらないままさらに2日の時が過ぎた。
俺はと言うと、前回の戦いの緊張と疲れもだいぶほぐれ、少しずつだがまた仲間と笑い合えるようになっていた。
…俺たち「生き残り組」の出番は、残りのロックマンのストックが全て無くなってからだ。
話によると、最初の段階で80体のロックマンが作られたと言う。
話によると、最初の段階で80体のロックマンが作られたと言う。
……残りのやつらが全て倒しくれれば……
「そんなことはありえないな」
俺がこのことを仲間に言うと、遠くで一人聞いていた32号が代わりに答えた。
158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/04(水) 23:02:00.50 ID:+GUS8ysBO
「たしかに残りのボスは他のヤツらが倒すかもしれない。だが、問題はその後さ」
「後……?」
「そう。残されているコサックステージ。ここからは「普通」のヤツじゃダメなんだよ」
「たしかに残りのボスは他のヤツらが倒すかもしれない。だが、問題はその後さ」
「後……?」
「そう。残されているコサックステージ。ここからは「普通」のヤツじゃダメなんだよ」
「……ダメってのはどういうことだ?」
「…俺たちのように修羅場をくぐったヤツらじゃなきゃ、絶対に生き残れないってことさ」
「…俺たちのように修羅場をくぐったヤツらじゃなきゃ、絶対に生き残れないってことさ」
32号は、俺の方をチラッと見て言った。
「………」
「……ま、ファラオマンをタイムストッパーで倒したようなヤツが、本当に役に立つのかは知らんがね」
「なんだと!!!」
「おいよせ……」
「なんだと!!!」
「おいよせ……」
フンッ、と溜め息を一つつくと、32号は一人部屋から出ていった。
「………」
部屋の中に、暗い影が落ちた。
165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/04(水) 23:17:54.95 ID:+GUS8ysBO
…夜。
俺の中で収まったはずの不安が、再び大量に押し寄せて来たせいで、俺は眠れなくなっていた。
さっき32号の話を聞いたせいだ。
さっき32号の話を聞いたせいだ。
……また……戦わなくちゃいけないのか……
あの時のリングマンの涙が、脳裏をよぎった。
「………」
……ダメだ。今日はとても眠れそうにない。
俺は他のヤツらを起こさないように、静かにベッドから抜け出た。
俺は他のヤツらを起こさないように、静かにベッドから抜け出た。
168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/04(水) 23:29:00.86 ID:+GUS8ysBO
「……あら?」
「……あ」
「……あら?」
「……あ」
唯一出ることを許されたバルコニーに、空気を吸いに行こうと思って廊下に出たところ、後ろから誰かに声を掛けられた。
「…28号?」
「…ロールさん……」
「…ロールさん……」
「どうしたの?こんな夜更けに」
「いえ、ちょっと外の空気を吸いに行こうと思って」
「そう……」
「いえ、ちょっと外の空気を吸いに行こうと思って」
「そう……」
174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/04(水) 23:45:46.82 ID:+GUS8ysBO
……この腐ったゴミ袋のような生活の中で……
ロールさんは、俺たちが生きていくための活力だった。
……この腐ったゴミ袋のような生活の中で……
ロールさんは、俺たちが生きていくための活力だった。
ライトは俺たちのことを道具だと言い切り、言葉通りに俺たちを扱った。
だけど、ロールさんは違った。俺たちのことを「人間」として見てくれた。
……同じレプリロイドでも、俺たちとロールさんの立場は180度違う。
ロールさんはライトから特別に寵愛を受けている。
立場としては、実質彼女はライトと同じ位置にいるんだ。
ロールさんはライトから特別に寵愛を受けている。
立場としては、実質彼女はライトと同じ位置にいるんだ。
……でも、彼女はこんな俺たちに、たくさんのやさしさを注いでくれた……
178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/04(水) 23:57:14.92 ID:+GUS8ysBO
「……ね」
「?」
「あたしも……いっしょに行っていい?」
「え……?そ、それは別に構いませんけど、ただ空気を吸いに行くだけですよ?」
「うん。わかってる」
「……そう言うなら……」
「……ね」
「?」
「あたしも……いっしょに行っていい?」
「え……?そ、それは別に構いませんけど、ただ空気を吸いに行くだけですよ?」
「うん。わかってる」
「……そう言うなら……」
俺たち二人は、いっしょにバルコニーへと向かった。
179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/05(木) 00:07:19.82 ID:iyWMtbgPO
ドアを開けて外に出ると、空には満天の星空が広がっていた。
ドアを開けて外に出ると、空には満天の星空が広がっていた。
「すごーい……」
「ホントだ……」
「ホントだ……」
「あ、見て!」
「?」
「?」
「すっごい満月……」
「……綺麗……」
「……」
「……」
……あなたの方が、綺麗ですよ……
「え?何か言った?」
「え?あ、いや……」
「え?あ、いや……」
183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/05(木) 00:17:34.22 ID:iyWMtbgPO
……こんな綺麗な空の下で……今も戦いが続いてるなんて、嘘のような気がする……
……こんな綺麗な空の下で……今も戦いが続いてるなんて、嘘のような気がする……
…なぜかはわからないが、自然と涙が溢れていた。
「……28号?」
「え?」
「どうしたの……?大丈夫?」
「えっ、あっ……
大丈夫です。なんともありません」
「ホントに…?」
「はい……」
「え?」
「どうしたの……?大丈夫?」
「えっ、あっ……
大丈夫です。なんともありません」
「ホントに…?」
「はい……」
…くそ……ロールさんの前でいきなり泣くなんて……
かっこ悪りい……
かっこ悪りい……
「………」
「……28号は、他のみんなとは少し違うね……」
「え……?」
「え……?」
186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/05(木) 00:31:48.99 ID:iyWMtbgPO
「そう…ですか?」
「うん。違うよ」
「どっ、どんな風に?」
「えーっとね……」
「そう…ですか?」
「うん。違うよ」
「どっ、どんな風に?」
「えーっとね……」
「……うん。すごく、人間っぽいんだな」
「人間…っぽい…?」
「そ。…他のみんなもそうだけど、28号は特に」
「そう…かなぁ……」
「そうだよ。自分じゃ気付かないかもしれないけどさ」
「そっかぁ……」
「人間…っぽい…?」
「そ。…他のみんなもそうだけど、28号は特に」
「そう…かなぁ……」
「そうだよ。自分じゃ気付かないかもしれないけどさ」
「そっかぁ……」
「………」
「……あたし、それがうらやましい」
「……え?」
「……え?」
「……あたしはどうやっても……人間に近付けそうにないから……」
「……な……!」
「……な……!」
「そんな!何言ってるんですか!」
189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/05(木) 00:48:11.72 ID:iyWMtbgPO
「そんな……そんな悲しいこと言わないでください!俺たち…俺たちロールさんの優しさにどれだけ救われたことか……」
「………」
「そんな……そんな悲しいこと言わないでください!俺たち…俺たちロールさんの優しさにどれだけ救われたことか……」
「………」
「ロールさんは……人間です。だって……俺たちのことを、人として見てくれた。いっしょに笑ってくれたじゃないですか」
「……」
「そんな優しさを持ってるロールさんは、絶対に人間です。ロボットなんかじゃない」
「……!」
「……」
「そんな優しさを持ってるロールさんは、絶対に人間です。ロボットなんかじゃない」
「……!」
…ロールさんの肩が、わずかに震えていた。
「……ロールさん……?」
「………ありっ……がとっ……」
「……!」
「………ありっ……がとっ……」
「……!」
「グスッ……あり…がと…グスッ……20…8号……ズッ…」
「……ロールさん……」
「グスッ……グスッ……ズッ…」
「……ロールさん……」
「グスッ……グスッ……ズッ…」
スッ……
「……!」
…ロールさんは俺の胸に、そっと頭を預けてくれた。
191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/05(木) 01:01:21.23 ID:iyWMtbgPO
「グスッ…グスッ…」
「……」
「グスッ…グスッ…」
「……」
「……ごめんね……」
「えっ……?」
「えっ……?」
「……何もしてあげられなくて……ホントにごめんね……!」
「……」
「……」
「そんなこと……ロールさんが気にしないでください」
「でも……!」
「いいんです。…俺は必ず……生き残ってみせるから……」
「28号……」
「でも……!」
「いいんです。…俺は必ず……生き残ってみせるから……」
「28号……」
……そうだ……
俺は必ず生き残ってみせる。
俺は必ず生き残ってみせる。
今、俺の人生に新しい目標が生まれた。
俺は……彼女のために……
「ロール」
後ろから、あの勘に障る声が聞こえてきた。
195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/05(木) 01:12:55.03 ID:iyWMtbgPO
「……!!!」
「……!!!」
Dr.ライト……
「こんな所で何をしている」
「いっ…いえ……別に……」
「…そんなゴミとあまりいっしょにいるな。プログラムをやられるぞ」
「!!そっ…そんな……!!」
「いっ…いえ……別に……」
「…そんなゴミとあまりいっしょにいるな。プログラムをやられるぞ」
「!!そっ…そんな……!!」
ガシッ…!
…俺はロールさんの肩を掴んで、彼女を止めた。
「に……28号……」
「………」
「ほう……なんだそのツラは?」
「………」
「………」
197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/05(木) 01:25:08.98 ID:iyWMtbgPO
「もう一度言っておくがな。いくら貴様が私に歯向かったところで、無駄なんだよ」
「………」
「貴様の身体は、私を殺そうとした瞬間全てのプログラムが停止するように設計されてある」
「………」
「貴様が私にそのバスターを向けた時、それは貴様の死ぬ時だ」
「………」
「もう一度言っておくがな。いくら貴様が私に歯向かったところで、無駄なんだよ」
「………」
「貴様の身体は、私を殺そうとした瞬間全てのプログラムが停止するように設計されてある」
「………」
「貴様が私にそのバスターを向けた時、それは貴様の死ぬ時だ」
「………」
……おそらく、嘘は無いだろう……
「……わかったか。貴様は所詮私の道具なんだよ」
「………」
「………」
……くそっ……
…俺はずっと……このままヤツの言いなりなのか……?
「行くぞ。ロール」
「はっ…はい……」
「………」
「はっ…はい……」
「………」
202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/05(木) 01:39:45.19 ID:iyWMtbgPO
……俺はバルコニーから出て行く二人を、ただ黙って見つめていた……
……俺はバルコニーから出て行く二人を、ただ黙って見つめていた……
だが、扉を出る間際。
ロールさんが俺の方を振り向いて、俺の名前を叫んだ。
ロールさんが俺の方を振り向いて、俺の名前を叫んだ。
「……28号!!」
「!」
「………」
「!」
「………」
「……ま……」
「……またね……」
「……?は……はい……」
「…ふふっ…」
「…ふふっ…」
ロールさんは最後に少し微笑んで、バルコニーから出て行った。
……でも……
……最後の笑顔……
……泣いてた……?
ドクン……
……何か……嫌な予感がする……
203 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/05(木) 01:45:26.96 ID:iyWMtbgPO
……なんだ……?あの、最後の涙は……
……いったいどうして……泣く必要が……
…嫌な予感が頭から離れない…
……何か……
……俺は走って、二人の後を追った。
206 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/05(木) 01:54:40.15 ID:iyWMtbgPO
…結構長い時間、バルコニーで一人考えこんでしまっていたらしい。
追いかけても、二人の姿は見つからなかった。
…結構長い時間、バルコニーで一人考えこんでしまっていたらしい。
追いかけても、二人の姿は見つからなかった。
どこだ……!?
だが、いくら探し回っても…ラウンジにも、書斎にも、寝室にも、二人の姿はどこにもなかった。
……あと、探していないのは……
……地下の研究室だけだ……
俺は静かに、地下へと向かった……
208 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/05(木) 02:05:43.50 ID:iyWMtbgPO
……地下への階段を降りてる途中……
研究室の中から、声が聞こえてきた。
研究室の中から、声が聞こえてきた。
……あのクソじじいの、いやらしい嬌声。
「………」
ドクン……ドクン……ドクン……
…俺はドアの隙間から、研究室の中を覗いた。
「……!!!!!」
即座に、俺はそこから目をそらした。
210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/05(木) 02:17:05.85 ID:iyWMtbgPO
「…うっ……ぐっ……ああぁぁ……!!!」
俺は目をつぶったまま吐き気にも似た感覚を、必死の思いで抑えこんだ。
悪い予感は……当たっていた……
…そしてライトの嬌声の中に、こんな言葉がわずかに聞こえてきた。
「……貴様らは所詮人間の道具なんだ……」
「…!!!!!」
……殺してやる……
211 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/05(木) 02:27:42.35 ID:iyWMtbgPO
…テメエのその薄汚ねえツラを、今すぐ粉々に吹き飛ばしてやる…!!!
…テメエのその薄汚ねえツラを、今すぐ粉々に吹き飛ばしてやる…!!!
俺は立ち上がって、目の前の研究室の扉を蹴り破ろうとした。
……だが……
「私を殺そうとした瞬間、貴様の身体は全てのプログラムが停止するように設計されてある」
「………」
……そうだった……
……今この中に踏み込めば、俺は死ぬ……
……俺はヤツを殺すまで……死ぬ訳にはいかない……
「……ぐっ……!!」
212 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/05(木) 02:44:27.23 ID:iyWMtbgPO
……奴への殺意と自分の無力さに、頭がどうにかなりそうだった。
握り締めた拳からは、血が滲んでいた。
……奴への殺意と自分の無力さに、頭がどうにかなりそうだった。
握り締めた拳からは、血が滲んでいた。
…絶え間なく続くライトの嬌声と…
…それに耐える彼女の声。
……もう…何も聞きたくなかった。
……俺は静かに、研究室を後にした……
214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/05(木) 02:56:53.18 ID:iyWMtbgPO
……部屋に戻ってきて……
自分のベッドにもぐりこんで、今見てきたものは全て忘れようと思った。
だが、到底そんなことは、俺にはできそうにもなかった……
「あたしはどうやっても……人間に近付けそうにないから……」
今頃になって、彼女の言葉の本当の意味を理解する。
「……ごめんね……」
………
謝るのは……俺の方だ……
君に……何もしてあげられない……
謝るのは……俺の方だ……
君に……何もしてあげられない……
「………」
俺はもう何も考えず、眠った。
ただ……あいつへのこの激しい殺意だけは、自分の胸にしっかりと刻みこんだ……